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貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
お後が宜しいようで。
しおりを挟む私は障害者である。
目も見えないし、足も悪い。
二十歳の頃だろうか。
車に轢かれ、気付かないままにあらゆるモノを失った。
あの綺麗な景色はもう、見れない。
小鳥の囀りが頬を伝ったって、本体を見ることは出来ない。
苦しみしかない。
働くことは無理だし、生きてて辛いだけ。
私は歩道を歩いていた。
以前から私は、絶望していた。
この社会に。
以前の私は、目や足があったから、この世界を見渡せた。
けれどその時は若かった。
本当の社会の闇を、垣間見たことはなかった。
失ってからだ。
耳に聞こえてくるのが罵声だって、迷惑がる声だって。
全ては私に、向けられていた。
ただ私が点字ブロックの上を杖を使って歩いているだけで、言われる。
やれ障害者だの、邪魔だの。
私はそう言う人間の声しか、最近聞いていない。
言葉はトゲなのだ。
私のような障害者は、なりたくてこうなってるわけじゃない。
君たちの様に、全てを五体満足で与えられて幸せなわけじゃない。
だが彼らは、私の様な人間の声を、聞きたいと思っていない。
聞く仕草を見せたって、本当に心に届いていない。
嫌いだ。
全ての人間が。
そう言う奴らこそ、こうなればいいのだ。
でも。
私も、彼らの気持ちを理解できない。
ただただ被害妄想を繰り広げているだけだ。
良い人はいるし、その分悪い人だっている。
一概に批判するのも、ダメなことだろう。
ラジオをつける。
すると、こんな声が流れ込んできた。
「ペンネーム、私は。さん。えー、
『障害者が嫌いです。』
うわっ酷い。
『以前はそう思っていました。けれど、ある人を見かけました』
……ん?
『どうしようもない程に、蔑まされている障害者。
侮蔑している友人を見て、私は戰慄を覚えました。
だから私は思い切って、組織を立ち上げようと思います。
非障害者による、障害者の為の非営利組織を。
それに当たる意見を聞きたいです』
と。うーん、僕が思うに──────」
私はそこでラジオを止めた。
あの局は、障害者などの弱い人に寄り添う放送をしていたらしい。
だからあんな質問が出てきたと。
事実。
質問に出てきた障害者が私でないにしろ、そういう人間もいる。
そう、悟った。知った。
そこから私は、人の目も、侮蔑も、気にせずに。
今を歩く。
例え目が目えなくとも、足が朧いでも。
確かに私達を思ってくれる人がいる。
そう思うと、少し、この世界が綺麗にも見えてきた。
侮蔑しない。異常者でない人もいる。
では。
君は、どちら側でしょうか。
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