13 / 1,279
まんだーら
しおりを挟む
「詳しく話を聞こうか。」
「切り替えが早いですね。そういう所も素敵です。」
爽やかさを保ちつつも、熱い視線を向けられる。
何故じゃ…
好意を持たれるような場面があったろうか?
先程の出来事を思い起こす。
…マイナス要因しか見当たらない。
だが、しかし。
「じゃ遊びをしていて、中日如来に違和感を感じたんだが、どうしてだか分かるか?」
「相手になりきると、感覚の共有が出来るのじゃ。マナトが中日如来になったから、より儂の問題が分かり易くなったのやもしれんのう。」
「なるほど…能力を使ってみるぞ。」
’第六感ー気付きの能力’
「…どうだ?」
「違和感の原因はまんだーらのようじゃ。まんだーらに固定されて動けんように感じるのう。」
「まんだーらに固定されてる?…確か宇木先生が、けいしんは、まんだーらの中国的改変を行ったと言っていたが、どういうことだ?」
「元々あった、まんだーらより、強力なものを作ったのじゃ。具体的に言うと、元々あった梵っ字に手を加えて、強力な梵っ字を作ったのじゃ。通常の梵っ字の力を打ち消す事が出来るのじゃ。中日如来の梵っ字は中日如来しか使えん。」
「へえ…よく分からんが、かなりすごいことなんじゃないか?」
「多分なのですが…」
神妙な面持ちで、話を聞いていた横浜銀河が、口を開いた。
「俺はその力を使って、芸能界の価値観を変えようとしていたのだと思います。何か気分の悪い事があって、良くなればいいと強く願ったら、少し変わった事があったように思います。話を聞いて、その梵っ字を使っていたのだと気付きました。」
「見た目も中身もイケメンとか…まあいい。別々に存在していても、能力は使えるのか…どうして、中日如来と、横浜銀河は別々に存在しているんだ?」
「…恥ずかしながら、人を救うことにうんざりした、中日如来の一部が、横浜銀河として、別の人生を生きたいと思うようになったのです。」
「それでも、人を救いたいって気持ちは変わらなかったんだな。」
「貴方にそう言ってもらえたなら、頑張った甲斐があったのかな。」
そう言って、流し目をくれる。
テレビで見たことある!
凄い破壊力だ!
きっと、少し微笑んで見詰めただけで、どんな気位の高い女だって、素敵!抱いて!ってメロメロになるに違いないのだ。
なんて、羨ましい。
男として、負けた気がする。
悔しい。
ギャフンと言わせてやりたい。
「俺の第六感が告げている。横浜銀河と中日如来が融合すれば、事態は進展する。」
「そうじゃのう。儂もそんな気がするのじゃ。」
「…それは、ちょっと…」
横浜銀河は言い淀む。
何かね。
何か問題でもあるのかね。
「自分があんなに馬鹿っぽいのだと思うと、ちょっと…」
「すかしておるのじゃ!」
「けしからんのじゃ。横浜銀河とやら。偏見はいかんのじゃ。」
「…分かりましたから、中日如来になって、スピーカーで責めるのは止めて下さい。じゃあ、融合しますけど、絶対笑わないで下さいね?」
「笑ったりするものか。」
「ぷぷーっ」
「笑わないって言った癖に!」
胸がすっとした。
想像以上だった。
目の前には、何だかこう、行楽地によくある、イラストが描かれた板に顔の所だけ穴が空いてて、そこから顔を出すヤツ、あれの仏像の顔だけ横浜銀河になってる。
「集中するのじゃ!」
グラグラしながら、錫杖をシャンシャンやっている。
「可動明王と融合は出来ないのか?」
「横浜銀河はすかしておるから、儂は気に食わないのだ。だから、融合出来ん。」
可動明王は腕組みをして、ご立腹だ。
苦虫をかみ潰したような顔をして、横浜銀河を睨んでいる。
「イケメンざまぁ!」
「貴方にイケメンだって言われると怒るに怒れないっ…」
目を伏せ、悔しそうにシャンシャンやっている。
「何か来るのじゃ。」
そうやってしばらく、シャンシャンやっていると、横浜銀河と融合した、中日如来が言った。
どうなってるんだか分からんが、喋る時はちょっと離れている。
「また、中日如来の分体か?」
「分からんのじゃ。じゃが、とても親しい感じがするのじゃ。」
可動明王も心なしか柔らかい表情をしている。
何が現れるのか興味津々で待っていると、人影が射した。
古めかしい着物姿だ。
「お久しぶりです。お師匠様。」
「切り替えが早いですね。そういう所も素敵です。」
爽やかさを保ちつつも、熱い視線を向けられる。
何故じゃ…
好意を持たれるような場面があったろうか?
先程の出来事を思い起こす。
…マイナス要因しか見当たらない。
だが、しかし。
「じゃ遊びをしていて、中日如来に違和感を感じたんだが、どうしてだか分かるか?」
「相手になりきると、感覚の共有が出来るのじゃ。マナトが中日如来になったから、より儂の問題が分かり易くなったのやもしれんのう。」
「なるほど…能力を使ってみるぞ。」
’第六感ー気付きの能力’
「…どうだ?」
「違和感の原因はまんだーらのようじゃ。まんだーらに固定されて動けんように感じるのう。」
「まんだーらに固定されてる?…確か宇木先生が、けいしんは、まんだーらの中国的改変を行ったと言っていたが、どういうことだ?」
「元々あった、まんだーらより、強力なものを作ったのじゃ。具体的に言うと、元々あった梵っ字に手を加えて、強力な梵っ字を作ったのじゃ。通常の梵っ字の力を打ち消す事が出来るのじゃ。中日如来の梵っ字は中日如来しか使えん。」
「へえ…よく分からんが、かなりすごいことなんじゃないか?」
「多分なのですが…」
神妙な面持ちで、話を聞いていた横浜銀河が、口を開いた。
「俺はその力を使って、芸能界の価値観を変えようとしていたのだと思います。何か気分の悪い事があって、良くなればいいと強く願ったら、少し変わった事があったように思います。話を聞いて、その梵っ字を使っていたのだと気付きました。」
「見た目も中身もイケメンとか…まあいい。別々に存在していても、能力は使えるのか…どうして、中日如来と、横浜銀河は別々に存在しているんだ?」
「…恥ずかしながら、人を救うことにうんざりした、中日如来の一部が、横浜銀河として、別の人生を生きたいと思うようになったのです。」
「それでも、人を救いたいって気持ちは変わらなかったんだな。」
「貴方にそう言ってもらえたなら、頑張った甲斐があったのかな。」
そう言って、流し目をくれる。
テレビで見たことある!
凄い破壊力だ!
きっと、少し微笑んで見詰めただけで、どんな気位の高い女だって、素敵!抱いて!ってメロメロになるに違いないのだ。
なんて、羨ましい。
男として、負けた気がする。
悔しい。
ギャフンと言わせてやりたい。
「俺の第六感が告げている。横浜銀河と中日如来が融合すれば、事態は進展する。」
「そうじゃのう。儂もそんな気がするのじゃ。」
「…それは、ちょっと…」
横浜銀河は言い淀む。
何かね。
何か問題でもあるのかね。
「自分があんなに馬鹿っぽいのだと思うと、ちょっと…」
「すかしておるのじゃ!」
「けしからんのじゃ。横浜銀河とやら。偏見はいかんのじゃ。」
「…分かりましたから、中日如来になって、スピーカーで責めるのは止めて下さい。じゃあ、融合しますけど、絶対笑わないで下さいね?」
「笑ったりするものか。」
「ぷぷーっ」
「笑わないって言った癖に!」
胸がすっとした。
想像以上だった。
目の前には、何だかこう、行楽地によくある、イラストが描かれた板に顔の所だけ穴が空いてて、そこから顔を出すヤツ、あれの仏像の顔だけ横浜銀河になってる。
「集中するのじゃ!」
グラグラしながら、錫杖をシャンシャンやっている。
「可動明王と融合は出来ないのか?」
「横浜銀河はすかしておるから、儂は気に食わないのだ。だから、融合出来ん。」
可動明王は腕組みをして、ご立腹だ。
苦虫をかみ潰したような顔をして、横浜銀河を睨んでいる。
「イケメンざまぁ!」
「貴方にイケメンだって言われると怒るに怒れないっ…」
目を伏せ、悔しそうにシャンシャンやっている。
「何か来るのじゃ。」
そうやってしばらく、シャンシャンやっていると、横浜銀河と融合した、中日如来が言った。
どうなってるんだか分からんが、喋る時はちょっと離れている。
「また、中日如来の分体か?」
「分からんのじゃ。じゃが、とても親しい感じがするのじゃ。」
可動明王も心なしか柔らかい表情をしている。
何が現れるのか興味津々で待っていると、人影が射した。
古めかしい着物姿だ。
「お久しぶりです。お師匠様。」
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説


元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる