9 / 9
9
しおりを挟む
「ちょっと待ったあああ!」
ーバアアンッ
「「アオ?!」」
驚いて振り向く二人。
ちょっと待ったあ!って一回言ってみたかった。
何かこういう場面じゃなかった気がするけど。
ていうか、こういう場面って、どういう場面?
何処から妄想で、何処から現実なの?
此処は屋上で、私が開けたのは、屋上の扉。オーケー。
そして、問題は重なり合う二人。
喧嘩をしてるんだか、エロいことをしてるんだか判別出来ない。
腐女子としては、エロにしか見えない。
きっと、私の目と頭が腐っているのね。
きっと喧嘩をしていたんだわ。
だって、映画ではそうだったもの。
聞いてみよう。
「二人とも。何してるの?」
「えっ?!何って…」
ナニですか?
いやいや、巫山戯てる場合じゃなくて。
どうしてそんなに、挙動不審なの、レオ!
どうして、そんなに恥ずかしそうなの?
まるで、疚しいことでもあるかのようだわ!
いいえ、気のせいよ。
これは、私の目と頭が腐っているから、そう見えるだけ。
聞いてみよう。
「二人はお互いの事、どう思ってるの?」
「え?俺達?」
キョトンとした顔をして、お互いを見合う。
ほら、何の事って顔してるわ。
やっぱり、気のせいよ!
「まあ、ちょっと面倒な所もあるけど、信用はしてるかな。親友って言ってもいいくらいには…」
ふむふむ、なるほど。
「恋人にするなら、どう?」
「恋人?こいつを?う~ん、まあ、いい奴だし、格好良い所もあるし…」
「俺もそうだな。他の奴を相手にするくらいなら、まだいいかな。やってもいいくらいには。」
「やっぱ、出来てんじゃねえか!!」
ーバアアンッ
来た時同様、扉を勢いよく開く。
「おい!お前、余計なこと言うんじゃねえよ!」
「俺は正直者なんだよ。」
「絶対、俺に対する嫌がらせだろ!まあいい、兎も角追うぞ!」
廊下をひた走るアオ。
くそー!
あるのかどうか分からんけど、乙女心を玩びやがって!
復讐してやる。
目にもの見せてくれるわ!
奇しくも今日は、文化祭。
どいつもこいつも浮かれやがって、羨ましいことこの上ない。
私なんて、二人のイケメンに取り合いされてたと思ったら、私を出汁にして、イケメン同士でイチャコラしてたなんて!
腐女子はね!
現実には違うんだけど、もしかしてラブラブだったらいいなあって妄想するのがいいの!
本当に出来てるとか要らない!
私の悲しみよ!
鉛筆に力を注いで!
「いでよ!スケッチブック!」
今すぐお前らを地獄に落としてくれるわ!
地獄絵図と化すがいい!
校庭に作られたステージ。
その脇に建てられた櫓。
その櫓に立つアオ。
厳かにメガホンを手に取った。
「私とレオとリュウが付き合ってるなんて嘘です!本当のカップルは、この二人です!」
その日、校庭に多くの紙が舞い降りた。
「なんだこれ?」
「BL?」
腐の紙々が校庭を埋め尽くした。
これ、レオとリュウじゃ、なんて話がまことしやかに囁かれ、二人はゾッとする。
「おい、どうする?」
「動揺するな。慌てれば自分達だって認めるようなものだ。それより…」
「どうぞ、お幸せに!」
メガホン片手に、スケッチブックのページを降らせるアオ。
「アオ!誤解だ!俺が愛してるのは、アオだけだ!」
「俺が一番欲しいと思ってるのは、アオ、お前だ!」
睨み合うレオとリュウ。
「「お前には、負けない!」」
ーおお、腐の紙よ!
アオが夕日に照らされ、後光のように輝く。
その後、文化祭に腐の紙を降らせた神として、しばらくアオが話題の人になった。
ーバアアンッ
「「アオ?!」」
驚いて振り向く二人。
ちょっと待ったあ!って一回言ってみたかった。
何かこういう場面じゃなかった気がするけど。
ていうか、こういう場面って、どういう場面?
何処から妄想で、何処から現実なの?
此処は屋上で、私が開けたのは、屋上の扉。オーケー。
そして、問題は重なり合う二人。
喧嘩をしてるんだか、エロいことをしてるんだか判別出来ない。
腐女子としては、エロにしか見えない。
きっと、私の目と頭が腐っているのね。
きっと喧嘩をしていたんだわ。
だって、映画ではそうだったもの。
聞いてみよう。
「二人とも。何してるの?」
「えっ?!何って…」
ナニですか?
いやいや、巫山戯てる場合じゃなくて。
どうしてそんなに、挙動不審なの、レオ!
どうして、そんなに恥ずかしそうなの?
まるで、疚しいことでもあるかのようだわ!
いいえ、気のせいよ。
これは、私の目と頭が腐っているから、そう見えるだけ。
聞いてみよう。
「二人はお互いの事、どう思ってるの?」
「え?俺達?」
キョトンとした顔をして、お互いを見合う。
ほら、何の事って顔してるわ。
やっぱり、気のせいよ!
「まあ、ちょっと面倒な所もあるけど、信用はしてるかな。親友って言ってもいいくらいには…」
ふむふむ、なるほど。
「恋人にするなら、どう?」
「恋人?こいつを?う~ん、まあ、いい奴だし、格好良い所もあるし…」
「俺もそうだな。他の奴を相手にするくらいなら、まだいいかな。やってもいいくらいには。」
「やっぱ、出来てんじゃねえか!!」
ーバアアンッ
来た時同様、扉を勢いよく開く。
「おい!お前、余計なこと言うんじゃねえよ!」
「俺は正直者なんだよ。」
「絶対、俺に対する嫌がらせだろ!まあいい、兎も角追うぞ!」
廊下をひた走るアオ。
くそー!
あるのかどうか分からんけど、乙女心を玩びやがって!
復讐してやる。
目にもの見せてくれるわ!
奇しくも今日は、文化祭。
どいつもこいつも浮かれやがって、羨ましいことこの上ない。
私なんて、二人のイケメンに取り合いされてたと思ったら、私を出汁にして、イケメン同士でイチャコラしてたなんて!
腐女子はね!
現実には違うんだけど、もしかしてラブラブだったらいいなあって妄想するのがいいの!
本当に出来てるとか要らない!
私の悲しみよ!
鉛筆に力を注いで!
「いでよ!スケッチブック!」
今すぐお前らを地獄に落としてくれるわ!
地獄絵図と化すがいい!
校庭に作られたステージ。
その脇に建てられた櫓。
その櫓に立つアオ。
厳かにメガホンを手に取った。
「私とレオとリュウが付き合ってるなんて嘘です!本当のカップルは、この二人です!」
その日、校庭に多くの紙が舞い降りた。
「なんだこれ?」
「BL?」
腐の紙々が校庭を埋め尽くした。
これ、レオとリュウじゃ、なんて話がまことしやかに囁かれ、二人はゾッとする。
「おい、どうする?」
「動揺するな。慌てれば自分達だって認めるようなものだ。それより…」
「どうぞ、お幸せに!」
メガホン片手に、スケッチブックのページを降らせるアオ。
「アオ!誤解だ!俺が愛してるのは、アオだけだ!」
「俺が一番欲しいと思ってるのは、アオ、お前だ!」
睨み合うレオとリュウ。
「「お前には、負けない!」」
ーおお、腐の紙よ!
アオが夕日に照らされ、後光のように輝く。
その後、文化祭に腐の紙を降らせた神として、しばらくアオが話題の人になった。
0
お気に入りに追加
5
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
好きな人がいるならちゃんと言ってよ
しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる