28 / 98
第三章 公爵夫人、落ちる。
3−12
しおりを挟む
※エミーリア視点
「今日はすっごく楽しかった!ありがとう、リーン!」
ベッドに入っても私はまだ興奮が収まらず、遅れて部屋に入ってきた彼に飛びついて礼を言った。
いきなり吹っ飛んで行った私を受け止めた彼は、苦笑しながら布団の中へ戻す。
「はいはい、風邪を引くよ。そこまで喜んでもらえたら、やったかいがあったよ。少しは気晴らしになった?」
「ええ、とっても!」
私に掛けた布団の端を、ぽんぽんと叩くリーンを見上げて笑顔で応える。
彼もつられるように笑顔を返してくれたけど、その表情はどこか固い。
どうしたのかしら?
様子を窺っていても、彼はベッドの上に正座したまま、何かを言い淀んでいるふうに見えた。
「リーン?どうしたの?言いたい事があるなら、何でも聞くわよ。」
私もベッドの上に座り、彼と向かい合う。
それでも俯いて言い出しかねている彼の顔を下から覗き込んで見る。
弱りきった彼と目があったので、変顔を作ってみた。
「ちょ、これから真面目な話をしようと思ってるのに、笑わせないで?!」
必死で笑いを堪えるリーン。
そんなに言い難い真面目な話って何かしらね?
浮気の告白?・・・うーん、彼に限って考えられない。
仕方ないので、さらに変顔を進化させて追撃した。
「そこまで言ったなら、さっさと言いなさいよ。」
ついに崩れ落ち、お腹を抱えて痙攣する彼の口から思いがけない単語が飛び出した。
「もう、本当にここでそんなに笑わせられるとは思わなかった。笑うのを我慢し過ぎてお腹痛い・・・。エミィ、こないだ話しそびれた子供についての話があるんだ。」
子供。そういえば、川に落ちた日に本当なら聞く予定だったのよね。
思い出した途端、今度は私の顔が強張った。
えーっと、何の話なんだろう。
子供が出来ないから、離婚?もしかして第二夫人を迎えたいとか?
この話、最近お茶会でよく話題になるのよね。
『ハーフェルト公爵夫人、まだご懐妊なさらないのね。ここはやはり、貴方から公爵閣下に第二夫人をお勧めされては?』
『三年過ぎて子供がいなければ、離婚されても文句は言えないのよ。そろそろ覚悟をお決めになっておいたほうがよろしくてよ!』
その話の内容があまりに衝撃的だったので、噂話を収集しているヘンリックに報告がてらそれとなく聞いて見たところ、あからさまに返事を濁された。
だから、子供が出来ないから第二夫人とか、離婚とかあり得る話なんだと思う。
でも、私はどっちも嫌!
私は気合を入れて、起き上がってきた夫を真正面から見据えた。
「よし、覚悟は決めたわ!さあ、離婚でも第二夫人でもどっちでも言いなさいよ!私は反対するからね!」
「はあっ?!一体何の話だよ?!」
リーンが驚きのあまり後ろに仰け反って、直ぐに今度は前のめりになって抱きついてきた。
「エミィ!離婚なんて恐ろしいことを言わないでくれる?!」
「じゃあ、第二夫人なの?誰?」
「いや、それも絶対ないから。君は何か大きな勘違いをしてるよ。僕はね、子供が出来にくい体質かもしれないって言いたかったんだ。」
「え、誰が子供が出来にくいの?」
私は彼の腕の中で首を捻った。視線を上に向ければ、申し訳なさそうな薄青の目にぶつかった。
「僕。ずっと言う機会を窺ってたんだけど、君が子供については話したくなさそうだったから。」
私は黙り込んだ。確かに子供については、今も手放しで欲しいとは言えない。
私が無言でいることで、焦った彼が話を続ける。
「でもね、絶対出来ないじゃないんだよ?なんというか、この家って代々子供が少なくてね。君も知ってるとおり、母は一人娘だったし、先代のお爺様も一人息子だったんだって。呪われてるとかいう人もいるくらいなんだけど、それでもなんとか続いてきてるから。」
なるほど。それで彼は子供が出来にくいかもしれないと思ったわけね。
「だから、それを理由に僕から離れるなんて言わないで。第二夫人なんていらない、子供が出来なくても君だけがいればいいんだ。それに、僕に原因があるんだから、誰に何を言われても気にしなくていいんだからね。」
ああ。多分、彼が本当に私に言いたかったことはこれなんだろう。
そろそろ結婚して三年がたつ。周りが色々言ってくる頃だから、私が気に病まないように気を遣ってくれたのね。
でもね、リーン。私だっていつまでも貴方に庇われてばかりじゃいけないと思うのよね!
