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コミカライズ決定記念 番外編 雨の日のデート
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※まだ新婚です
「大雨になったわね・・・」
窓の外から聞こえるザーザーという音にため息をついて、残念だわ、とロッテが差し出す扇を受け取った。
「ですが、本日は屋内での観劇ですから良うございましたね」
「そうね・・・」
ここのところ雨が多く、外へ出られない日が続いて少し鬱々としていたのをリーンに気づかれたらしい。今日は休みを取った彼に誘われて夕方から帝国で流行っているという演劇を見に行くことになった。
せっかく初めての観劇なのにこんな悪天候なんてツイてないわ。
身にまとった淡い黄色に青のストライプ生地をあしらった新しいドレスを眺めて、雨で泥がはねたら目立つかしらと思い悩む。
「エミィ、支度は出来た? うん、今日もとっても綺麗だね。一緒に注文したその新しいドレスもよく似合っててかわいいよ」
ノックと共に入ってきたリーンの言葉と笑顔で、顔がぽぽっと熱くなり悩んでいたのが嘘のように消え失せた。
「忘れ物はない? では、愛する奥さん、お手をどうぞ」
「なな、何を・・・!?」
差し出された手に自分の手を乗せた途端、軽くキスされて飛び上がる。
「エミィ、そろそろ慣れようよ」
言葉とは裏腹に嬉しそうに笑うリーンに必死で言い返す。
「む、無理! ・・・だって、リーンがいつまでもかっこいいのだもの!」
「えっ」
あっという間にリーンが手を離してその場にうずくまる。顔を押さえたタオルがみるみるうちに赤くなった。
あ、やっちゃった。出発直前だというのにリーンが大量出血してしまった。
「リーン、ごめんなさい、大丈夫?」
「僕の体質が悪いのだから、エミィが謝る必要はないよ。ただ、ちょっと、好きな人から『かっこいい』と言われたのが嬉しすぎて・・・直ぐ止めるから待ってて」
エミーリアは可愛すぎる、エミーリア万歳、などと怪しいことを呟くリーンを一歩下がって眺めていると、ものの数分で彼がスッと立ち上がった。
「エミィ、お待たせ。行こう」
仕切り直しとばかりにキラキラの笑顔で手を差し伸べてきた彼に、ホッとしてもう一度手を重ねる。
「ええ、楽しみね!」
■■
「え?! リーン、開演までまだ2時間以上もあるみたいだけど・・・」
見間違えかと再度劇場の案内に目を凝らしてみたけれど、最初に見た時間に間違いはなかった。
もしかして2時間前に会場入りするのが観劇のマナーなのかとハッとして周囲を見回したが、客は疎らでそうは思えなかった。
「エミィ、お腹空いてない?」
「ええ・・・?」
続けて予想外のことを聞かれて思わず眉を顰める。
そりゃ、お茶の時間がなかったから少し、すこーしだけ空いているけども。
くぅ~っ
タイミングよく鳴り響いた自分のお腹を慌てて押さえた私に、リーンがぷっと小さく吹き出して私の手を引いて歩き出した。
どこに行くのだろう? と首を傾げていたら抑えた茶器の音と人々の控えめな話し声が聞こえてきた。リーンの後ろから首を伸ばして窺うと劇場に繋がる形で喫茶室があった。
そこは意外と賑わっていて、リーンが私をこんなに早く劇場に連れてきた理由を察した。
「ここでお茶をしてから観劇するのね! とっても楽しそう」
「君が喜んでくれてよかった」
安堵の笑みを浮かべたリーンがエスコートしてくれ、二人並んで店内へ足を踏み入れた。
「まあ、ハーフェルト公爵夫妻よ」
「あら、リーンハルト様が観劇なんて珍しいわね」
「あれが噂の奥方か」
「へえ、こうしてみると中々」
一瞬でその場の空気が変わり、私達へ視線が集中した。
ああ、ここは貴族が多いのね。大丈夫、こんなの夜会やお茶会で慣れてるわ。
私は顔を上げて外向きの笑顔を作り周囲へ愛想を振りまいた。大丈夫、あの人もこの人も名前が出てくる。ちゃんと挨拶できるわ。
なのに、リーンの腕に添えている手には知らず知らず力が入っていたらしい。そっと上からリーンの手が重ねられた。
彼が頷いて合図をすると、給仕が前に立って進み始めた。どこへ案内されるのか、周囲へ目線で挨拶をしつつテーブルの間を通り抜ける。近くの席になった人への挨拶と会話を考えながらついていけば、思いがけず給仕は階段を上っていく。
・・・上にも席があるのね。どなたがいるのかしら。
緊張しながらたどり着いた場所は、大きな窓がある誰もいない空間だった。窓辺に真っ白なテーブルクロスを掛けたテーブルが1つあるだけだ。
「・・・ここは?」
「特別室でございます」
えっ? とぽかんとしている間に、私は席に着きリーンと向かい合っていた。
「下の階だと落ち着いて君と話せないからね。せっかくのデートだから僕は君とゆっくり過ごしたいんだ」
目を丸くしている私にそう言って微笑むリーンの気遣いに涙が滲んだ。
「わっ!? リーン、お皿の上にお花が咲いているわ!」
注文したのはリーンにオススメされた小さなケーキとサンドイッチにお茶がついているものだったのだけど、運ばれてきたお皿が自分の前に置かれた途端、私の目はそれに釘付けになった。なんと、ケーキやサンドイッチの周りに生花がたくさん飾られていたのだ。
「うん。ここの名物でね、その花も食べられるんだって・・・ちょっとでも君の気分が明るくなるかな、と思って」
嬉しそうに私を見る彼に笑顔があふれる。
「ありがとう! リーンがここに連れてきてくれて、とっても明るくなったわ。お花を食べるなんて初めて」
私も全力で笑顔と感謝を返して、早速花を一つ口に入れてみる。
・・・甘く、ない。そうか、砂糖漬けとかじゃないから。お花ってこんな味なんだ。
「エミィ、どう? 美味しくなかったら無理に食べなくていいんだよ」
シャクシャクと神妙に味わっていたら、お茶を飲んだリーンが不安そうに尋ねてきた。
「リーン、私はお花を初めて食べたのだけど、未知の味でびっくりしてるわ。貴方は食べたことある?」
ない、と彼の口が動いたのを確認して、私は赤と白の花をそこに突っ込んだ。
目を丸くしたものの、そのままモグモグと口を動かす彼の様子を窺う。
「・・・なるほど、未知の味だね」
同じように神妙な顔になった彼に、頷く私の頬が緩んだ。
窓の外は相変わらずの雨だったけれど、もう気にならなかった。
■■
「兄上、昨日は劇場の席を貸していただきありがとうございました」
「おお、使わないともったいないからな。で、どうだった? エミーリアは喜んでくれたか?」
「ええ、とっても。義姉上オススメの喫茶室も大変喜んでいました」
「それはよかった。・・・うん? なんだか落ち込んでいるようだが、お前は楽しくなかったのか?」
「兄上、劇を見たエミーリアが『かっこいい』って僕以外の男に言ったんですよ!?」
「・・・聞き間違いでは?」
「絶対、言った! というわけで、僕はもう働く気力がなくなったので帰ります」
「待て待て待て。とりあえずこの仕事を終わらせてから帰れ」
「奥様、またパンフレットをご覧になって。昨日の劇が余程に楽しかったのですね」
「ええ! 喫茶室も劇もとっても楽しかったわ」
「・・・もしかして、贔屓の役者ができました?」
「ええと、役者は覚えてないのだけどこの役がね、リーンみたいでかっこよかったの!」
エミーリアが指差したパンフレットの絵を覗き込み、頷き合うロッテとミア。
・・・ヒロインを助けるヒーローね。
・・・奥様の中では旦那様が絶対的ヒーローなんですね。
「大雨になったわね・・・」
窓の外から聞こえるザーザーという音にため息をついて、残念だわ、とロッテが差し出す扇を受け取った。
「ですが、本日は屋内での観劇ですから良うございましたね」
「そうね・・・」
ここのところ雨が多く、外へ出られない日が続いて少し鬱々としていたのをリーンに気づかれたらしい。今日は休みを取った彼に誘われて夕方から帝国で流行っているという演劇を見に行くことになった。
せっかく初めての観劇なのにこんな悪天候なんてツイてないわ。
身にまとった淡い黄色に青のストライプ生地をあしらった新しいドレスを眺めて、雨で泥がはねたら目立つかしらと思い悩む。
「エミィ、支度は出来た? うん、今日もとっても綺麗だね。一緒に注文したその新しいドレスもよく似合っててかわいいよ」
ノックと共に入ってきたリーンの言葉と笑顔で、顔がぽぽっと熱くなり悩んでいたのが嘘のように消え失せた。
「忘れ物はない? では、愛する奥さん、お手をどうぞ」
「なな、何を・・・!?」
差し出された手に自分の手を乗せた途端、軽くキスされて飛び上がる。
「エミィ、そろそろ慣れようよ」
言葉とは裏腹に嬉しそうに笑うリーンに必死で言い返す。
「む、無理! ・・・だって、リーンがいつまでもかっこいいのだもの!」
「えっ」
あっという間にリーンが手を離してその場にうずくまる。顔を押さえたタオルがみるみるうちに赤くなった。
あ、やっちゃった。出発直前だというのにリーンが大量出血してしまった。
「リーン、ごめんなさい、大丈夫?」
「僕の体質が悪いのだから、エミィが謝る必要はないよ。ただ、ちょっと、好きな人から『かっこいい』と言われたのが嬉しすぎて・・・直ぐ止めるから待ってて」
エミーリアは可愛すぎる、エミーリア万歳、などと怪しいことを呟くリーンを一歩下がって眺めていると、ものの数分で彼がスッと立ち上がった。
「エミィ、お待たせ。行こう」
仕切り直しとばかりにキラキラの笑顔で手を差し伸べてきた彼に、ホッとしてもう一度手を重ねる。
「ええ、楽しみね!」
■■
「え?! リーン、開演までまだ2時間以上もあるみたいだけど・・・」
見間違えかと再度劇場の案内に目を凝らしてみたけれど、最初に見た時間に間違いはなかった。
もしかして2時間前に会場入りするのが観劇のマナーなのかとハッとして周囲を見回したが、客は疎らでそうは思えなかった。
「エミィ、お腹空いてない?」
「ええ・・・?」
続けて予想外のことを聞かれて思わず眉を顰める。
そりゃ、お茶の時間がなかったから少し、すこーしだけ空いているけども。
くぅ~っ
タイミングよく鳴り響いた自分のお腹を慌てて押さえた私に、リーンがぷっと小さく吹き出して私の手を引いて歩き出した。
どこに行くのだろう? と首を傾げていたら抑えた茶器の音と人々の控えめな話し声が聞こえてきた。リーンの後ろから首を伸ばして窺うと劇場に繋がる形で喫茶室があった。
そこは意外と賑わっていて、リーンが私をこんなに早く劇場に連れてきた理由を察した。
「ここでお茶をしてから観劇するのね! とっても楽しそう」
「君が喜んでくれてよかった」
安堵の笑みを浮かべたリーンがエスコートしてくれ、二人並んで店内へ足を踏み入れた。
「まあ、ハーフェルト公爵夫妻よ」
「あら、リーンハルト様が観劇なんて珍しいわね」
「あれが噂の奥方か」
「へえ、こうしてみると中々」
一瞬でその場の空気が変わり、私達へ視線が集中した。
ああ、ここは貴族が多いのね。大丈夫、こんなの夜会やお茶会で慣れてるわ。
私は顔を上げて外向きの笑顔を作り周囲へ愛想を振りまいた。大丈夫、あの人もこの人も名前が出てくる。ちゃんと挨拶できるわ。
なのに、リーンの腕に添えている手には知らず知らず力が入っていたらしい。そっと上からリーンの手が重ねられた。
彼が頷いて合図をすると、給仕が前に立って進み始めた。どこへ案内されるのか、周囲へ目線で挨拶をしつつテーブルの間を通り抜ける。近くの席になった人への挨拶と会話を考えながらついていけば、思いがけず給仕は階段を上っていく。
・・・上にも席があるのね。どなたがいるのかしら。
緊張しながらたどり着いた場所は、大きな窓がある誰もいない空間だった。窓辺に真っ白なテーブルクロスを掛けたテーブルが1つあるだけだ。
「・・・ここは?」
「特別室でございます」
えっ? とぽかんとしている間に、私は席に着きリーンと向かい合っていた。
「下の階だと落ち着いて君と話せないからね。せっかくのデートだから僕は君とゆっくり過ごしたいんだ」
目を丸くしている私にそう言って微笑むリーンの気遣いに涙が滲んだ。
「わっ!? リーン、お皿の上にお花が咲いているわ!」
注文したのはリーンにオススメされた小さなケーキとサンドイッチにお茶がついているものだったのだけど、運ばれてきたお皿が自分の前に置かれた途端、私の目はそれに釘付けになった。なんと、ケーキやサンドイッチの周りに生花がたくさん飾られていたのだ。
「うん。ここの名物でね、その花も食べられるんだって・・・ちょっとでも君の気分が明るくなるかな、と思って」
嬉しそうに私を見る彼に笑顔があふれる。
「ありがとう! リーンがここに連れてきてくれて、とっても明るくなったわ。お花を食べるなんて初めて」
私も全力で笑顔と感謝を返して、早速花を一つ口に入れてみる。
・・・甘く、ない。そうか、砂糖漬けとかじゃないから。お花ってこんな味なんだ。
「エミィ、どう? 美味しくなかったら無理に食べなくていいんだよ」
シャクシャクと神妙に味わっていたら、お茶を飲んだリーンが不安そうに尋ねてきた。
「リーン、私はお花を初めて食べたのだけど、未知の味でびっくりしてるわ。貴方は食べたことある?」
ない、と彼の口が動いたのを確認して、私は赤と白の花をそこに突っ込んだ。
目を丸くしたものの、そのままモグモグと口を動かす彼の様子を窺う。
「・・・なるほど、未知の味だね」
同じように神妙な顔になった彼に、頷く私の頬が緩んだ。
窓の外は相変わらずの雨だったけれど、もう気にならなかった。
■■
「兄上、昨日は劇場の席を貸していただきありがとうございました」
「おお、使わないともったいないからな。で、どうだった? エミーリアは喜んでくれたか?」
「ええ、とっても。義姉上オススメの喫茶室も大変喜んでいました」
「それはよかった。・・・うん? なんだか落ち込んでいるようだが、お前は楽しくなかったのか?」
「兄上、劇を見たエミーリアが『かっこいい』って僕以外の男に言ったんですよ!?」
「・・・聞き間違いでは?」
「絶対、言った! というわけで、僕はもう働く気力がなくなったので帰ります」
「待て待て待て。とりあえずこの仕事を終わらせてから帰れ」
「奥様、またパンフレットをご覧になって。昨日の劇が余程に楽しかったのですね」
「ええ! 喫茶室も劇もとっても楽しかったわ」
「・・・もしかして、贔屓の役者ができました?」
「ええと、役者は覚えてないのだけどこの役がね、リーンみたいでかっこよかったの!」
エミーリアが指差したパンフレットの絵を覗き込み、頷き合うロッテとミア。
・・・ヒロインを助けるヒーローね。
・・・奥様の中では旦那様が絶対的ヒーローなんですね。
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