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貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
高木 寿【4】
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事情聴取にやってきた彼ら曰く、おじさんの部屋には遺書が残されていたらしい。パワハラの記録も。
糞上司はそんな事実は無い、業務上の指導だ、相手は前職で精神科通院歴があって、被害妄想気味だった、と話す。私以外にも言い含めていたのか、他の人達も言葉を濁して気まずそうに顔を逸らすばかりだった。
私にも訊かれたが、その場は他の人達と同じように振舞ってやり過ごす。その後、体調が思わしくないと言って会社を早退した。
もう二度とあそこへは戻らない。
その足で私は警察に行き、事情を話してスマホの通話の録音と、忍ばせていたボイスレコーダーを聞いて貰う。「脅迫された、恐ろしくて昨日は夜も寝られなかった」と訴えて被害届を出す。
その後家に帰ると、私は引っ越しの準備を始めた。引っ越し業者にも連絡を済ませる。会社からの着信が山の様に来ていたけれど、無視した。
夜遅く――二十二時位だっただろうか。
「てめぇ、高木ぃ! 警察にチクりやがったな! ぶっ殺してやる!」
家のドアが怒鳴り声と共に恐ろしい勢いで叩かれた。糞上司だ。きっと被害届を出したのがバレたのだろう。すぐさま110番に通報する。鍵を掛けていて本当に良かった。
半泣きになりながら待って暫く。警察がやってきて、ドアの外で揉めている。奴が連れていかれた後――心配してこちらを窺う隣近所の人の証言もあり、殺意を証明する決定的な言動を取ったという事で糞上司は現行犯逮捕になった。
――終わった。
私は胸を撫でおろした。荷造りを急いで、早く新潟へ戻ろう。紅茶を淹れて少し心を落ち着かせた後、それは突如訪れた。
スマホが緊急地震の警戒音を鳴らしだし、ぼんやりした頭で地震がどこで起きたのかと考えた瞬間、物凄い揺れが建物を襲った。棚の上の物や陶器の皿、ガラスのコップが落ちて割れる音。
「大地震です」の無機質な声が響く。私はパニックになりながらもベッドの横に体を落とした。
マンションの他の部屋からの悲鳴が聞こえる。揺れが収まった後、私はのろのろと起き上がって散乱した中から部屋着を引っ張り出して着た。
緊急地震速報の音はずっと鳴り響いている。ぐらっとまた揺れが始まった。
「な、何なの!? まだあるの!?」
悲鳴を上げながら慌ててベッドの横に倒れ込む。『三角の救命スポット』で生存率が上がるのはよく知られた話だ。ここはマンションでも下の方――圧死だけはしたくない。
暫く待って揺れが収まった後、私はダウンジャケットを着てドアに触れた――鍵を回すと開いた。良かった。
バッグを持ってスニーカーを履くと外へ出る。非常階段を使って下に降りた。周りを見渡していると、同じように外へ飛び出た人達が途方に暮れた表情で立ちすくんだりしゃがんだりしている。
「んだよ……南海トラフが先に来るんじゃなかったのかよ」
誰かの呟く声。それに、水音。
「何? 水……」
「液状化現象だ!」
皆、慌ててその場を離れる。電柱やアスファルトの隙間から、次々と泥水が溢れ出して来ていた。
逃げようとすると、誰かに後ろから突き飛ばされた。冷たい泥の中に倒れ込んでしまい、服が水を吸って体が冷える。
と。
髪が誰かに掴まれ、凄い力で引っ張られた。私は痛みにうめき声を上げる。
「高木ィ! さっきは良くもやってくれたな!」
糞上司の声。恐らく、地震のどさくさで逃げ出してきたのだろう。
「おい、お前何やってるんだ!」
女性の悲鳴と誰かの声。糞上司は「うるせぇ!」と叫び返している。
「地震のどさくさに紛れれば、ヤッても事件にならねぇよなぁ?」
髪の毛を乱暴に離され、倒れた私の体にズシリと重い負荷が掛かった。息が苦しくなって喘ぐのに追い打ちをかけるように馬乗りになった糞上司に首を絞められる。私は必死に引っ掻いて抵抗した。
嫌だ、苦しい――こんな所で死にたくない!
不意に三度目の緊急地震の警戒音が鳴り響き、ほぼ同時に激しい揺れが襲ってきた。糞上司の体重と手が離れる。その隙を突く様に転がった私は、揺れの中で必死で起き上がろうと藻掻いた。
そして――
「逃げろ、津波だ!」
「きゃあああ!」
水を吸った衣服の重さに抗いつつ、やっと立ち上がったところで私はそれを見た。
スローモーションのように迫りくる、二メートルはあろうかという黒いうねりを。
その暴力的ともいえる奔流に押し流され、私は暗い水の渦に巻き込まれてしまった。
ゴボゴボと口から出て行く空気。
冷たい。寒い。苦しい。体中の痛みに意識が急速に薄れて行く。
――何故、何故、何故。何で。
私、ここで死ぬんだ。結局ブラック会社で働き通しの人生だった。そう思うと悲しみで胸がいっぱいになる。
何で、私がこんな目に。こんな事なら、仕事なんてやめて好きな事をすれば良かった。
我慢して、周囲に合わせて、事勿れで生きるんじゃなかった。サタナエル様のように、もっと自由な正直な心で、思うような生き方をすれば良かった。もしも、来世があるのなら。
来世では絶対に――!
走馬灯のように人生の記憶が流れていく。新潟の家族の笑顔が思い浮かんでは消えていった。
ああ――お爺ちゃん、お婆ちゃん。
お父さん、お母さん……一人娘なのにごめんね、さようなら。
それを最後に、ふっと苦しみが消え――私の意識は完全に奈落の闇に包まれた。
***
私は真っ暗な何もない空間に立っていた。
ここは……。
もしかして、あの世だろうか。
話には花畑が広がるとか聞いていたけれど……。
ふと、誰かの声がした気がして振り向くと、ぼんやりとした光の玉が浮かんでいた。
玉がふるり、と震える。
『――悔しいか?』
心の中に木霊すように伝わる言葉。私は頷いた。
悔しくない筈はない。それに何故、私は死なねばならなかったのか。
『ならば教えてやろう』
ごう、と大風が吹いたような気がした。私は唐突に世界の闇を理解する。
狂った肉屋共を知ってしまったのだ。狂人によって世界は支配されていた。
だからと言って、何になる。
あの世界は黄昏つつ狂った肉屋の饗宴の為に、狂った世の中が作り出され、豚の命が弄ばれ殺されゆくだけ。それも星の寿命からすれば長くは続かない。諸行無常――いくら豚共を支配しようともどんなに金を積もうとも肉屋自身も滅び、全ては無に還って行くだろう。
――それに、もう私は死んでしまった。
俯いていると、声が響く。
『死は終わりであり、始まりである。お前の未練にぴったりの来世が用意されている』
来世? 来世があると?
顔を上げて光の玉を見ると、それはふわりと目の前に漂って来た。
『然り。別の世界――我の栄光を世の人々に示す為に汝を選び此処へ連れて来た。来世に望みがあるならば叶えてやろう』
望み。
問われて、私は死ぬ間際の事を思い返した。仕事はもう金輪際したくない。
私の望みは――
糞上司はそんな事実は無い、業務上の指導だ、相手は前職で精神科通院歴があって、被害妄想気味だった、と話す。私以外にも言い含めていたのか、他の人達も言葉を濁して気まずそうに顔を逸らすばかりだった。
私にも訊かれたが、その場は他の人達と同じように振舞ってやり過ごす。その後、体調が思わしくないと言って会社を早退した。
もう二度とあそこへは戻らない。
その足で私は警察に行き、事情を話してスマホの通話の録音と、忍ばせていたボイスレコーダーを聞いて貰う。「脅迫された、恐ろしくて昨日は夜も寝られなかった」と訴えて被害届を出す。
その後家に帰ると、私は引っ越しの準備を始めた。引っ越し業者にも連絡を済ませる。会社からの着信が山の様に来ていたけれど、無視した。
夜遅く――二十二時位だっただろうか。
「てめぇ、高木ぃ! 警察にチクりやがったな! ぶっ殺してやる!」
家のドアが怒鳴り声と共に恐ろしい勢いで叩かれた。糞上司だ。きっと被害届を出したのがバレたのだろう。すぐさま110番に通報する。鍵を掛けていて本当に良かった。
半泣きになりながら待って暫く。警察がやってきて、ドアの外で揉めている。奴が連れていかれた後――心配してこちらを窺う隣近所の人の証言もあり、殺意を証明する決定的な言動を取ったという事で糞上司は現行犯逮捕になった。
――終わった。
私は胸を撫でおろした。荷造りを急いで、早く新潟へ戻ろう。紅茶を淹れて少し心を落ち着かせた後、それは突如訪れた。
スマホが緊急地震の警戒音を鳴らしだし、ぼんやりした頭で地震がどこで起きたのかと考えた瞬間、物凄い揺れが建物を襲った。棚の上の物や陶器の皿、ガラスのコップが落ちて割れる音。
「大地震です」の無機質な声が響く。私はパニックになりながらもベッドの横に体を落とした。
マンションの他の部屋からの悲鳴が聞こえる。揺れが収まった後、私はのろのろと起き上がって散乱した中から部屋着を引っ張り出して着た。
緊急地震速報の音はずっと鳴り響いている。ぐらっとまた揺れが始まった。
「な、何なの!? まだあるの!?」
悲鳴を上げながら慌ててベッドの横に倒れ込む。『三角の救命スポット』で生存率が上がるのはよく知られた話だ。ここはマンションでも下の方――圧死だけはしたくない。
暫く待って揺れが収まった後、私はダウンジャケットを着てドアに触れた――鍵を回すと開いた。良かった。