「・・・いえ、とても気にするわ。」
「えっ?!」
「貴方だって同じようなことを言われて嫌な思いしてるんでしょう?」
「いや、そんなことは。」
「じゃあ、綺麗なご令嬢や未亡人方に、『私を第二夫人にしてくださいな。』とか言われて喜んでるってことね?」
「そんなわけないだろ?!嫌に決まって・・・あっ?!」
「ほら、やっぱり!」
私は彼から離れて、しまったという顔をしている彼の目をじっと見つめた。
それから、両手でぎゅっと握りこぶしを作り、胸の前に揃えて宣言する。
「だから!子供が出来るように頑張るわよ!」
「えっ、エミィがそんなに積極的なことを言ってくれるとは思わなかった。」
彼は、ぽかんと口をあけて私を見つめ返してきた。
「出来ないと言われたら逆に、挑戦してみたくなるでしょ?!」
そう力んだ私を、急に笑顔になったリーンががばっと抱きしめる。
「そうだね、挑戦するって大事だよね!」
私は頷きつつ、彼の腕を押しのけ顔の前で人差し指を立てた。
「でね、先ずは体力づくりだと思うの!だから、明日から早起きして庭を走ろうと思ってるのよ。よかったら一緒にやらない?」
「え?」
「そうそう、妊娠しやすい身体になる薬とかおまじないもあるんですって。それからね、こういう体操も効くらしいわよ。」
私はそれを実演して見せるため、ベッドから降りようと彼に背を向けた。
「ちょーっと待った。その話は何処で仕入れてきたの。」
あっという間にお腹に手を回され、ぐいっと引き戻された私は、彼の膝にすとんと座らされることになった。
私は首を上に傾けてリーンの顔を仰ぐ。
すぐさま額に唇が触れてきたので、慌てて両手で隠す。そうすれば、次はその手に。
ヤバい。リーンてば、何かスイッチ入ってない?
「あの、離して。体操の実演を・・・。」
「それはまたの機会に。で、誰から聞いたの?」
懇願すれば、あっさり却下された。さらに追求してくるリーンの声は真剣だ。
仕方なく私は渋々、答えた。
「お茶会や夜会で皆が色々教えてくれて。今までは興味がなかったから聞き流してたんだけど最近気になってきて・・・。」
「なるほど。エミィ、聞いてきたことを全部紙に書いてロッテに渡してくれる?それで実行するのは医者に確認してもらってからにして。怪しい薬とか絶対に勝手に試しちゃ駄目だよ?」
「分かったわ。」
確かに彼の言う通りだと納得した私は素直に頷いた。
するといきなり首筋に口付けられ、私は飛び上がった。
な、何なの急に!
逃げようとするも、後ろからがっちり抱え込まれて身動きがとれない。
パニックを起こしていたら、彼の声が耳元で聞こえた。
「ねえ、エミィ。子供ってどうすれば出来るんだっけ?」
「ええっ?!」
「そりゃ体力も必要だろうし、体操もいいかもね。でも、絶対やらなきゃいけないことがあるよね?」
「いや、それは、その。」
耳元で話されるだけでもいっぱいいっぱいなのに、内容がっ!!
私は頭の中まで羞恥で真っ赤になった。
「君、体調崩してたし、子供の話をしてからじゃないとって、僕は一週間以上我慢してたんだけど。僕達二人で頑張って子供を作るんだよね?そう言ったよね?」
「・・・はい。」
確かに言いました。でも、そういう意味で言ったつもりはなくって!ああ、でも彼の言うことは間違ってない・・・。
「じゃあ、いいよね?」
何が?と聞き返す勇気は今の私にはなかった。恥ずかしさで気が遠くなりながら、私は少しだけ首を前に傾けた。
「今日はすっごく楽しかった!ありがとう、リーン!」
ベッドに入っても私はまだ興奮が収まらず、遅れて部屋に入ってきた彼に飛びついて礼を言った。
いきなり吹っ飛んで行った私を受け止めた彼は、苦笑しながら布団の中へ戻す。
「はいはい、風邪を引くよ。そこまで喜んでもらえたら、やったかいがあったよ。少しは気晴らしになった?」
「ええ、とっても!」
私に掛けた布団の端を、ぽんぽんと叩くリーンを見上げて笑顔で応える。
彼もつられるように笑顔を返してくれたけど、その表情はどこか固い。
どうしたのかしら?
様子を窺っていても、彼はベッドの上に正座したまま、何かを言い淀んでいるふうに見えた。
「リーン?どうしたの?言いたい事があるなら、何でも聞くわよ。」
私もベッドの上に座り、彼と向かい合う。
それでも俯いて言い出しかねている彼の顔を下から覗き込んで見る。
弱りきった彼と目があったので、変顔を作ってみた。
「ちょ、これから真面目な話をしようと思ってるのに、笑わせないで?!」
必死で笑いを堪えるリーン。
そんなに言い難い真面目な話って何かしらね?
浮気の告白?・・・うーん、彼に限って考えられない。
仕方ないので、さらに変顔を進化させて追撃した。
「そこまで言ったなら、さっさと言いなさいよ。」
ついに崩れ落ち、お腹を抱えて痙攣する彼の口から思いがけない単語が飛び出した。
「もう、本当にここでそんなに笑わせられるとは思わなかった。笑うのを我慢し過ぎてお腹痛い・・・。エミィ、こないだ話しそびれた子供についての話があるんだ。」
子供。そういえば、川に落ちた日に本当なら聞く予定だったのよね。
思い出した途端、今度は私の顔が強張った。
えーっと、何の話なんだろう。
子供が出来ないから、離婚?もしかして第二夫人を迎えたいとか?
この話、最近お茶会でよく話題になるのよね。
『ハーフェルト公爵夫人、まだご懐妊なさらないのね。ここはやはり、貴方から公爵閣下に第二夫人をお勧めされては?』
『三年過ぎて子供がいなければ、離婚されても文句は言えないのよ。そろそろ覚悟をお決めになっておいたほうがよろしくてよ!』
その話の内容があまりに衝撃的だったので、噂話を収集しているヘンリックに報告がてらそれとなく聞いて見たところ、あからさまに返事を濁された。
だから、子供が出来ないから第二夫人とか、離婚とかあり得る話なんだと思う。
でも、私はどっちも嫌!
私は気合を入れて、起き上がってきた夫を真正面から見据えた。
「よし、覚悟は決めたわ!さあ、離婚でも第二夫人でもどっちでも言いなさいよ!私は反対するからね!」
「はあっ?!一体何の話だよ?!」
リーンが驚きのあまり後ろに仰け反って、直ぐに今度は前のめりになって抱きついてきた。
「エミィ!離婚なんて恐ろしいことを言わないでくれる?!」
「じゃあ、第二夫人なの?誰?」
「いや、それも絶対ないから。君は何か大きな勘違いをしてるよ。僕はね、子供が出来にくい体質かもしれないって言いたかったんだ。」
「え、誰が子供が出来にくいの?」
私は彼の腕の中で首を捻った。視線を上に向ければ、申し訳なさそうな薄青の目にぶつかった。
「僕。ずっと言う機会を窺ってたんだけど、君が子供については話したくなさそうだったから。」
私は黙り込んだ。確かに子供については、今も手放しで欲しいとは言えない。
私が無言でいることで、焦った彼が話を続ける。
「でもね、絶対出来ないじゃないんだよ?なんというか、この家って代々子供が少なくてね。君も知ってるとおり、母は一人娘だったし、先代のお爺様も一人息子だったんだって。呪われてるとかいう人もいるくらいなんだけど、それでもなんとか続いてきてるから。」
なるほど。それで彼は子供が出来にくいかもしれないと思ったわけね。
「だから、それを理由に僕から離れるなんて言わないで。第二夫人なんていらない、子供が出来なくても君だけがいればいいんだ。それに、僕に原因があるんだから、誰に何を言われても気にしなくていいんだからね。」
ああ。多分、彼が本当に私に言いたかったことはこれなんだろう。
そろそろ結婚して三年がたつ。周りが色々言ってくる頃だから、私が気に病まないように気を遣ってくれたのね。
でもね、リーン。私だっていつまでも貴方に庇われてばかりじゃいけないと思うのよね!
「・・・いえ、とても気にするわ。」
「えっ?!」
「貴方だって同じようなことを言われて嫌な思いしてるんでしょう?」
「いや、そんなことは。」
「じゃあ、綺麗なご令嬢や未亡人方に、『私を第二夫人にしてくださいな。』とか言われて喜んでるってことね?」
「そんなわけないだろ?!嫌に決まって・・・あっ?!」
「ほら、やっぱり!」
私は彼から離れて、しまったという顔をしている彼の目をじっと見つめた。
それから、両手でぎゅっと握りこぶしを作り、胸の前に揃えて宣言する。
「だから!子供が出来るように頑張るわよ!」
「えっ、エミィがそんなに積極的なことを言ってくれるとは思わなかった。」
彼は、ぽかんと口をあけて私を見つめ返してきた。
「出来ないと言われたら逆に、挑戦してみたくなるでしょ?!」
そう力んだ私を、急に笑顔になったリーンががばっと抱きしめる。
「そうだね、挑戦するって大事だよね!」
私は頷きつつ、彼の腕を押しのけ顔の前で人差し指を立てた。
「でね、先ずは体力づくりだと思うの!だから、明日から早起きして庭を走ろうと思ってるのよ。よかったら一緒にやらない?」
「え?」
「そうそう、妊娠しやすい身体になる薬とかおまじないもあるんですって。それからね、こういう体操も効くらしいわよ。」
私はそれを実演して見せるため、ベッドから降りようと彼に背を向けた。
「ちょーっと待った。その話は何処で仕入れてきたの。」
あっという間にお腹に手を回され、ぐいっと引き戻された私は、彼の膝にすとんと座らされることになった。
私は首を上に傾けてリーンの顔を仰ぐ。
すぐさま額に唇が触れてきたので、慌てて両手で隠す。そうすれば、次はその手に。
ヤバい。リーンてば、何かスイッチ入ってない?
「あの、離して。体操の実演を・・・。」
「それはまたの機会に。で、誰から聞いたの?」
懇願すれば、あっさり却下された。さらに追求してくるリーンの声は真剣だ。
仕方なく私は渋々、答えた。
「お茶会や夜会で皆が色々教えてくれて。今までは興味がなかったから聞き流してたんだけど最近気になってきて・・・。」
「なるほど。エミィ、聞いてきたことを全部紙に書いてロッテに渡してくれる?それで実行するのは医者に確認してもらってからにして。怪しい薬とか絶対に勝手に試しちゃ駄目だよ?」
「分かったわ。」
確かに彼の言う通りだと納得した私は素直に頷いた。
するといきなり首筋に口付けられ、私は飛び上がった。
な、何なの急に!
逃げようとするも、後ろからがっちり抱え込まれて身動きがとれない。
パニックを起こしていたら、彼の声が耳元で聞こえた。
「ねえ、エミィ。子供ってどうすれば出来るんだっけ?」
「ええっ?!」
「そりゃ体力も必要だろうし、体操もいいかもね。でも、絶対やらなきゃいけないことがあるよね?」
「いや、それは、その。」
耳元で話されるだけでもいっぱいいっぱいなのに、内容がっ!!
私は頭の中まで羞恥で真っ赤になった。
「君、体調崩してたし、子供の話をしてからじゃないとって、僕は一週間以上我慢してたんだけど。僕達二人で頑張って子供を作るんだよね?そう言ったよね?」
「・・・はい。」
確かに言いました。でも、そういう意味で言ったつもりはなくって!ああ、でも彼の言うことは間違ってない・・・。
「じゃあ、いいよね?」
何が?と聞き返す勇気は今の私にはなかった。恥ずかしさで気が遠くなりながら、私は少しだけ首を前に傾けた。
17
お気に入りに追加
2,486
あなたにおすすめの小説
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
【書籍化決定】断罪後の悪役令嬢に転生したので家事に精を出します。え、野獣に嫁がされたのに魔法が解けるんですか?
氷雨そら
恋愛
皆さまの応援のおかげで、書籍化決定しました!
気がつくと怪しげな洋館の前にいた。後ろから私を乱暴に押してくるのは、攻略対象キャラクターの兄だった。そこで私は理解する。ここは乙女ゲームの世界で、私は断罪後の悪役令嬢なのだと、
「お前との婚約は破棄する!」というお約束台詞が聞けなかったのは残念だったけれど、このゲームを私がプレイしていた理由は多彩な悪役令嬢エンディングに惚れ込んだから。
しかも、この洋館はたぶんまだ見ぬプレミアム裏ルートのものだ。
なぜか、新たな婚約相手は現れないが、汚れた洋館をカリスマ家政婦として働いていた経験を生かしてぴかぴかにしていく。
そして、数日後私の目の前に現れたのはモフモフの野獣。そこは「野獣公爵断罪エンド!」だった。理想のモフモフとともに、断罪後の悪役令嬢は幸せになります!
✳︎ 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい
三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです
無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す!
無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
【完結】番が見つかった恋人に今日も溺愛されてますっ…何故っ!?
ハリエニシダ・レン
恋愛
大好きな恋人に番が見つかった。
当然のごとく別れて、彼は私の事など綺麗さっぱり忘れて番といちゃいちゃ幸せに暮らし始める……
と思っていたのに…!??
狼獣人×ウサギ獣人。
※安心のR15仕様。
-----
主人公サイドは切なくないのですが、番サイドがちょっと切なくなりました。予定外!
所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜
しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。
高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。
しかし父は知らないのだ。
ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。
そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。
それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。
けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。
その相手はなんと辺境伯様で——。
なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。
彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。
それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。
天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。
壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる