89 / 175
【駄文】月知梅。
しおりを挟む「それでは後はこっちで手続き致しますので、こちらの原稿は一旦預からせていただきます」
「はい! お願いします!」
人は初めて何かを創り上げたとき、何を思うだろう。創り上げたものに初めて評価が付いたとき、何を感じるだろう。
初めて褒められたとき、心は躍るだろうか。初めて貶されたとき、心は沈むだろうか。
「あ、有紗さん、今終わりました。一応原稿は確保しましたけど、……正直、なかなか酷い出来なので、あまり期待しない方がいいと思います」
「ふーん。んじゃあ、また名前変えた方がいい?」
「そう思います。たぶんこれが二作目だと、五木あおいの名に傷がつきますよ」
「そ。わかった。ちなみにどんなのがいいと思う?」
「ええと、そうっすね、永野華奈なんてどうですかね?」
「……それ、また好きなAV女優とかじゃないでしょうね?」
「ち、違いますよ!」
「ま、どうせ捨て名だから別に何でもいいけど」
喜びも、怒りも、哀しみも、楽しみも、人は何を以てして、そこに辿り着くのだろう。神は何を以てして、それらをこの世に産み落としていったのだろう。
それを人間が操ろうとしたとき、果たして神の領域に、踏み入ることはできるだろうか。それをすべて否定されたとき、果たして人間の領域に、踏み止まることはできるだろうか。
「ちなみにそれ、どんな内容なの?」
「ホント酷いもんですよ。あの娘、高校生にもなって中二病丸出しなんですもん」
「へー! 面白そうじゃん! 今度ゆっくり見させてよ!」
「もちろんっす! あ、ちなみに今日、有紗さんの家行ってもいいですか? 今後の作戦会議もしたいので──」
「無理に決まってんじゃん。何勘違いしてんの?」
「え、そ、そうっすよね……」
人は笑うことで、心を弾ませる。
人は嗤うことで、心を落ち着かせる。
秋の風は宿命のように、蛇の道に蛇を運んだ。
「はい! お願いします!」
人は初めて何かを創り上げたとき、何を思うだろう。創り上げたものに初めて評価が付いたとき、何を感じるだろう。
初めて褒められたとき、心は躍るだろうか。初めて貶されたとき、心は沈むだろうか。
「あ、有紗さん、今終わりました。一応原稿は確保しましたけど、……正直、なかなか酷い出来なので、あまり期待しない方がいいと思います」
「ふーん。んじゃあ、また名前変えた方がいい?」
「そう思います。たぶんこれが二作目だと、五木あおいの名に傷がつきますよ」
「そ。わかった。ちなみにどんなのがいいと思う?」
「ええと、そうっすね、永野華奈なんてどうですかね?」
「……それ、また好きなAV女優とかじゃないでしょうね?」
「ち、違いますよ!」
「ま、どうせ捨て名だから別に何でもいいけど」
喜びも、怒りも、哀しみも、楽しみも、人は何を以てして、そこに辿り着くのだろう。神は何を以てして、それらをこの世に産み落としていったのだろう。
それを人間が操ろうとしたとき、果たして神の領域に、踏み入ることはできるだろうか。それをすべて否定されたとき、果たして人間の領域に、踏み止まることはできるだろうか。
「ちなみにそれ、どんな内容なの?」
「ホント酷いもんですよ。あの娘、高校生にもなって中二病丸出しなんですもん」
「へー! 面白そうじゃん! 今度ゆっくり見させてよ!」
「もちろんっす! あ、ちなみに今日、有紗さんの家行ってもいいですか? 今後の作戦会議もしたいので──」
「無理に決まってんじゃん。何勘違いしてんの?」
「え、そ、そうっすよね……」
人は笑うことで、心を弾ませる。
人は嗤うことで、心を落ち着かせる。
秋の風は宿命のように、蛇の道に蛇を運んだ。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】捨ててください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。
でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。
分かっている。
貴方は私の事を愛していない。
私は貴方の側にいるだけで良かったのに。
貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。
もういいの。
ありがとう貴方。
もう私の事は、、、
捨ててください。
続編投稿しました。
初回完結6月25日
第2回目完結7月18日
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる