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一皮
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「チョココロネウイルス!そうね!チョココロネに見えないこともないわね!顕微鏡で見た拡大画像なんか、そう、見えないこともないわ!」
「必死のフォロー!ああ!美しいお嬢さん!貴方は見た目だけでなく心までお美しい!メルシー!マドモアゼル!」
「い、いいわよ!これくらいやるわよ!だって、何だか貴方苦手なんだもの…どうしてかしら…何だか似た匂いがするのだわ…」
「奇遇デスネ!お嬢さん!僕もなのデス!このテンションじゃないと、ここに立っているのも辛いのデス!」
「そ、そう…ねえ、貴方。似ているのは、何故かしら?」
俺に振られても…
「ああ!そこにいるのは!横浜銀河さんではありませんか?!」
「ああ…どうも、はじめまして。お噂はかねがね。色々な方から、ご活躍をお聞きしますよ。」
「ああ!何ということでしょう!僕!この、雅 魔・藻・流の活躍が、横浜銀河さんのお耳にまで届いているとは!恐悦至極!感無量!イッツ!マーベラス!」
シュバッと、開脚して、笑顔でポーズを決める。
白い歯が光を放っている。
芸能人同士、気が合ってるようで、なによりだ。
いやあ、良かった、良かった。
さて。
俺は、ヨーデルの人と話の続きをしようか。
「ちょっと、貴方ー!」
「え?俺?」
「そうですよ!貴方です!どうして、僕を放ったらかしにするんですか!あんな本物の芸能人と、二人きりにされて、僕、どうしていいのか分かりません…!」
段々、小声になる。
トーンがマジだ。
雅魔藻流のキャラを忘れてるんじゃないだろうか。
「そんなに芸能人が苦手だったら、何だってテレビに出たりしてるんだ?」
「それは、その…やっぱり売れてないと、不安っていうか…」
ああ、涙ぐましい…
可動明王といい、何だってそんな無理をしてまで…空っ海もだったな。
そして、完全に雅魔藻流のキャラは忘れている。
「前々から気になってたんだけど、何だって、そんなテンションなんだ?絡みにくいっていうか。テレビ関係者とか、困ってないか?」
「…困ってはいるような…こんなテンションなのは、ヤングマンを参考にしてるんですが、駄目でしょうか?」
ヤングマン?!
あの、お肌ツルツルで、女性には、キツイのに、何故か男性には甘い、金髪の悪魔と呼ばれる、ヤングマン?
「ヤングマンを参考にして、どうしてそうなったんだ?」
「ヤングマンもこんな風にしてませんか?無茶なことを他人に振って、ちょっと馬鹿にして、笑いを取って…」
そ、そう言われたら、確かにそうかもしれんが…
「いや、しかし、ヤングマンは、確かに無茶なことを振ってるように見えるが、相手がボケ易いようにしてるし、ちゃんと拾ってるぞ。相手を見て対応を変えたりしてるし、無理なことを押し通したりはしてない。無理そうなら、引いたり、自分で引き受けたりしてる。雅魔藻流は、何が正解か分からんから、上手くボケられない声優なんかが、痛い感じになってる。」
「それは、知りませんでした…」
嘘でしょ?
「あれ、雅魔藻流の嫌がらせだと思ってた…」
「それも、ちょっとあります…」
ちょっと、あるんかい!
「後さ、見た目がヤングマンとかけ離れてるだろ。ヤングマンがやって笑いになることでも、雅魔藻流がやったら、笑いにならないだろ?」
「そうでしょうか?」
「デブでブサイクな奴が、俺、イケメンだから、モテて困るんだよなあって言ったら、笑いになるけど、本当にイケメンが、イケメンだから、モテて困るって言ったら、殺意しか沸かんだろ?ヤングマンと、雅魔藻流の違いもそれと同じだよ。」
「ちょっと分かるような、分からないような…」
「いや、だって、え?本当に?あんな、王子様みたいなヒラヒラしたステージ衣装みたいな格好して、ヤングマンと同じ笑いが取れると思うの?何で?」
「王子様でしょうか…」
「王子様役やっとるし、普段から、何であんなヒラヒラした服着てんの?それで、突拍子ないことしてると、違和感しかないんだけど。何がしたいんだか、分からんかった。何がしたいの?」
「俺、俺…」
どうした?
シードでも弾けるのか?
俯いて、自分の肩を抱き締める、雅魔藻流。
くそぅ。
アニメの主人公気取りか。
ふぁさりと、明るい髪がたなびく。
「ま、まさか…!」
こいつもか…!
細く、長い手足。
華奢な肢体。
丸みを帯びた、小さな顔。
くっきりした目鼻立ち…
こいつも、美少年になりやがった!
「雅魔藻流から来た情報を、空っ海に送るわ!」
’第六感ー気付きの能力’
「…私の、前世を思い出しました…」
空っ海の居た場所に、初老の男性が立っている。
「迷惑を掛けた。儂が後の、空っ海。
ー釈っ迦だ。」
「必死のフォロー!ああ!美しいお嬢さん!貴方は見た目だけでなく心までお美しい!メルシー!マドモアゼル!」
「い、いいわよ!これくらいやるわよ!だって、何だか貴方苦手なんだもの…どうしてかしら…何だか似た匂いがするのだわ…」
「奇遇デスネ!お嬢さん!僕もなのデス!このテンションじゃないと、ここに立っているのも辛いのデス!」
「そ、そう…ねえ、貴方。似ているのは、何故かしら?」
俺に振られても…
「ああ!そこにいるのは!横浜銀河さんではありませんか?!」
「ああ…どうも、はじめまして。お噂はかねがね。色々な方から、ご活躍をお聞きしますよ。」
「ああ!何ということでしょう!僕!この、雅 魔・藻・流の活躍が、横浜銀河さんのお耳にまで届いているとは!恐悦至極!感無量!イッツ!マーベラス!」
シュバッと、開脚して、笑顔でポーズを決める。
白い歯が光を放っている。
芸能人同士、気が合ってるようで、なによりだ。
いやあ、良かった、良かった。
さて。
俺は、ヨーデルの人と話の続きをしようか。
「ちょっと、貴方ー!」
「え?俺?」
「そうですよ!貴方です!どうして、僕を放ったらかしにするんですか!あんな本物の芸能人と、二人きりにされて、僕、どうしていいのか分かりません…!」
段々、小声になる。
トーンがマジだ。
雅魔藻流のキャラを忘れてるんじゃないだろうか。
「そんなに芸能人が苦手だったら、何だってテレビに出たりしてるんだ?」
「それは、その…やっぱり売れてないと、不安っていうか…」
ああ、涙ぐましい…
可動明王といい、何だってそんな無理をしてまで…空っ海もだったな。
そして、完全に雅魔藻流のキャラは忘れている。
「前々から気になってたんだけど、何だって、そんなテンションなんだ?絡みにくいっていうか。テレビ関係者とか、困ってないか?」
「…困ってはいるような…こんなテンションなのは、ヤングマンを参考にしてるんですが、駄目でしょうか?」
ヤングマン?!
あの、お肌ツルツルで、女性には、キツイのに、何故か男性には甘い、金髪の悪魔と呼ばれる、ヤングマン?
「ヤングマンを参考にして、どうしてそうなったんだ?」
「ヤングマンもこんな風にしてませんか?無茶なことを他人に振って、ちょっと馬鹿にして、笑いを取って…」
そ、そう言われたら、確かにそうかもしれんが…
「いや、しかし、ヤングマンは、確かに無茶なことを振ってるように見えるが、相手がボケ易いようにしてるし、ちゃんと拾ってるぞ。相手を見て対応を変えたりしてるし、無理なことを押し通したりはしてない。無理そうなら、引いたり、自分で引き受けたりしてる。雅魔藻流は、何が正解か分からんから、上手くボケられない声優なんかが、痛い感じになってる。」
「それは、知りませんでした…」
嘘でしょ?
「あれ、雅魔藻流の嫌がらせだと思ってた…」
「それも、ちょっとあります…」
ちょっと、あるんかい!
「後さ、見た目がヤングマンとかけ離れてるだろ。ヤングマンがやって笑いになることでも、雅魔藻流がやったら、笑いにならないだろ?」
「そうでしょうか?」
「デブでブサイクな奴が、俺、イケメンだから、モテて困るんだよなあって言ったら、笑いになるけど、本当にイケメンが、イケメンだから、モテて困るって言ったら、殺意しか沸かんだろ?ヤングマンと、雅魔藻流の違いもそれと同じだよ。」
「ちょっと分かるような、分からないような…」
「いや、だって、え?本当に?あんな、王子様みたいなヒラヒラしたステージ衣装みたいな格好して、ヤングマンと同じ笑いが取れると思うの?何で?」
「王子様でしょうか…」
「王子様役やっとるし、普段から、何であんなヒラヒラした服着てんの?それで、突拍子ないことしてると、違和感しかないんだけど。何がしたいんだか、分からんかった。何がしたいの?」
「俺、俺…」
どうした?
シードでも弾けるのか?
俯いて、自分の肩を抱き締める、雅魔藻流。
くそぅ。
アニメの主人公気取りか。
ふぁさりと、明るい髪がたなびく。
「ま、まさか…!」
こいつもか…!
細く、長い手足。
華奢な肢体。
丸みを帯びた、小さな顔。
くっきりした目鼻立ち…
こいつも、美少年になりやがった!
「雅魔藻流から来た情報を、空っ海に送るわ!」
’第六感ー気付きの能力’
「…私の、前世を思い出しました…」
空っ海の居た場所に、初老の男性が立っている。
「迷惑を掛けた。儂が後の、空っ海。
ー釈っ迦だ。」
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