24 / 66
24.婚約者とキス
しおりを挟む
■■
sideE
してやられた!
私は地団駄を踏みそうになって、必死に思いとどまる。
なんとか2人とも間違えずに結婚式は進み、最後の誓いのキスまできた。
アレクシアの結婚式後、誓いのキスは人前だし、鼻血吹いたら大変だし、唇にしないよね?と確認してたのに!
現在思いっきり、唇が触れ合ってますけど?!
確かに貴方とのキスが嫌なわけではない、と言いましたが!
結婚式ではしないよね?と尋ねたら、そのほうがいいかもね、検討しとくね、と、しないとの確約はもらえないままだったけども!
昨夜寝る前は、頬にキスもいいかもね、とか言ってたから安心してたのに!騙された!
リーンのかもは2度と信じない!
おかげで動揺し過ぎた私は、ブーケを取り落とし、慌ててそれを拾おうとしてドレスの裾を踏んで思いっきり前につんのめった。
「きゃっ?!」
「おっと!」
すかさず目の前のリーンが私を受け止め、あろうことかそのまま抱き上げた。
あまりにも想定外が起こり過ぎた結果、私の意識はそこで途切れた。
■■
sideL
待ちに待った結婚式は粛々と進み、最後に近づいた。
後は誓いのキスをして立ち会いの神官から言葉をもらい、退場するだけだ。
隣のエミーリアは終始笑顔で、淡々とこなしていたけれど、内心がっちがちに緊張しているのが伝わってきた。
僕は割とこういう場に慣れているけれど、彼女は初めてで、昨日まで一生懸命練習したり脳内シュミレーションしたりして今日に備えていた。
その様子を思い出して、目の前の彼女の笑顔を見たら、愛しさが限界を超えて、気がついたら唇へキスをしていた。
直前まで、彼女の希望ならばと頬にするつもりでいたんだけど。
僕もまあ、少しは緊張していたのかもしれない。
キスした後の彼女の変化は激烈だった。
白い肌が一瞬で真っ赤に染まり、ブーケを落とし、そのままコケた。
やっちゃったなと思ったのは一瞬で、僕は即座に彼女を抱き上げ、そのままで話を聞いて退場した。
何の反応もなかったので、彼女は多分、思考停止していたんだと思う。
笑顔だけは保っていたのが流石だった。
聖堂の外に出ると、普通は出席者が祝いの言葉をかけてくれるんだけど、僕達の場合は違った。
皆が口々に
「一緒に暮らしてたのに、キスもまだだったの?」
「もう一緒に寝てるってヘンリックから聞いてたから、てっきりそうだと思って安心してたのに、貴方達、キスもまだだったのね?!」
「そうだそうだ、すぐに孫に会えそうだと思ってたら、奥手すぎやしないか?お前の言っていた欲はどこにあるんだ?」
「いやー、義妹にまだ手を出してなかったんだね。初々しい感じで良かったよ!」
などなど、エミーリアを抱いたままの僕を取り囲んで、皆好き勝手言ってくれた。
ほとんど僕に対する非難だよね?!祝いの言葉はどこいったの?!
僕の腕の中で長らく固まっていたエミーリアは、正気を取り戻すと同時に、かわいそうなくらい落ち込んでしまった。
それを見た義姉上達は、手のひらを返すように口々に祝いの言葉を述べる。
さらにブーケを落としたり、コケたりはよくあることだから気にするなと慰め始めた。
この僕との扱いの差!まあ、逆より余程いい。
エミーリアのことは義姉上達に任せて、僕は1人、離れた所にいる兄へ近づいた。
僕が来るのを見るや、兄はもたれていた木から身体を離し、読んでいた書類を控えていた部下に渡して指示を出した。
「兄上、手伝いましょうか?夜まで時間ありますし。」
「いや、いい。お前どうせ明日から休暇だろ?それが終わってからでいい。」
「珍しい・・・お気遣いありがとうございます。」
目を丸くした僕を兄が軽く小突いた。
「それよりお前、やってくれたな。」
「何の話ですか?」
「恍けるなよ、ちゃっかりタリアメント伯爵をエミーリアの後見につけやがって。ノルトライン家の価値を下げたな。」
やっぱり言われたか。用意の言い訳を引っ張り出す。
「やはり、私の妻にはそれなりの後ろ盾があったほうが良いと陛下が仰るので。彼女の親族で頼れそうなのは姉の嫁ぎ先しかなかったんですよ。」
「よくもまあ、ぬけぬけと。お前のとこなんてもう十分過ぎるくらい地位も権力も金もあるくせに。」
「兄上、それはハーフェルト家のものであって、彼女だけのものは何もないんですよ。黙ってことを進めたことは謝ります。どうしても、彼女自身を護れるものが必要だったんです。」
「言いたいことはわかるが。タリアメント伯爵と2か所で繋がっている方がいいのは確かだしな。」
兄は大きくため息をついて、その話題を終わらせた。
「まあ、とにかく結婚おめでとう、リーン。エミーリアと幸せにな。しかし、キスした時の彼女の反応は面白すぎたな。」
「ありがとうございます。僕を祝ってくれるのは兄上だけですよ。ええ、本当にエミーリアはかわいいでしょ?」
僕の返しに兄は眉間にシワを寄せる。
「婚約した時から思っていたんだが、お前の彼女に対するその執着というか、好意はどこからきてるんだ?」
「どこから?それは彼女のどこが好きかということですか?」
「まあ、そんな感じかな。お前、5歳で婚約しただろ。あれから今まで大勢の令嬢達と会ったはずなのに、最初の一人をずっと想うってどうやれば出来るのかと。」
父似の真っ直ぐな髪を、手でくしゃりとしながら兄はそっぽを向いた。
兄弟間でこういう話はしたことがないから、照れてるのか。
「それ、よく聞かれます。確かに、エミーリアと長く会えない間、他の令嬢達に目を向けたこともありますよ。でも、身体に異常が出るほど好きになったのは彼女だけだったんですよね。」
「ああ、お前にはそれがあったな。」
納得されるのもどうなんだろう。僕が思っているより皆、この体質を便利に使ってないか?
僕は頭をがりがりかきながら、続けた。やっぱり兄とこういう話は照れくさい。
「実は、3カ月前まで彼女は僕との婚約破棄に奔走していまして。それが成立したら、僕は跡継ぎのために他の女性と結婚しないといけないと思っていました。それでヘンリックが張り切って候補者を何十人も挙げてくれたのですが、嫌われていようと実際にエミーリアが近くにいると、他の令嬢には全く興味が湧かなかったんですよね。」
「3ヶ月前?そういやお前、一時期、黒くて底なしの、夜の海の様だと侍女や部下から怖がられていたな。それが今や婚約者を溺愛している水の王太子補佐殿だっけか。変わるもんだな。・・・あれ、そこまで嫌われてたのに、どうやってここまでこぎつけたわけ?」
「ある出来事のおかげで嫌われてたんじゃなくて、お互い好きなのに、ただすれ違っていただけだったとわかったのです。ノルトライン侯爵夫人のおかげでかなり拗れてましたけどね!」
「なるほど。それは恨みが深そうだ・・・じゃなくて、婚約破棄にならなくて良かったな。」
「ええ、本当に。だからですね、無理に想い続けてたわけではなくて、お互い自然とそうなってたということなんですよ。結局、何も損得感情のない年齢で出会って、一目惚れしたのが大きかったのかなあ。」
「結局、一目惚れのひと言に集約されるわけか。」
「そうなるのかもしれません。具体的に言うと、彼女は見た目キリッとした美人なのに、中身が実は寂しがり屋の甘えたがりで、普段は強気なのに恋愛関係はものすごく恥ずかしがるところとか、頑張りやさんなところが可愛くてたまらないですね。」
それを聞いて兄が呆れた顔をして僕を見る。
「よくもまあ、ずらずらと出るもんだ。今日はいいが、仕事中にそうやって俺の前で惚気るなよ?」
できうる限り、その方向で善処します。
心の中でそう答えて、兄には無言の笑みで返した。
sideE
してやられた!
私は地団駄を踏みそうになって、必死に思いとどまる。
なんとか2人とも間違えずに結婚式は進み、最後の誓いのキスまできた。
アレクシアの結婚式後、誓いのキスは人前だし、鼻血吹いたら大変だし、唇にしないよね?と確認してたのに!
現在思いっきり、唇が触れ合ってますけど?!
確かに貴方とのキスが嫌なわけではない、と言いましたが!
結婚式ではしないよね?と尋ねたら、そのほうがいいかもね、検討しとくね、と、しないとの確約はもらえないままだったけども!
昨夜寝る前は、頬にキスもいいかもね、とか言ってたから安心してたのに!騙された!
リーンのかもは2度と信じない!
おかげで動揺し過ぎた私は、ブーケを取り落とし、慌ててそれを拾おうとしてドレスの裾を踏んで思いっきり前につんのめった。
「きゃっ?!」
「おっと!」
すかさず目の前のリーンが私を受け止め、あろうことかそのまま抱き上げた。
あまりにも想定外が起こり過ぎた結果、私の意識はそこで途切れた。
■■
sideL
待ちに待った結婚式は粛々と進み、最後に近づいた。
後は誓いのキスをして立ち会いの神官から言葉をもらい、退場するだけだ。
隣のエミーリアは終始笑顔で、淡々とこなしていたけれど、内心がっちがちに緊張しているのが伝わってきた。
僕は割とこういう場に慣れているけれど、彼女は初めてで、昨日まで一生懸命練習したり脳内シュミレーションしたりして今日に備えていた。
その様子を思い出して、目の前の彼女の笑顔を見たら、愛しさが限界を超えて、気がついたら唇へキスをしていた。
直前まで、彼女の希望ならばと頬にするつもりでいたんだけど。
僕もまあ、少しは緊張していたのかもしれない。
キスした後の彼女の変化は激烈だった。
白い肌が一瞬で真っ赤に染まり、ブーケを落とし、そのままコケた。
やっちゃったなと思ったのは一瞬で、僕は即座に彼女を抱き上げ、そのままで話を聞いて退場した。
何の反応もなかったので、彼女は多分、思考停止していたんだと思う。
笑顔だけは保っていたのが流石だった。
聖堂の外に出ると、普通は出席者が祝いの言葉をかけてくれるんだけど、僕達の場合は違った。
皆が口々に
「一緒に暮らしてたのに、キスもまだだったの?」
「もう一緒に寝てるってヘンリックから聞いてたから、てっきりそうだと思って安心してたのに、貴方達、キスもまだだったのね?!」
「そうだそうだ、すぐに孫に会えそうだと思ってたら、奥手すぎやしないか?お前の言っていた欲はどこにあるんだ?」
「いやー、義妹にまだ手を出してなかったんだね。初々しい感じで良かったよ!」
などなど、エミーリアを抱いたままの僕を取り囲んで、皆好き勝手言ってくれた。
ほとんど僕に対する非難だよね?!祝いの言葉はどこいったの?!
僕の腕の中で長らく固まっていたエミーリアは、正気を取り戻すと同時に、かわいそうなくらい落ち込んでしまった。
それを見た義姉上達は、手のひらを返すように口々に祝いの言葉を述べる。
さらにブーケを落としたり、コケたりはよくあることだから気にするなと慰め始めた。
この僕との扱いの差!まあ、逆より余程いい。
エミーリアのことは義姉上達に任せて、僕は1人、離れた所にいる兄へ近づいた。
僕が来るのを見るや、兄はもたれていた木から身体を離し、読んでいた書類を控えていた部下に渡して指示を出した。
「兄上、手伝いましょうか?夜まで時間ありますし。」
「いや、いい。お前どうせ明日から休暇だろ?それが終わってからでいい。」
「珍しい・・・お気遣いありがとうございます。」
目を丸くした僕を兄が軽く小突いた。
「それよりお前、やってくれたな。」
「何の話ですか?」
「恍けるなよ、ちゃっかりタリアメント伯爵をエミーリアの後見につけやがって。ノルトライン家の価値を下げたな。」
やっぱり言われたか。用意の言い訳を引っ張り出す。
「やはり、私の妻にはそれなりの後ろ盾があったほうが良いと陛下が仰るので。彼女の親族で頼れそうなのは姉の嫁ぎ先しかなかったんですよ。」
「よくもまあ、ぬけぬけと。お前のとこなんてもう十分過ぎるくらい地位も権力も金もあるくせに。」
「兄上、それはハーフェルト家のものであって、彼女だけのものは何もないんですよ。黙ってことを進めたことは謝ります。どうしても、彼女自身を護れるものが必要だったんです。」
「言いたいことはわかるが。タリアメント伯爵と2か所で繋がっている方がいいのは確かだしな。」
兄は大きくため息をついて、その話題を終わらせた。
「まあ、とにかく結婚おめでとう、リーン。エミーリアと幸せにな。しかし、キスした時の彼女の反応は面白すぎたな。」
「ありがとうございます。僕を祝ってくれるのは兄上だけですよ。ええ、本当にエミーリアはかわいいでしょ?」
僕の返しに兄は眉間にシワを寄せる。
「婚約した時から思っていたんだが、お前の彼女に対するその執着というか、好意はどこからきてるんだ?」
「どこから?それは彼女のどこが好きかということですか?」
「まあ、そんな感じかな。お前、5歳で婚約しただろ。あれから今まで大勢の令嬢達と会ったはずなのに、最初の一人をずっと想うってどうやれば出来るのかと。」
父似の真っ直ぐな髪を、手でくしゃりとしながら兄はそっぽを向いた。
兄弟間でこういう話はしたことがないから、照れてるのか。
「それ、よく聞かれます。確かに、エミーリアと長く会えない間、他の令嬢達に目を向けたこともありますよ。でも、身体に異常が出るほど好きになったのは彼女だけだったんですよね。」
「ああ、お前にはそれがあったな。」
納得されるのもどうなんだろう。僕が思っているより皆、この体質を便利に使ってないか?
僕は頭をがりがりかきながら、続けた。やっぱり兄とこういう話は照れくさい。
「実は、3カ月前まで彼女は僕との婚約破棄に奔走していまして。それが成立したら、僕は跡継ぎのために他の女性と結婚しないといけないと思っていました。それでヘンリックが張り切って候補者を何十人も挙げてくれたのですが、嫌われていようと実際にエミーリアが近くにいると、他の令嬢には全く興味が湧かなかったんですよね。」
「3ヶ月前?そういやお前、一時期、黒くて底なしの、夜の海の様だと侍女や部下から怖がられていたな。それが今や婚約者を溺愛している水の王太子補佐殿だっけか。変わるもんだな。・・・あれ、そこまで嫌われてたのに、どうやってここまでこぎつけたわけ?」
「ある出来事のおかげで嫌われてたんじゃなくて、お互い好きなのに、ただすれ違っていただけだったとわかったのです。ノルトライン侯爵夫人のおかげでかなり拗れてましたけどね!」
「なるほど。それは恨みが深そうだ・・・じゃなくて、婚約破棄にならなくて良かったな。」
「ええ、本当に。だからですね、無理に想い続けてたわけではなくて、お互い自然とそうなってたということなんですよ。結局、何も損得感情のない年齢で出会って、一目惚れしたのが大きかったのかなあ。」
「結局、一目惚れのひと言に集約されるわけか。」
「そうなるのかもしれません。具体的に言うと、彼女は見た目キリッとした美人なのに、中身が実は寂しがり屋の甘えたがりで、普段は強気なのに恋愛関係はものすごく恥ずかしがるところとか、頑張りやさんなところが可愛くてたまらないですね。」
それを聞いて兄が呆れた顔をして僕を見る。
「よくもまあ、ずらずらと出るもんだ。今日はいいが、仕事中にそうやって俺の前で惚気るなよ?」
できうる限り、その方向で善処します。
心の中でそう答えて、兄には無言の笑みで返した。
96
お気に入りに追加
4,289
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリアン・スチール公爵令嬢18歳デビット王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。
三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。
それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。
頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。
短編恋愛になってます。
【本編完結】若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
はづも
恋愛
本編完結済み。番外編がたまに投稿されたりされなかったりします。
伯爵家に生まれたカレン・アーネストは、20歳のとき、幼馴染でもある若き公爵、ジョンズワート・デュライトの妻となった。
しかし、ジョンズワートはカレンを愛しているわけではない。
当時12歳だったカレンの額に傷を負わせた彼は、その責任を取るためにカレンと結婚したのである。
……本当に好きな人を、諦めてまで。
幼い頃からずっと好きだった彼のために、早く身を引かなければ。
そう思っていたのに、初夜の一度でカレンは懐妊。
このままでは、ジョンズワートが一生自分に縛られてしまう。
夫を想うが故に、カレンは妊娠したことを隠して姿を消した。
愛する人を縛りたくないヒロインと、死亡説が流れても好きな人を諦めることができないヒーローの、両片想い・幼馴染・すれ違い・ハッピーエンドなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる