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6.街へおでかけ1
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澄んだ青空、暑くも寒くもない、最高にいい天気です!
起きてすぐベッドを飛び出し、カーテンを開けて、お天気を確認した私は、小躍りしました。
「お嬢様、朝から浮かれていますねえ。お気持ちはわかりますが、お約束は午後からですよ。今からそんなにはしゃいでいると、出掛ける頃には疲れ果てて、寝込んでしまいますよ。」
いつの間にか部屋に入ってきていた、侍女のニコラにそう窘められても、私のわくわくは治まりません。
だって、今日はレイと初めて街へいく日なのですから!
彼は、あの時約束したとおり、婚約が決まってすぐの休みに、街へ誘ってくれました。
ところが、当日は雨で、心配性の父の許可が出なかったのです。
仕方なく、我が家でのお茶会に変更となりました。
せっかくお出かけ着の中で、一番お気に入りのオレンジ色のワンピースを着て、髪も、街で目立たないよう、ハーフアップにグリーンのリボンをつけるだけにしたのですが。
家でお茶会なら、ドレスとか、髪型とか、もっと違う感じにして見てもらいたかったです。
レイも今日は当然、騎士の制服ではなく、濃いブラウンのズボンとジャケット姿です。タイは赤ですか。
さらさらの髪が今日はちょっとだけ整えられていて、いつも以上に格好良いです。
雨の日なのに、彼の周囲だけ、なんだか眩しい・・・。
ぼうっとしていたら、落ち込んでいると思われて、また次があるから、と慰められてしまいました。
街へ行けなくて、残念な気持ちも、もちろんありますが、本当は貴方に見惚れていただけなのですけどね。
確かに、街へ行く機会はこれからいくらでもあるし、まだお互いの事を深くは知らないし、二人でゆっくりお話するのもいいな、と思ったのですが。
全くもって、二人ではありませんでした。
いくつかある客間の内、一番小さな部屋で、彼とお茶をしていると、入れ代わり立ち代わり、父や母や長兄が、私達の会話に参加しに来るのです。
その度に、私の小さな頃の話やら、失敗談などを面白おかしく話すものですから、彼が笑い過ぎて最後、呼吸困難に陥っていました。
私は、もちろん、超、不機嫌になりました。
誰が、自分の失敗談を婚約者に知られたいでしょうか。笑われたいでしょうか。
もし、これで私が愛想尽かされ、嫌われたら、どうするつもりなのでしょうか?
嫌われたら!
婚約解消!
そうです、それはいつ現実になってもおかしくありません!
大体、私達の婚約はまだ口約束の段階で、国王陛下の許可が降りるまでは、正式なものではないのです。
それすなわち、いつでもなかったことにできるということ!
そこまで考えて、私は真っ青になりました。
何度も言いますが、噂によれば、彼は大変モテるそうです。夜会ではいつもご令嬢方に取り囲まれているとか。
私に愛想が尽きたら、嫌いになったら、あっさり他の令嬢に乗り換える事ができてしまうのです。
小さな頃から好きだったと言って貰いましたが、こんな話ばかり聞かされたら、思ってたのと違ったと、幻滅されてしまう可能性大です。
思い出とは美化されるものですしね!
私は、一体どうしたら?!
「あらあら、リディがまた、頭抱えてネガティブ思考に陥っちゃってるわ。ごめんなさいね、レイ。」
「伯爵夫人、彼女はよくこうなるのですか?」
「ええ、ちょっと色々あって自信がなさ過ぎる子になっちゃって。私達の自慢の娘なのだけれど。」
「・・・それは、何処ぞの男にじろじろ顔を見るな、と言われたという話ですか。」
「あら、ご存知だったの?それはまた、貴方は一日で随分、リディの心に入り込んだのねえ。私達ですら、そのことを知ったのは、随分後だったのよ?」
「彼女を傷つけたのは誰です?」
「まあ、貴方ったら、怖い顔。言った相手は、わからないの。この子が言いたがらなくて。本人も、多分名前を知らなかったのだと思うわ。」
「そうでしたか。そろそろ、彼女には言われたことを忘れてほしいですね。可愛いのに自信がなくて俯きっぱなしなのは、勿体ないですよ。僕はどんな彼女でも好きですけどね。」
「ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいわ。ちょっと、ネガティブ過ぎて時々とんでもない行動をする娘だけれど、大事なの。よろしくね?」
「もちろんです。」
「うふふ、親友の子と自分の子が恋仲になるって不思議ね。では、お邪魔したわね、もう行くわ。リディをこんな状態でおいていくけど、ごめんなさいね。」
「大丈夫です。任せてください。」
こんな会話が頭上でされているとも知らず、私はひたすら嫌われない方法を考えていたのでした。
「リディ、そろそろ、僕のところに戻って来てくれる?」
彼の声で、顔を上げると、いつの間にか部屋に二人きりになっていました。
さっきまで、私が5歳の時に次兄に唆されて、本当にカラスは光り物を獲って行くのか、という実験をした挙げ句、お気に入りのブレスレットを見事に持って行かれて、大泣きした話を、身振り手振り交えて語っていた母は、どこへ行ったの?
きょろきょろと部屋を見回す私の頬を、彼は両手で挟んで自分の方に固定すると、額をこつんとぶつけてきました。
顔、近いっ!いや、くっついてる!
近すぎることに動揺して、彼から距離をとろうと試みましたが、顔を捕まえられていては、どうしようもありません。
しょうがないので、口で抗議することにします。
「レイ、いつの間に隣に移動してきたのですか?!少しばかり近すぎやしませんか?!」
だって、貴方はずっと向かいのソファに座ってましたよね?
「君が、僕を放ったらかしにして考え込んでいる間に。せっかく婚約者になったのだから、隣に座りたかったし、ずっとこうやって触れたかった。」
彼はちょっと拗ねた声で、そう言いながら、頬を挟んでいた手をそのまま背中に滑らせて、私の腰の後ろに回し、そこで両手をぎゅっと組みました。
私はすっぽり腕の中に閉じ込められる体勢になりまして、心臓が爆発しそうです。
最近、密かに人の顔を正面から見つめる練習をしている私ですが、好きな相手の顔を、こんな至近距離で見つめるというのはまだ、難易度が高すぎると思います。
という訳で、すっと視線をずらした途端、頭が肩に乗せられました。
「リディ、さっきは僕のこと忘れて、何を考えていたの?」
ちょっと待って、そのままの姿勢で喋られると息が、肩にかかって?!
心臓、爆発しました。私、瞬間で燃え尽きました。現在、灰です。
逆上せて言葉がでなくて、わたわたしていると、さらに彼が、顔を首筋にすり寄せてきて、
「ねえ、また僕のこと忘れてる?」
と言うものですから、もう本当に限界超えてしまって、つい、考えていたことをそのまま、ぽろっと、うっかり声に出してしまいました。
「婚約解消についてですね、・・・あっ」
ぱっと頭を上げて、私の肩に両手を置いた彼はとても焦った声で叫びました。
「は?!婚約解消って言った?絶対にしないよ?!リディを手放すもんか!なんでそうなるの?!」
大変、彼の目が理由を吐くまで離さないって言ってます。肩に置かれた手にも、力が加わってきているような・・・。
これは、黙っていてはいけませんよね。思っていることを言葉にして、人に伝えるのは難しくて、つい察してと願ってしまうのは、私の悪い所です。
私の気持ちを、ちゃんと伝えられるかどうか不安なのですが、彼は私の話を聞いてくれる人ですから、ここは正直に話してみます。
「私の宣伝をして欲しかったわけでは無いのですけども、父の母も兄も、私の失敗や笑い話ばかり話すので、こんな私ばかり知られてしまっては、貴方に愛想を尽かされてしまうと思ったのです。」
話している内に、彼のつり上がっていた目がだんだん元に戻って、ものすごくほっとした様子に変わっていきます。私の言葉は無事に届きましたか?
「やれやれ、僕がそれくらいで、君に愛想を尽かすことはないから。皆、僕の知らない君のことを教えてくれたんだよ。失敗も成功も全部含めて今の君なんじゃないか。僕は今のままのリディが大好きだし、皆の話を聞いて、嫌いになるどころか、もう可愛すぎて愛しくてたまらなくなったよ。」
彼はそう言いながら、ふわっと笑みを浮かべると、ぎゅうっと抱きしめてきました。少々、苦しいですが、彼の匂いに包まれるとドキドキすると同時に、安心します。
しかし、私のことを可愛すぎとか、貴方の目を心配してしまいますよ。
でも、そう言う割に、話を聞いて爆笑してましたよね?ここは、突っ込んでおかねば。
「でも、涙が出るほど笑っていたではないですか。」
「ああ、気を悪くさせてしまって、ごめんね。話を聞いていると色々な君が想像できてしまってつい・・・。」
彼の声が柔らかいものに変わっていきます。
この声が好きです。優しくて暖かくて大事にされている気持ちになります。
起きてすぐベッドを飛び出し、カーテンを開けて、お天気を確認した私は、小躍りしました。
「お嬢様、朝から浮かれていますねえ。お気持ちはわかりますが、お約束は午後からですよ。今からそんなにはしゃいでいると、出掛ける頃には疲れ果てて、寝込んでしまいますよ。」
いつの間にか部屋に入ってきていた、侍女のニコラにそう窘められても、私のわくわくは治まりません。
だって、今日はレイと初めて街へいく日なのですから!
彼は、あの時約束したとおり、婚約が決まってすぐの休みに、街へ誘ってくれました。
ところが、当日は雨で、心配性の父の許可が出なかったのです。
仕方なく、我が家でのお茶会に変更となりました。
せっかくお出かけ着の中で、一番お気に入りのオレンジ色のワンピースを着て、髪も、街で目立たないよう、ハーフアップにグリーンのリボンをつけるだけにしたのですが。
家でお茶会なら、ドレスとか、髪型とか、もっと違う感じにして見てもらいたかったです。
レイも今日は当然、騎士の制服ではなく、濃いブラウンのズボンとジャケット姿です。タイは赤ですか。
さらさらの髪が今日はちょっとだけ整えられていて、いつも以上に格好良いです。
雨の日なのに、彼の周囲だけ、なんだか眩しい・・・。
ぼうっとしていたら、落ち込んでいると思われて、また次があるから、と慰められてしまいました。
街へ行けなくて、残念な気持ちも、もちろんありますが、本当は貴方に見惚れていただけなのですけどね。
確かに、街へ行く機会はこれからいくらでもあるし、まだお互いの事を深くは知らないし、二人でゆっくりお話するのもいいな、と思ったのですが。
全くもって、二人ではありませんでした。
いくつかある客間の内、一番小さな部屋で、彼とお茶をしていると、入れ代わり立ち代わり、父や母や長兄が、私達の会話に参加しに来るのです。
その度に、私の小さな頃の話やら、失敗談などを面白おかしく話すものですから、彼が笑い過ぎて最後、呼吸困難に陥っていました。
私は、もちろん、超、不機嫌になりました。
誰が、自分の失敗談を婚約者に知られたいでしょうか。笑われたいでしょうか。
もし、これで私が愛想尽かされ、嫌われたら、どうするつもりなのでしょうか?
嫌われたら!
婚約解消!
そうです、それはいつ現実になってもおかしくありません!
大体、私達の婚約はまだ口約束の段階で、国王陛下の許可が降りるまでは、正式なものではないのです。
それすなわち、いつでもなかったことにできるということ!
そこまで考えて、私は真っ青になりました。
何度も言いますが、噂によれば、彼は大変モテるそうです。夜会ではいつもご令嬢方に取り囲まれているとか。
私に愛想が尽きたら、嫌いになったら、あっさり他の令嬢に乗り換える事ができてしまうのです。
小さな頃から好きだったと言って貰いましたが、こんな話ばかり聞かされたら、思ってたのと違ったと、幻滅されてしまう可能性大です。
思い出とは美化されるものですしね!
私は、一体どうしたら?!
「あらあら、リディがまた、頭抱えてネガティブ思考に陥っちゃってるわ。ごめんなさいね、レイ。」
「伯爵夫人、彼女はよくこうなるのですか?」
「ええ、ちょっと色々あって自信がなさ過ぎる子になっちゃって。私達の自慢の娘なのだけれど。」
「・・・それは、何処ぞの男にじろじろ顔を見るな、と言われたという話ですか。」
「あら、ご存知だったの?それはまた、貴方は一日で随分、リディの心に入り込んだのねえ。私達ですら、そのことを知ったのは、随分後だったのよ?」
「彼女を傷つけたのは誰です?」
「まあ、貴方ったら、怖い顔。言った相手は、わからないの。この子が言いたがらなくて。本人も、多分名前を知らなかったのだと思うわ。」
「そうでしたか。そろそろ、彼女には言われたことを忘れてほしいですね。可愛いのに自信がなくて俯きっぱなしなのは、勿体ないですよ。僕はどんな彼女でも好きですけどね。」
「ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいわ。ちょっと、ネガティブ過ぎて時々とんでもない行動をする娘だけれど、大事なの。よろしくね?」
「もちろんです。」
「うふふ、親友の子と自分の子が恋仲になるって不思議ね。では、お邪魔したわね、もう行くわ。リディをこんな状態でおいていくけど、ごめんなさいね。」
「大丈夫です。任せてください。」
こんな会話が頭上でされているとも知らず、私はひたすら嫌われない方法を考えていたのでした。
「リディ、そろそろ、僕のところに戻って来てくれる?」
彼の声で、顔を上げると、いつの間にか部屋に二人きりになっていました。
さっきまで、私が5歳の時に次兄に唆されて、本当にカラスは光り物を獲って行くのか、という実験をした挙げ句、お気に入りのブレスレットを見事に持って行かれて、大泣きした話を、身振り手振り交えて語っていた母は、どこへ行ったの?
きょろきょろと部屋を見回す私の頬を、彼は両手で挟んで自分の方に固定すると、額をこつんとぶつけてきました。
顔、近いっ!いや、くっついてる!
近すぎることに動揺して、彼から距離をとろうと試みましたが、顔を捕まえられていては、どうしようもありません。
しょうがないので、口で抗議することにします。
「レイ、いつの間に隣に移動してきたのですか?!少しばかり近すぎやしませんか?!」
だって、貴方はずっと向かいのソファに座ってましたよね?
「君が、僕を放ったらかしにして考え込んでいる間に。せっかく婚約者になったのだから、隣に座りたかったし、ずっとこうやって触れたかった。」
彼はちょっと拗ねた声で、そう言いながら、頬を挟んでいた手をそのまま背中に滑らせて、私の腰の後ろに回し、そこで両手をぎゅっと組みました。
私はすっぽり腕の中に閉じ込められる体勢になりまして、心臓が爆発しそうです。
最近、密かに人の顔を正面から見つめる練習をしている私ですが、好きな相手の顔を、こんな至近距離で見つめるというのはまだ、難易度が高すぎると思います。
という訳で、すっと視線をずらした途端、頭が肩に乗せられました。
「リディ、さっきは僕のこと忘れて、何を考えていたの?」
ちょっと待って、そのままの姿勢で喋られると息が、肩にかかって?!
心臓、爆発しました。私、瞬間で燃え尽きました。現在、灰です。
逆上せて言葉がでなくて、わたわたしていると、さらに彼が、顔を首筋にすり寄せてきて、
「ねえ、また僕のこと忘れてる?」
と言うものですから、もう本当に限界超えてしまって、つい、考えていたことをそのまま、ぽろっと、うっかり声に出してしまいました。
「婚約解消についてですね、・・・あっ」
ぱっと頭を上げて、私の肩に両手を置いた彼はとても焦った声で叫びました。
「は?!婚約解消って言った?絶対にしないよ?!リディを手放すもんか!なんでそうなるの?!」
大変、彼の目が理由を吐くまで離さないって言ってます。肩に置かれた手にも、力が加わってきているような・・・。
これは、黙っていてはいけませんよね。思っていることを言葉にして、人に伝えるのは難しくて、つい察してと願ってしまうのは、私の悪い所です。
私の気持ちを、ちゃんと伝えられるかどうか不安なのですが、彼は私の話を聞いてくれる人ですから、ここは正直に話してみます。
「私の宣伝をして欲しかったわけでは無いのですけども、父の母も兄も、私の失敗や笑い話ばかり話すので、こんな私ばかり知られてしまっては、貴方に愛想を尽かされてしまうと思ったのです。」
話している内に、彼のつり上がっていた目がだんだん元に戻って、ものすごくほっとした様子に変わっていきます。私の言葉は無事に届きましたか?
「やれやれ、僕がそれくらいで、君に愛想を尽かすことはないから。皆、僕の知らない君のことを教えてくれたんだよ。失敗も成功も全部含めて今の君なんじゃないか。僕は今のままのリディが大好きだし、皆の話を聞いて、嫌いになるどころか、もう可愛すぎて愛しくてたまらなくなったよ。」
彼はそう言いながら、ふわっと笑みを浮かべると、ぎゅうっと抱きしめてきました。少々、苦しいですが、彼の匂いに包まれるとドキドキすると同時に、安心します。
しかし、私のことを可愛すぎとか、貴方の目を心配してしまいますよ。
でも、そう言う割に、話を聞いて爆笑してましたよね?ここは、突っ込んでおかねば。
「でも、涙が出るほど笑っていたではないですか。」
「ああ、気を悪くさせてしまって、ごめんね。話を聞いていると色々な君が想像できてしまってつい・・・。」
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