上 下
33 / 1,279

授業参観

しおりを挟む
 「マナト。お前は俺達に言ったんだ。虐待を受けて心を壊すわけにはいかない。精神が成熟した大人になってから、ゲイビデオに出て、虐待の疑似体験をして、最後の審判をしようと。そして、世間の価値観を直に知る事が出来る。俺達は、それを聞いて納得した。」
 「…ゲイビデオに出た事が、最後の審判だという自覚は無かったな…何も知らないでいる方が、正確な判断が出来ると思って記憶を無くしていたからだ…嫌だという気持ちがあって、自分の気持ちを分けていたから、ちょっと多重人格みたいな状態でやってた。俺の本意では無かったから、本当に辛かった。今でもまだ、心の傷が残って苦しみは続いてる…やらなければよかったと後悔もしているが、やって良かったと思いたい。それが、最後の審判を終わらせた、自分の誇りだと…俺なりに答えは出せた。人類には、まだ成長に時間がかかると。マナトは、俺は人類の成長を信じたいと思ってる。…まだ、はっきりじゃないが、何となく転生前のことを、感じられるようにはなった。中日如来や、ヨーデルの人、雅魔藻流、そして何より、釈っ迦…フナキから色々聞くまで、俺は何かおかしいとは思っていたが、はっきりと原因が分からなかった。だが、何か性的なことが原因で、人類に問題が起こっているんだろうとは、確信していたから、確かめる術もない…お前らが、俺を裏切って、情報を止めていたから…」
 「分かってるわ!償うわ!」
 「そうだな…お前らが、俺の足を引っ張らなければ、痛い目に合う事も無かったが、その時の俺には他に方法もなく、自ら虐待の経験をする必要があった。」
 「俺は馬鹿だった。自ら、自分の首を締めていたようなものだ…」
 「今でも止める気がないから、とんだマゾだな。」
 「そうしないと、生きられなかった…それでも心配してたんだ。マナトが、仕事を辞める頃、随分みすぼらしいというか、みっともない感じになっていて…」
 「あれは…仕事を辞める前に、他の皆を少しでも安心させておきたかっただけだ。自分だけが、惨めでどうしようもないと諦めて欲しく無かった。大して効果が無かったようで、残念だ…」
 「皆、心を壊して…自覚はしていないだろうが、俺のように…分体になって、気狂いじみた行動を繰り返してる連中は多い。」
 「解決出来ない理由は、分体になってるからだろうな。あんまり、詳しくないんだが、例えば、一つのパソコンの中の部品をバラして、多くのパソコンに入れて、動いてるから良しとしている状態みたいなもんだ。」
 「そうね!」
 「うん…本来、人は、唯一自立した生命なんだが、ただ生きてるって状態になってる。本来ならば、一つの行動をするのに、こうしたい、でも以前こんなことがあった、他の人が居る、何が自分にとって最善か…記憶や、感情、思考、様々なことを総合的に判断して、決定し、行動することで、満足した人生を送れるわけだが、その総合的な判断が出来ない状態と言える。だから、ステレオタイプを良しとして、それをまともだからいいと、ある意味インプットされた、行動しかとれない…」
 「そうだと思うわ!」
 …ありがとう…!
 見守られて授業参観してる気分だ…
 嬉しいやら、恥ずかしいやら、ヨーデルの人、14歳なのに…!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

悪夢‼「世界最速のスパコン」

蓮實長治
SF
「10年前には世界最速のスパコンでも一週間以上かかっていた計算をほんの1日か……下手したら数時間終えられる」スパコンが世界中に何台も有るようになった時代。 だが、そのせいで「最速のスパコン」そのものの定義が変ってしまい……。 「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「Novel Days」「ノベリズム」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

処理中です...