美少女かと思ったらおっさんで、イケメンかと思ったら仏像モドキで、異世界かと思ったら俺の家が異世界みたいになってた。

zoubutsu

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肉体が分かったのが貶すのは自分を否定して逃げてるからむしどもは自分を見てなくて取れないと取れる

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 日は沈み、辺りは薄暗くなってきている。
 大雄と村沢は疲れたようにトボトボ歩き、校門から外に出た。
「やっぱり手紙なんていう姑息な手段で自分の気持ちを伝えようとするのが間違いだった」
 大雄が言う。
「そうか? うん」
 村沢は大雄の言葉を肯定とも否定とも取れる態度で頷いた。
「でも、俺は面と向かってあいつに好きだなんて言えないし」
「じゃ、ラインとかメールとかでいいんじゃね?」
「その手もあるかな」
 そんな会話をしながら歩く先の街灯の下に麻衣が立っていた。
「どうした?」
 村沢が声をかけたとき、麻衣が手にしている自分のリュックに気がついた。
「これ」
 麻衣が荷物を差し出す。
「ありがとう。誰かが持ってってくれたんだとは思ってたんだけど。麻衣だったのか」
 そう言ってリュックを受け取る。
「おーい、じゃあな」
 村沢と麻衣をやり過ごした大雄が少し離れたところから手を上げた。
「おう。俺は麻衣を送ってく」
 村沢は麻衣と二人で歩き出した。

 大雄はまた自分の部屋で考えている。
 青山にどんな言葉を送ればいいのだろう。
 今日渡そうとした手紙のこと。手紙を取られそうになって走り回ったこと。
 いや、もっと単純に、自分の素直な気持ち。
 色々考えてみても、どんな文章にすればいいのかわからない。
「あー、もう」
 大雄はスマホを手にした。
 ごちゃごちゃ考えているより、出たとこ勝負。文章を送るより口で言ったほうが早い。
 青山が今日のことを怒っているのなら、謝る。
 手紙の内容が気になっているのなら、正直に内容を伝える。
 薄々手紙の内容のことはわかっているだろうから、あなたのことが嫌いですと言われれば、清く身を引く。
 そんなことを考えながら、大雄は紙に書いてある青山の電話番号を震える手で押していった。

「はい」
「あ、青山?」
「うん、澄香だよ」
「あ、あの、野村です。今日はなんだか迷惑をかけたようで、悪かったと思って」
「別に、気にしてないよ、私は」
「それならいいけど。手紙は他人に読まれたら困る内容だったから。それで・・・・やっぱり、手紙で伝えるのは男らしくないと思って。だからはっきり言うけど、俺は」
「ちょっと待って。ごめんなさい。話しはここまで」
 青山の言葉を聞いていた大雄はスマホを耳に当てたまま、ああ、やっちまったという表情になる。
「あとは話さなくていいから。ごめんなさい」
「そうか」
 大雄は自分が振られたと悟った。
「手紙は取り戻せたの?」
「いや。川に落ちて流れていった」
「・・・・私、手紙がどこにあるか知ってる」
「え? 本当?」
「数学の教科書の間に挟まってる」
「え?」
「じゃ、切るね」
「え? どういうこと?」
「バイバイ」
 大雄は通話の切れたスマホを見つめた。
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