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プロローグ
恋愛のはじまり
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「あ、そこ、危ないよ」
私の背後から鳥が猛スピードで飛んでくる。
「ーー!」
驚いた私は声も出ず、鳥に押され階段から転げ落ちてしまったーー。
私の名前は木青 春、高1。楽しい楽しい高校ライフを送りつつ、少しずつ好きな人も出来るかも…?なんて思いながら高校の入学式を終えた。
その時点で、好きな人ができていた。
入学式が終わった後。校門を出たら、何人か2年生の先輩がいた。
(先輩達かっこいいな…)
そんな事思いながら歩いていたら、前に数人の先輩男子が並んで歩いていた。
その真ん中。一際目立つ高身長。茶色がかった髪に似合う、とても長い足。
私の目が見開かれた。思わず、抱きつこうと足をぐっと踏み込んでしまった。
私はその先輩に一目惚れしてしまった。
その先輩を探る為に、私は少し数人の先輩男子の話を聞くことにした。
「1年生達、高校に慣れるかな?」
1番右の先輩が言った。
「分かんない。案外、大変すぎて泣いちゃったりして」
1番左の先輩がふざけて言った。すると今度は、愛しの先輩が口を開いた!
「まあ、先輩としてしっかりと見本になりたいよね」
普通の声だったが、私にとっては神様の様な声に聞こえる。
独りでに、頬を赤らめてしまった。
「流石、景太はしっかりしてるねぇ」
名前が聞けた!景太先輩というらしい。名前が聞けただけでも、その日の私にとっては大収穫だった。
ボーっとしながら先輩達の後をついて行っていたら、急に背中を強く叩かれた。それに私は凄く驚き、すかさず後ろを向く。
「何、ボーっとしてんのよ、春」
声をかけてきたのは、幼馴染で仲良しの友達・荒風 優だった。
小学生の頃から私とは大の仲良しで、休みの日は2人で遊ぶ日がかなり多かったと思う。
髪が少し赤みがかっていて、背は私よりも高い。やんちゃという訳でもないが、大人しい訳でもない。スタイルの割に体育が苦手らしい。結構モテる。
「私たちの帰り道、あっちでしょ?」
「う、うん。そうだね。帰ろうか。」
そう言って、先輩達に背を向けて歩き出した。
横の高校に咲いている桜の花の花びらが、私の頬に付いた。
私が通い始めた高校・富椿高等学校は、高台を少し登った先にある。
教室からは海が見え、その高台の1番崎には灯台がある。だから、生徒達はよく学校終わりに灯台の近くで遊んでいるらしい。それでよく怒られているらしい。
富椿高校は、意外と頭が良い人が行く高校で、私は何とか入試に受かった、という感じだった。
私は絶対に、1年後には恋を成立させて、ボーイフレンドが出来ていたい。1年後には、絶対に。
何故私が、1年後までに絶対に恋を成立させたいのか。それは…
私は1年後に、死ぬ約束になっている。
大病とか、死神とか、そんな有り得ない様なものではない。
時は、16年前に遡る。
16年前。私の母は、ここだけの話とんでもないろくでなしだ。私が産まれる前にもう母は結婚していたのだが、生活態度が酷く、父にはかなり嫌われていたらしい。おかげで大量に借金を抱え、ダメダメな人生になっていた。
そんな時に、私が産まれた。
だが母には私を育てられる程の金が無かった。そこで母は、してはいけない選択をしてしまった。
母は、闇市で私を1500万で売った。
だが、それには猶予があった。
私が17歳になったら、私を殺して、正式に売るというのだ。
私は産まれた時から良い子と言われてきた。
赤子の頃も沢山髪が生えていたし、目が美しい青色だし、決して絶世の美女では無いが綺麗な顔をしているし。だから1500万で売られた。
それを聞いたとき、私が殺されるなら、育ててくれた意味無いじゃん…と言いたくなったけど、私は硬く口を閉じた。
母は私のために頑張ってくれている。だけど私が、そんな母を否定するような言葉を言ってしまうと…どうにもいかなくなってしまいそうだった。だから私は、我慢した。母の仕事も手伝った。
そんな私には、ある夢があった。10歳の頃に読んだ、恋愛漫画。美女と美男子が両思いで、2人の距離はどんどん近まっていって…みたいな内容だった。そんな恋に、私は憧れた。私もそんな完璧な恋をしてみたい。好きな男の子をつくりたい。そう、ずっと思っていた。
そして現在。今見事に、好きな人が出来た。絶対に、そう…「景太先輩」と恋をしたい。成立させたい。その為にはまず、先輩に近づかなくては。そう思った私は、恋の作戦を立て始めた。
恋の作戦といっても、まずは先輩のフルネームを聞いたり、先輩と接触したり。まずはそこからチャレンジだ。
私はその日の夜、自分の部屋の机に向かって、考えていた。どうしたら景太先輩と恋愛をできるか。
「うーん、まあやっぱりベターなのは、『運命の曲がり角』作戦かな…?」
『運命の曲がり角』作戦とは、まず女の子…私が、寝坊して遅刻して、パンを咥えて家を出て。学校の廊下の曲がり角で、好きな男の子…景太先輩とドンっとぶつかる…そこから2人の恋が始まる。まずはその作戦を実行しようと思う。
だが。私の場合、本当に寝坊してしまいそうで心配になる。
(どうしよ…)
私は悩んだ。だが、本当に寝坊したならそれもそれで好都合。起きたての、寝癖だらけの私の姿をみたら、ズッキュンとなっちゃうんじゃ…?なんて思った。
もう、実行するしかない。
こうして私の恋の物語は始まった。
私の背後から鳥が猛スピードで飛んでくる。
「ーー!」
驚いた私は声も出ず、鳥に押され階段から転げ落ちてしまったーー。
私の名前は木青 春、高1。楽しい楽しい高校ライフを送りつつ、少しずつ好きな人も出来るかも…?なんて思いながら高校の入学式を終えた。
その時点で、好きな人ができていた。
入学式が終わった後。校門を出たら、何人か2年生の先輩がいた。
(先輩達かっこいいな…)
そんな事思いながら歩いていたら、前に数人の先輩男子が並んで歩いていた。
その真ん中。一際目立つ高身長。茶色がかった髪に似合う、とても長い足。
私の目が見開かれた。思わず、抱きつこうと足をぐっと踏み込んでしまった。
私はその先輩に一目惚れしてしまった。
その先輩を探る為に、私は少し数人の先輩男子の話を聞くことにした。
「1年生達、高校に慣れるかな?」
1番右の先輩が言った。
「分かんない。案外、大変すぎて泣いちゃったりして」
1番左の先輩がふざけて言った。すると今度は、愛しの先輩が口を開いた!
「まあ、先輩としてしっかりと見本になりたいよね」
普通の声だったが、私にとっては神様の様な声に聞こえる。
独りでに、頬を赤らめてしまった。
「流石、景太はしっかりしてるねぇ」
名前が聞けた!景太先輩というらしい。名前が聞けただけでも、その日の私にとっては大収穫だった。
ボーっとしながら先輩達の後をついて行っていたら、急に背中を強く叩かれた。それに私は凄く驚き、すかさず後ろを向く。
「何、ボーっとしてんのよ、春」
声をかけてきたのは、幼馴染で仲良しの友達・荒風 優だった。
小学生の頃から私とは大の仲良しで、休みの日は2人で遊ぶ日がかなり多かったと思う。
髪が少し赤みがかっていて、背は私よりも高い。やんちゃという訳でもないが、大人しい訳でもない。スタイルの割に体育が苦手らしい。結構モテる。
「私たちの帰り道、あっちでしょ?」
「う、うん。そうだね。帰ろうか。」
そう言って、先輩達に背を向けて歩き出した。
横の高校に咲いている桜の花の花びらが、私の頬に付いた。
私が通い始めた高校・富椿高等学校は、高台を少し登った先にある。
教室からは海が見え、その高台の1番崎には灯台がある。だから、生徒達はよく学校終わりに灯台の近くで遊んでいるらしい。それでよく怒られているらしい。
富椿高校は、意外と頭が良い人が行く高校で、私は何とか入試に受かった、という感じだった。
私は絶対に、1年後には恋を成立させて、ボーイフレンドが出来ていたい。1年後には、絶対に。
何故私が、1年後までに絶対に恋を成立させたいのか。それは…
私は1年後に、死ぬ約束になっている。
大病とか、死神とか、そんな有り得ない様なものではない。
時は、16年前に遡る。
16年前。私の母は、ここだけの話とんでもないろくでなしだ。私が産まれる前にもう母は結婚していたのだが、生活態度が酷く、父にはかなり嫌われていたらしい。おかげで大量に借金を抱え、ダメダメな人生になっていた。
そんな時に、私が産まれた。
だが母には私を育てられる程の金が無かった。そこで母は、してはいけない選択をしてしまった。
母は、闇市で私を1500万で売った。
だが、それには猶予があった。
私が17歳になったら、私を殺して、正式に売るというのだ。
私は産まれた時から良い子と言われてきた。
赤子の頃も沢山髪が生えていたし、目が美しい青色だし、決して絶世の美女では無いが綺麗な顔をしているし。だから1500万で売られた。
それを聞いたとき、私が殺されるなら、育ててくれた意味無いじゃん…と言いたくなったけど、私は硬く口を閉じた。
母は私のために頑張ってくれている。だけど私が、そんな母を否定するような言葉を言ってしまうと…どうにもいかなくなってしまいそうだった。だから私は、我慢した。母の仕事も手伝った。
そんな私には、ある夢があった。10歳の頃に読んだ、恋愛漫画。美女と美男子が両思いで、2人の距離はどんどん近まっていって…みたいな内容だった。そんな恋に、私は憧れた。私もそんな完璧な恋をしてみたい。好きな男の子をつくりたい。そう、ずっと思っていた。
そして現在。今見事に、好きな人が出来た。絶対に、そう…「景太先輩」と恋をしたい。成立させたい。その為にはまず、先輩に近づかなくては。そう思った私は、恋の作戦を立て始めた。
恋の作戦といっても、まずは先輩のフルネームを聞いたり、先輩と接触したり。まずはそこからチャレンジだ。
私はその日の夜、自分の部屋の机に向かって、考えていた。どうしたら景太先輩と恋愛をできるか。
「うーん、まあやっぱりベターなのは、『運命の曲がり角』作戦かな…?」
『運命の曲がり角』作戦とは、まず女の子…私が、寝坊して遅刻して、パンを咥えて家を出て。学校の廊下の曲がり角で、好きな男の子…景太先輩とドンっとぶつかる…そこから2人の恋が始まる。まずはその作戦を実行しようと思う。
だが。私の場合、本当に寝坊してしまいそうで心配になる。
(どうしよ…)
私は悩んだ。だが、本当に寝坊したならそれもそれで好都合。起きたての、寝癖だらけの私の姿をみたら、ズッキュンとなっちゃうんじゃ…?なんて思った。
もう、実行するしかない。
こうして私の恋の物語は始まった。
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