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第五章 公爵夫妻、デートする
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※リーンハルト視点
隣で美味しそうに買った物を飲むエミーリアに口元が緩む。
そういえば、こうやって二人でデートするのは事件後はじめてだ。
オーデル伯爵達の脅威は去ったとはいえ、いつまた同じことが起こるかもしれないと彼女の護衛を増やした。
デニスの報告によれば、やはり見えない護衛達を気にしているとのことなのでやめるべきか悩んだが、今日の様子を見る限りこのままでも大丈夫そうかなと安心した。
カップの残りを飲み干して彼女の様子を伺えば、彼女は飲むのを中断して隣のベンチを気にしていた。
「ごめん、待った?」
「ううん、大丈夫よ、今来たとこだから。」
「ちょっとでも待たせたお詫びに、評判のカフェに行こう。」
「ほんと?!やった!」
僕達と同じくらいの年齢の男女がそんな会話を交わして楽しそうに去って行く。
まさか、あの男が気になるんじゃないよね?!と内心慌てたが、そんな様子はなく、二人を見送った彼女の口が声を出さずいいなあ、と動いた。
いいなあ?!何が?!カフェに行きたかったとか?!
いやでも、この後公園を散策したいからここで飲もうと言ったのは彼女だし、と悩んでいたら彼女が今度は前方の男女に目を向けている。
「すみません。待たせてしまいましたか?」
「いいえ、今来たとこです。」
「それならいいのですが。」
・・・なんだか先程と似たような会話が聞こえてきた。
ちょっと待て、その女性は今来たとこじゃない。僕等がここに座る前からそこにいたはずだ。
だよね、と隣のエミーリアに同意を求めようと見遣ればカップを口元に当てたまま、羨ましそうにその様子を見ていた。
そこで、はっと気がついた。
もしかして、僕と待ち合わせてこれがやりたかったの?
離れた所で影の護衛に徹しているスヴェンに目線だけで尋ねれば、微かに頷かれた。当たりのようだ。
そりゃあ、僕が先にきていたらがっかりするよねえ・・・。
言ってくれればよかったのに。まあ、それじゃあただのお芝居だよね。
だけど、愛する妻の希望を叶えないままというのは許されない。僕は頭をフル回転させた。
■■
※エミーリア視点
意識してみていれば、あちこちで待ち合わせが行われている。そしてあの会話も。
いいなあ・・・私も言ってみたいなあ。
手の中のカップにその呟きを押し込んで一気に飲み干した。
ええい、終わったことをぐだぐだ考えないのよ、エミーリア!
そうだ、リスを探しに行こう!からくり時計に居たんだから、この公園の何処かにいるってことよね。
ぶんっと首を振って隣のリーンへ声を掛けた。何か考え事をしていたらしい彼は、その勢いにぎょっとして私を見る。
「ハルト、リスが見たいわ。探しに行きましょ!」
「いいよ。じゃあ、森の方へ行ってみようか?見られるといいね。」
彼は私の要求を笑顔であっさり受け入れて、立ち上がった。途中でカップを店に返却し、隣で売っていたリスの餌を買う。
「リスのご飯は何かしら?」
袋を覗きこめば、細かい穀物が入っていた。
「どんぐりや胡桃みたいな木の実じゃないのね。」
「そうだね。イメージ的にリスは木の実を抱えてるよね。」
彼も横から覗きこんで、不思議そうに同意した。
「リスは雑食で木の実、穀物、花や虫など色々食べるんですよ。」
「花も?虫も?!」
そう通りすがりに教えてくれた老夫婦は、驚く私達へ温かい笑みを残して去って行った。
その後ろ姿を見送って、私はぎゅっとリーンの手を握り直した。
「ミリー、どうかした?」
「あの方達みたいに、私達も年を重ねても手を繋いで歩けたらいいな、と思って。」
「それは、これからもずっと、僕と手を繋いで歩いてくれるってこと?」
「繋いでくれるわよね?」
彼の目を見つめて確認すれば、ふわっと微笑まれた。
「もちろん。僕は永久に君と手を繋いで歩きたい。」
その言葉に照れた私は、目をあわせていられなくなって彼の後方に視線をずらした。
ん?今、何か動いたわ。
よくよく目を凝らしてみる。
「ハルト!リス!あそこにリスが!」
抱きしめようとしている彼の腕をはねのけ、私はそのまま彼を置き去りにして走る。
地面で餌を探していたリスは驚いて飛び上がり、走り寄った私と間合いをとった。
「こちらの餌は、いかがかしら?」
手に持った袋から摘み出した穀物を自分の前にぱらりと撒く。そしてじっと待つ。
やはり餌を売っているだけあって、馴れているらしく、リスは様子を窺いつつ近寄ってきた。
「ふさふさでかわいい・・・。」
今度は驚かせないようにそっとしゃがみこんで追加の餌を撒く。もこもこの尻尾を揺らして一心不乱に食べるリスをうっとりと眺めた。
「僕はリスに負けたのか・・・。」
いつの間にか隣で同じように座り込んだ彼が寂しそうに呟いている。
「リスと貴方の間に勝ち負けなんてないわよ。リスとは滅多に会えないんだもの。・・・貴方はいつも私の側にいてくれるでしょ?」
最後に袖を摘んで尋ねれば、彼の顔がぱっと綻んだ。
「もちろん!君が望むなら二十四時間ずっと側にいるよ。」
「いえ、そこまでは望まないから。今まで通りで十分です。」
「僕はそれくらい一緒にいたいんだけど。」
「それは色々困るでしょ・・・。」
笑顔全開の彼の顔が近づいてきてキスされるかな、と思ったその時、けたたましい叫び声がした。
二人でぱっとそちらを見る。目の前から白い集団が迫って来るのが目に入った。
あれは・・・何?!
「俺の鶏が逃げた、誰か捕まえてくれー!」
「こっちはひよこが逃げた、助けてくれ!」
確かに殺気立った鶏集団の後ろから、よたよたと黄色い点が走ってくるのが見える。
さらに向こうを見れば、公園の周囲に巡らされている道路で荷車同士がぶつかって倒れていた。
ああ、ひよこを積んだのと鶏を積んだ荷車が正面衝突したのね。
状況を把握したと同時に、私の手の中のリスの餌を目掛けて鶏が突撃してきた。
「餌を捨てて!」
リーンの声と同時に手が伸びてきて、餌の袋がもぎ取られ宙に舞う。穀物を撒き散らしながら飛ぶ袋を追いかけて鶏が次々と地を蹴った。
コケーーーッケッケッケッーーー!!
鶏って空を飛べるのね・・・。苛烈な鶏同士の闘いをリーンの腕の中から見物する。彼もこういうのを見るのは初めてなのか、呆然としていた。
餌はあっという間に食べ尽くされ、鶏達は次の餌を求めてばらばらの方向へ去って行く。
「私達も鶏を捕まえなくちゃ!」
「君は怪我をしそうだから、他の人に任せておいたほうがいいと思うんだけど・・・。」
公園にいた人達が騒ぎを聞いて集まってきており、鶏やひよこを捕まえようと追いかけ回している。
うちの騎士も混ざっているようで、デニス達の姿も見える。
そんな状況で見ているだけなんてできるわけがない。でも、確かに鶏はちょっと怖いのでひよこにしよう。
「私は、ひよこを捕まえるわ!」
「えっ?!小さければいいってもんじゃないでしょ。まあ、君はじっとしていられないよね・・・。」
リーンが仕方なさそうに腕の中から出してくれた。
隣で美味しそうに買った物を飲むエミーリアに口元が緩む。
そういえば、こうやって二人でデートするのは事件後はじめてだ。
オーデル伯爵達の脅威は去ったとはいえ、いつまた同じことが起こるかもしれないと彼女の護衛を増やした。
デニスの報告によれば、やはり見えない護衛達を気にしているとのことなのでやめるべきか悩んだが、今日の様子を見る限りこのままでも大丈夫そうかなと安心した。
カップの残りを飲み干して彼女の様子を伺えば、彼女は飲むのを中断して隣のベンチを気にしていた。
「ごめん、待った?」
「ううん、大丈夫よ、今来たとこだから。」
「ちょっとでも待たせたお詫びに、評判のカフェに行こう。」
「ほんと?!やった!」
僕達と同じくらいの年齢の男女がそんな会話を交わして楽しそうに去って行く。
まさか、あの男が気になるんじゃないよね?!と内心慌てたが、そんな様子はなく、二人を見送った彼女の口が声を出さずいいなあ、と動いた。
いいなあ?!何が?!カフェに行きたかったとか?!
いやでも、この後公園を散策したいからここで飲もうと言ったのは彼女だし、と悩んでいたら彼女が今度は前方の男女に目を向けている。
「すみません。待たせてしまいましたか?」
「いいえ、今来たとこです。」
「それならいいのですが。」
・・・なんだか先程と似たような会話が聞こえてきた。
ちょっと待て、その女性は今来たとこじゃない。僕等がここに座る前からそこにいたはずだ。
だよね、と隣のエミーリアに同意を求めようと見遣ればカップを口元に当てたまま、羨ましそうにその様子を見ていた。
そこで、はっと気がついた。
もしかして、僕と待ち合わせてこれがやりたかったの?
離れた所で影の護衛に徹しているスヴェンに目線だけで尋ねれば、微かに頷かれた。当たりのようだ。
そりゃあ、僕が先にきていたらがっかりするよねえ・・・。
言ってくれればよかったのに。まあ、それじゃあただのお芝居だよね。
だけど、愛する妻の希望を叶えないままというのは許されない。僕は頭をフル回転させた。
■■
※エミーリア視点
意識してみていれば、あちこちで待ち合わせが行われている。そしてあの会話も。
いいなあ・・・私も言ってみたいなあ。
手の中のカップにその呟きを押し込んで一気に飲み干した。
ええい、終わったことをぐだぐだ考えないのよ、エミーリア!
そうだ、リスを探しに行こう!からくり時計に居たんだから、この公園の何処かにいるってことよね。
ぶんっと首を振って隣のリーンへ声を掛けた。何か考え事をしていたらしい彼は、その勢いにぎょっとして私を見る。
「ハルト、リスが見たいわ。探しに行きましょ!」
「いいよ。じゃあ、森の方へ行ってみようか?見られるといいね。」
彼は私の要求を笑顔であっさり受け入れて、立ち上がった。途中でカップを店に返却し、隣で売っていたリスの餌を買う。
「リスのご飯は何かしら?」
袋を覗きこめば、細かい穀物が入っていた。
「どんぐりや胡桃みたいな木の実じゃないのね。」
「そうだね。イメージ的にリスは木の実を抱えてるよね。」
彼も横から覗きこんで、不思議そうに同意した。
「リスは雑食で木の実、穀物、花や虫など色々食べるんですよ。」
「花も?虫も?!」
そう通りすがりに教えてくれた老夫婦は、驚く私達へ温かい笑みを残して去って行った。
その後ろ姿を見送って、私はぎゅっとリーンの手を握り直した。
「ミリー、どうかした?」
「あの方達みたいに、私達も年を重ねても手を繋いで歩けたらいいな、と思って。」
「それは、これからもずっと、僕と手を繋いで歩いてくれるってこと?」
「繋いでくれるわよね?」
彼の目を見つめて確認すれば、ふわっと微笑まれた。
「もちろん。僕は永久に君と手を繋いで歩きたい。」
その言葉に照れた私は、目をあわせていられなくなって彼の後方に視線をずらした。
ん?今、何か動いたわ。
よくよく目を凝らしてみる。
「ハルト!リス!あそこにリスが!」
抱きしめようとしている彼の腕をはねのけ、私はそのまま彼を置き去りにして走る。
地面で餌を探していたリスは驚いて飛び上がり、走り寄った私と間合いをとった。
「こちらの餌は、いかがかしら?」
手に持った袋から摘み出した穀物を自分の前にぱらりと撒く。そしてじっと待つ。
やはり餌を売っているだけあって、馴れているらしく、リスは様子を窺いつつ近寄ってきた。
「ふさふさでかわいい・・・。」
今度は驚かせないようにそっとしゃがみこんで追加の餌を撒く。もこもこの尻尾を揺らして一心不乱に食べるリスをうっとりと眺めた。
「僕はリスに負けたのか・・・。」
いつの間にか隣で同じように座り込んだ彼が寂しそうに呟いている。
「リスと貴方の間に勝ち負けなんてないわよ。リスとは滅多に会えないんだもの。・・・貴方はいつも私の側にいてくれるでしょ?」
最後に袖を摘んで尋ねれば、彼の顔がぱっと綻んだ。
「もちろん!君が望むなら二十四時間ずっと側にいるよ。」
「いえ、そこまでは望まないから。今まで通りで十分です。」
「僕はそれくらい一緒にいたいんだけど。」
「それは色々困るでしょ・・・。」
笑顔全開の彼の顔が近づいてきてキスされるかな、と思ったその時、けたたましい叫び声がした。
二人でぱっとそちらを見る。目の前から白い集団が迫って来るのが目に入った。
あれは・・・何?!
「俺の鶏が逃げた、誰か捕まえてくれー!」
「こっちはひよこが逃げた、助けてくれ!」
確かに殺気立った鶏集団の後ろから、よたよたと黄色い点が走ってくるのが見える。
さらに向こうを見れば、公園の周囲に巡らされている道路で荷車同士がぶつかって倒れていた。
ああ、ひよこを積んだのと鶏を積んだ荷車が正面衝突したのね。
状況を把握したと同時に、私の手の中のリスの餌を目掛けて鶏が突撃してきた。
「餌を捨てて!」
リーンの声と同時に手が伸びてきて、餌の袋がもぎ取られ宙に舞う。穀物を撒き散らしながら飛ぶ袋を追いかけて鶏が次々と地を蹴った。
コケーーーッケッケッケッーーー!!
鶏って空を飛べるのね・・・。苛烈な鶏同士の闘いをリーンの腕の中から見物する。彼もこういうのを見るのは初めてなのか、呆然としていた。
餌はあっという間に食べ尽くされ、鶏達は次の餌を求めてばらばらの方向へ去って行く。
「私達も鶏を捕まえなくちゃ!」
「君は怪我をしそうだから、他の人に任せておいたほうがいいと思うんだけど・・・。」
公園にいた人達が騒ぎを聞いて集まってきており、鶏やひよこを捕まえようと追いかけ回している。
うちの騎士も混ざっているようで、デニス達の姿も見える。
そんな状況で見ているだけなんてできるわけがない。でも、確かに鶏はちょっと怖いのでひよこにしよう。
「私は、ひよこを捕まえるわ!」
「えっ?!小さければいいってもんじゃないでしょ。まあ、君はじっとしていられないよね・・・。」
リーンが仕方なさそうに腕の中から出してくれた。
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