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貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
お茶会という名の対王族会議。
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「そう言えば、王子殿下お二人は夕べ夜遅くに王宮にご帰還されたそうだぞ」
笑いを堪えるグレイを横目に朝食を採っていると、父サイモンがそう切り出した。
「まあ、思ったよりは早かったな」
と言うのはカレル兄。私も内心驚いていた。
私達が出発して四日後に知らされ、当日かその翌日に出発したとすれば結構な強行軍になるだろう。ほぼ一週間だから、キングオブ深夜馬車状態で相当急いで帰って来たのだろうと思う。
「うふふ、きっとお疲れでいらっしゃる事でしょう。丁度良かったわねぇ、今日はお茶会の日だもの。ああ、ピュシス夫人達もいらっしゃるわ、マリーちゃん」
祖母ラトゥが笑って、器用にサラダをお箸で摘まんで口へ放り込んだ。箸使いはもうお手のものである。
「まあ、お婆様本当なの?」
手紙の返事やお土産の礼状は受け取っていたけど、やっぱり実際に話をした方が楽しい。
思わず嬉しくなって聞けば、祖母はええと頷いた。母ティヴィーナがにこやかにこちらを見る。
「うふふ、マリーちゃんとグレイ君、それにイドゥリース様とスレイマン君とヴェスカルちゃんも一緒に出席して頂戴ねぇ?」
きっと皆様喜ぶと思うわ、と続ける母。んん? 一体何人のお客様が来るのだろうか。
そうだ、サリーナ! 襟の準備を!
***
今頃父は宮廷で王子達に会ってるのだろうか。
お茶会を邪魔されないよう、祖母の命で適当な理由を付けて見張りに行ったらしいけど……。
そう考えている間にも、我が家の玄関にどんどん馬車が横付けされていく。その中からはまるで黒い包み紙から色付きの飴玉を取り出すが如く、色とりどりのデイドレスを身に纏った夫人達が降りて来ていた。
窓からそんな様子を見下ろしていると、グレイが驚いた声を上げた。
「お婆様!? お母様も!」
「まあ、本当ね!」
グレイの祖母パレディーテや義母レピーシェの姿も。
事前に招待客の面子を訊いたら、ほとんどが祖母ラトゥや母ティヴィーナのお友達だそうで、中立派が多いとの事。実際に見た限り年配の方や既婚者が多いようだった。
勿論それだけではなくて、中には若い令嬢や、弟妹位の子を連れてきている人も何人か見えた。
と。
一際立派な馬車。降りて来たのは――
「サリューン枢機卿!?」
どうも彼も呼ばれたらしい。子供達を除けば黒一点、女性ばかりに囲まれて、若干居心地悪そうにしながらも挨拶を交わしていた。
「大体いらっしゃったみたいだね。僕達も移動しようか」
グレイに促され、私はそっと窓から離れた。
場所は変わり我が家の喫茶室――ホスト側として挨拶をする私達に、招待客達は一瞬襟に気を取られてぎこちなくなるも、挨拶を返して大人しく着席していく。
特に三夫人とは感激して抱き合って再会を喜んだ。
聖地の修道士が調合した軟膏は、ピュシス夫人がたまたま患っていた切れ痔に効いたらしい。切り傷や乾燥にも良いらしいから何よりである。
犬のガスィーちゃんを連れていなかったので心配になって訊いてみると、私のアドバイスを実践してから胃腸の調子が良くなってきたらしい。良かった。
隣のグレイも「お久しぶりでございます。菊を愛でるお茶会以来ですね。あの時よりも肌に張りが出て、滑らかになられたようにお見受けしますが、ラベンダー精油の使い心地は如何でしたか」等と卒無く挨拶をしている。
名誉枢機卿にはなったけれど、名ばかりだし自分自身若輩の身なので今まで通りでお願いしますと笑顔で頼み込んでいた。
そこへ、
「マリー、あれから大丈夫でしたか?」
「マリーちゃん、挨拶をするなり倒れてしまったから心配していたのよ」
「その節はご心配かけて申し訳ありませんでしたわ、お婆様、お義母様。でも、この通りすっかり良くなりました」
三夫人の後にやってきたグレイの祖母と義母に気遣わし気に挨拶をされる。
そう言えば、帰って挨拶をしたっきり会ってなかったっけ。すっかり心配を掛けてしまっていたようで、申し訳ない気持ちになった。
やがて招待された全員が着席すると――相当広い部屋の筈なのに、ここまでお客様が集まれば狭く見えるものだなと思う。壮観である。
「では改めましてご挨拶をさせて頂きますわね。皆様、本日はよく来てくださいましたわ。キャンディ伯爵家のお茶会へようこそ。お茶もお菓子も、最高の物を用意させております。どうぞお楽しみ下さいまし」
主催者としての祖母の挨拶。控えていた侍女達が一斉に動き始め、お茶を注ぐ音が響き渡る。そうして壮大なお茶会が始まった。
「キャンディ伯爵家にお邪魔するのは初めてですが、洗練されていて素敵なお住まいですね。本日はお招き頂き感謝致します」
にこりと微笑んでサリューン枢機卿が挨拶をしたのを皮切りに、
「この度は名だたるキャンディ伯爵家のお茶会にお招きに預かり、光栄に存じます。こうしてラトゥお姉様とお会いできるなんてとっても嬉しいですわ。お茶もお菓子も楽しみにしておりましたの」
「私も同じく、嬉しいざます。指折り数えて楽しみざましたわ」
「そうですわぁ。ラトゥお姉様だけじゃなくてぇ、マリーちゃんにも会えて良かったですわぁ」
等と、席次順に招待客から祖母と母に挨拶が述べられていく。それが終わると、お茶会に駆り出された私、グレイ、イドゥリース、スレイマン、ヴェスカルが自己紹介をしていった。
国交の無い人種の違う異国人が珍しいのか、アヤスラニ帝国人二人の挨拶は特に人目を引いた。片言の言葉を新鮮に思われたようだ。
「さて、つい先日孫娘が聖地巡礼から戻って参りましたの。皆様もお耳が早い方はもうお聞きになられているかも知れませんが――」
祖母ラトゥや母ティヴィーナが言葉巧みに私が聖地へ行き、聖女となりグレイと結婚した経緯、イドゥリースとスレイマン、ヴェスカルを連れ帰った事情等を話していく。
時折、私やグレイ、本人達、サリューン枢機卿に質問する形で事実関係を補足していった。
「その事を夫も宮廷で陛下に奏上申し上げた筈ですのに、最近妙な噂が流れていて頭を痛めておりますの」
「ええ、ええ。先程お話したように、式こそはまだ挙げていないものの、孫娘は聖地で教皇猊下の祝福の下で既に結婚しているというのに……困ったものですわ」
母ティヴィーナと祖母ラトゥがにこやかに、だが困ったように述べ、サリューン枢機卿が苦笑いを浮かべた。
「まああ、あの噂は事実ではありませんでしたのね」「では、噂を事実にしたい方々の一方的なお考えですのね」等と、御婦人達が驚きながら相槌を打ったり耳を傾けたり考え込んだりしている。
そこへ、
「子爵と言えど、恐れ多くもサングマ教皇猊下御自らがグレイちゃんを名誉枢機卿に叙せられたのよねぇ。噂をばら撒いている方々は、まさか破門覚悟で教会を敵に回すおつもりなのかしらぁ?」
ピュシス夫人が良く通る声で発言をした。サリューン枢機卿がぎょっとしたように夫人を見る。
「今の所噂をばら撒いているのはドルトン侯爵家とその周辺――第二王子派の方々ざます。恐れを知らぬ所業ざますわね」
「そもそも跡目争いで宮廷が二分されているのがいけないのですわ。マリーちゃんが……聖女様が醜い政争の具にされかけているなんて、教会としてもあってはならない事の筈ですもの」
「ぐっ……その通りですね。何とかしようとはしているのですが……」
スパン、とホルメー夫人が断言し、エピテュミア夫人が公然の秘密である核心的事実をぶちまけた。この国の教会組織のトップであるサリューン枢機卿にクリティカルヒットである。
かくて話の中心はこのようにだんだんスライドして行き――やがてお茶会という名の対王族会議が繰り広げられる流れになったのである。
笑いを堪えるグレイを横目に朝食を採っていると、父サイモンがそう切り出した。
「まあ、思ったよりは早かったな」
と言うのはカレル兄。私も内心驚いていた。
私達が出発して四日後に知らされ、当日かその翌日に出発したとすれば結構な強行軍になるだろう。ほぼ一週間だから、キングオブ深夜馬車状態で相当急いで帰って来たのだろうと思う。
「うふふ、きっとお疲れでいらっしゃる事でしょう。丁度良かったわねぇ、今日はお茶会の日だもの。ああ、ピュシス夫人達もいらっしゃるわ、マリーちゃん」
祖母ラトゥが笑って、器用にサラダをお箸で摘まんで口へ放り込んだ。箸使いはもうお手のものである。
「まあ、お婆様本当なの?」
手紙の返事やお土産の礼状は受け取っていたけど、やっぱり実際に話をした方が楽しい。
思わず嬉しくなって聞けば、祖母はええと頷いた。母ティヴィーナがにこやかにこちらを見る。
「うふふ、マリーちゃんとグレイ君、それにイドゥリース様とスレイマン君とヴェスカルちゃんも一緒に出席して頂戴ねぇ?」
きっと皆様喜ぶと思うわ、と続ける母。んん? 一体何人のお客様が来るのだろうか。
そうだ、サリーナ! 襟の準備を!
***
今頃父は宮廷で王子達に会ってるのだろうか。
お茶会を邪魔されないよう、祖母の命で適当な理由を付けて見張りに行ったらしいけど……。
そう考えている間にも、我が家の玄関にどんどん馬車が横付けされていく。その中からはまるで黒い包み紙から色付きの飴玉を取り出すが如く、色とりどりのデイドレスを身に纏った夫人達が降りて来ていた。
窓からそんな様子を見下ろしていると、グレイが驚いた声を上げた。
「お婆様!? お母様も!」
「まあ、本当ね!」
グレイの祖母パレディーテや義母レピーシェの姿も。
事前に招待客の面子を訊いたら、ほとんどが祖母ラトゥや母ティヴィーナのお友達だそうで、中立派が多いとの事。実際に見た限り年配の方や既婚者が多いようだった。
勿論それだけではなくて、中には若い令嬢や、弟妹位の子を連れてきている人も何人か見えた。
と。
一際立派な馬車。降りて来たのは――
「サリューン枢機卿!?」
どうも彼も呼ばれたらしい。子供達を除けば黒一点、女性ばかりに囲まれて、若干居心地悪そうにしながらも挨拶を交わしていた。
「大体いらっしゃったみたいだね。僕達も移動しようか」
グレイに促され、私はそっと窓から離れた。
場所は変わり我が家の喫茶室――ホスト側として挨拶をする私達に、招待客達は一瞬襟に気を取られてぎこちなくなるも、挨拶を返して大人しく着席していく。
特に三夫人とは感激して抱き合って再会を喜んだ。
聖地の修道士が調合した軟膏は、ピュシス夫人がたまたま患っていた切れ痔に効いたらしい。切り傷や乾燥にも良いらしいから何よりである。
犬のガスィーちゃんを連れていなかったので心配になって訊いてみると、私のアドバイスを実践してから胃腸の調子が良くなってきたらしい。良かった。
隣のグレイも「お久しぶりでございます。菊を愛でるお茶会以来ですね。あの時よりも肌に張りが出て、滑らかになられたようにお見受けしますが、ラベンダー精油の使い心地は如何でしたか」等と卒無く挨拶をしている。
名誉枢機卿にはなったけれど、名ばかりだし自分自身若輩の身なので今まで通りでお願いしますと笑顔で頼み込んでいた。
そこへ、
「マリー、あれから大丈夫でしたか?」
「マリーちゃん、挨拶をするなり倒れてしまったから心配していたのよ」
「その節はご心配かけて申し訳ありませんでしたわ、お婆様、お義母様。でも、この通りすっかり良くなりました」
三夫人の後にやってきたグレイの祖母と義母に気遣わし気に挨拶をされる。
そう言えば、帰って挨拶をしたっきり会ってなかったっけ。すっかり心配を掛けてしまっていたようで、申し訳ない気持ちになった。
やがて招待された全員が着席すると――相当広い部屋の筈なのに、ここまでお客様が集まれば狭く見えるものだなと思う。壮観である。
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主催者としての祖母の挨拶。控えていた侍女達が一斉に動き始め、お茶を注ぐ音が響き渡る。そうして壮大なお茶会が始まった。
「キャンディ伯爵家にお邪魔するのは初めてですが、洗練されていて素敵なお住まいですね。本日はお招き頂き感謝致します」
にこりと微笑んでサリューン枢機卿が挨拶をしたのを皮切りに、
「この度は名だたるキャンディ伯爵家のお茶会にお招きに預かり、光栄に存じます。こうしてラトゥお姉様とお会いできるなんてとっても嬉しいですわ。お茶もお菓子も楽しみにしておりましたの」
「私も同じく、嬉しいざます。指折り数えて楽しみざましたわ」
「そうですわぁ。ラトゥお姉様だけじゃなくてぇ、マリーちゃんにも会えて良かったですわぁ」
等と、席次順に招待客から祖母と母に挨拶が述べられていく。それが終わると、お茶会に駆り出された私、グレイ、イドゥリース、スレイマン、ヴェスカルが自己紹介をしていった。
国交の無い人種の違う異国人が珍しいのか、アヤスラニ帝国人二人の挨拶は特に人目を引いた。片言の言葉を新鮮に思われたようだ。
「さて、つい先日孫娘が聖地巡礼から戻って参りましたの。皆様もお耳が早い方はもうお聞きになられているかも知れませんが――」
祖母ラトゥや母ティヴィーナが言葉巧みに私が聖地へ行き、聖女となりグレイと結婚した経緯、イドゥリースとスレイマン、ヴェスカルを連れ帰った事情等を話していく。
時折、私やグレイ、本人達、サリューン枢機卿に質問する形で事実関係を補足していった。
「その事を夫も宮廷で陛下に奏上申し上げた筈ですのに、最近妙な噂が流れていて頭を痛めておりますの」
「ええ、ええ。先程お話したように、式こそはまだ挙げていないものの、孫娘は聖地で教皇猊下の祝福の下で既に結婚しているというのに……困ったものですわ」
母ティヴィーナと祖母ラトゥがにこやかに、だが困ったように述べ、サリューン枢機卿が苦笑いを浮かべた。
「まああ、あの噂は事実ではありませんでしたのね」「では、噂を事実にしたい方々の一方的なお考えですのね」等と、御婦人達が驚きながら相槌を打ったり耳を傾けたり考え込んだりしている。
そこへ、
「子爵と言えど、恐れ多くもサングマ教皇猊下御自らがグレイちゃんを名誉枢機卿に叙せられたのよねぇ。噂をばら撒いている方々は、まさか破門覚悟で教会を敵に回すおつもりなのかしらぁ?」
ピュシス夫人が良く通る声で発言をした。サリューン枢機卿がぎょっとしたように夫人を見る。
「今の所噂をばら撒いているのはドルトン侯爵家とその周辺――第二王子派の方々ざます。恐れを知らぬ所業ざますわね」
「そもそも跡目争いで宮廷が二分されているのがいけないのですわ。マリーちゃんが……聖女様が醜い政争の具にされかけているなんて、教会としてもあってはならない事の筈ですもの」
「ぐっ……その通りですね。何とかしようとはしているのですが……」
スパン、とホルメー夫人が断言し、エピテュミア夫人が公然の秘密である核心的事実をぶちまけた。この国の教会組織のトップであるサリューン枢機卿にクリティカルヒットである。
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