バッグを持ってスニーカーを履くと外へ出る。非常階段を使って下に降りた。周りを見渡していると、同じように外へ飛び出た人達が途方に暮れた表情で立ちすくんだりしゃがんだりしている。
「んだよ……南海トラフが先に来るんじゃなかったのかよ」
誰かの呟く声。それに、水音。
「何? 水……」
「液状化現象だ!」
皆、慌ててその場を離れる。電柱やアスファルトの隙間から、次々と泥水が溢れ出して来ていた。
逃げようとすると、誰かに後ろから突き飛ばされた。冷たい泥の中に倒れ込んでしまい、服が水を吸って体が冷える。
と。
髪が誰かに掴まれ、凄い力で引っ張られた。私は痛みにうめき声を上げる。
「高木ィ! さっきは良くもやってくれたな!」
糞上司の声。恐らく、地震のどさくさで逃げ出してきたのだろう。
「おい、お前何やってるんだ!」
女性の悲鳴と誰かの声。糞上司は「うるせぇ!」と叫び返している。
「地震のどさくさに紛れれば、ヤッても事件にならねぇよなぁ?」
髪の毛を乱暴に離され、倒れた私の体にズシリと重い負荷が掛かった。息が苦しくなって喘ぐのに追い打ちをかけるように馬乗りになった糞上司に首を絞められる。私は必死に引っ掻いて抵抗した。
嫌だ、苦しい――こんな所で死にたくない!
不意に三度目の緊急地震の警戒音が鳴り響き、ほぼ同時に激しい揺れが襲ってきた。糞上司の体重と手が離れる。その隙を突く様に転がった私は、揺れの中で必死で起き上がろうと藻掻いた。
そして――
「逃げろ、津波だ!」
「きゃあああ!」
水を吸った衣服の重さに抗いつつ、やっと立ち上がったところで私はそれを見た。
スローモーションのように迫りくる、二メートルはあろうかという黒いうねりを。
その暴力的ともいえる奔流に押し流され、私は暗い水の渦に巻き込まれてしまった。
ゴボゴボと口から出て行く空気。
冷たい。寒い。苦しい。体中の痛みに意識が急速に薄れて行く。
――何故、何故、何故。何で。
私、ここで死ぬんだ。結局ブラック会社で働き通しの人生だった。そう思うと悲しみで胸がいっぱいになる。
何で、私がこんな目に。こんな事なら、仕事なんてやめて好きな事をすれば良かった。
我慢して、周囲に合わせて、事勿れで生きるんじゃなかった。サタナエル様のように、もっと自由な正直な心で、思うような生き方をすれば良かった。もしも、来世があるのなら。
来世では絶対に――!
走馬灯のように人生の記憶が流れていく。新潟の家族の笑顔が思い浮かんでは消えていった。
ああ――お爺ちゃん、お婆ちゃん。
お父さん、お母さん……一人娘なのにごめんね、さようなら。
それを最後に、ふっと苦しみが消え――私の意識は完全に奈落の闇に包まれた。
***
私は真っ暗な何もない空間に立っていた。
ここは……。
もしかして、あの世だろうか。
話には花畑が広がるとか聞いていたけれど……。
ふと、誰かの声がした気がして振り向くと、ぼんやりとした光の玉が浮かんでいた。
玉がふるり、と震える。
『――悔しいか?』
心の中に木霊すように伝わる言葉。私は頷いた。
悔しくない筈はない。それに何故、私は死なねばならなかったのか。
『ならば教えてやろう』
ごう、と大風が吹いたような気がした。私は唐突に世界の闇を理解する。
狂った肉屋共を知ってしまったのだ。狂人によって世界は支配されていた。
だからと言って、何になる。
あの世界は黄昏つつ狂った肉屋の饗宴の為に、狂った世の中が作り出され、豚の命が弄ばれ殺されゆくだけ。それも星の寿命からすれば長くは続かない。諸行無常――いくら豚共を支配しようともどんなに金を積もうとも肉屋自身も滅び、全ては無に還って行くだろう。
――それに、もう私は死んでしまった。
俯いていると、声が響く。
『死は終わりであり、始まりである。お前の未練にぴったりの来世が用意されている』
来世? 来世があると?
顔を上げて光の玉を見ると、それはふわりと目の前に漂って来た。
『然り。別の世界――我の栄光を世の人々に示す為に汝を選び此処へ連れて来た。来世に望みがあるならば叶えてやろう』
望み。
問われて、私は死ぬ間際の事を思い返した。仕事はもう金輪際したくない。
私の望みは――
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