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13.婚約者からのプレゼント
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■■
sideE
緊張した王妃様とのお茶会も、無事終わった。
まず、婚約破棄に走り回っている間も、強制的に進んでいた、結婚式の準備が終わったという報告をした。
王妃様からは、結婚式当日の注意事項などを教わったが、実際は当日、リーンが鼻血を吹いたらどう対処するかが主な議題だった。
最後に学園でのリーンの様子を王妃様が聞きたがったので知っている範囲でお話したら、どこがツボに入ったのか大笑いされていた。
迎えに来て、それを目にした彼は王妃様に文句を言っていたが。
そして現在、私はリーンに結婚後に住む公爵邸を案内されている。
そこは彼の母方の祖父母の屋敷で、一人娘を妃にする代わりに、次男がその爵位を継ぐと決まっていたらしい。
その祖父母も既に亡く、彼は15でその領地などを継いで管理をしており、結婚後、正式にハーフェルト公爵となり、屋敷に移り住むことになっているという。
今は城と屋敷を行ったり来たりしているらしい。
連れて行かれたその屋敷はすごく立派で部屋数も多くて驚いた。
ノルトライン侯爵家も同じくらいじゃないの?と言われたけれど、私はよく知らないから比べようがない。
それよりなにより、場所が!繁華な街のすぐ側!
昔は街の中心から離れていたのだけど、国が発展するにつれて市街が拡がり、いつの間にか一番の賑わいを見せる地区が隣接していたらしい。
まあ、庭が広大すぎて屋敷そのものからは街が遠いけれど。
私は街の方角に面した3階の窓から見える街の賑わいに身を乗り出して、はしゃいだ声を出した。
「私、街に行ったことも、買い物をしたこともないの!ここに住むようになったら行ってみたい!」
「何を言っているのですか?貴方は公爵夫人になるのですよ、おいそれと街になんて行けるわけがないでしょうが!ちょっとは考えてものを言ってください。」
私の希望はヘンリックによってすぐさま却下された。
それもそうかと残念がっていたら、リーンがそっと
「今度、こっそり二人で出掛けようか?」
と提案してくれたので、ヘンリックに聞こえないように笑顔で大きく頷いた。
「聞こえてますよ。リーンハルト様はエミーリア嬢に甘すぎます。」
恐るべきことにあの音量でヘンリックにはしっかり聞こえていたらしい。地獄耳め。
隣のリーンは何に反応したのだか、例の症状が出たらしく、タオルを当てつつ反論する。
「ヘンリック、僕は結婚したら彼女が自由にやりたいことをできるようにすると約束したんだ。街に行きたいという、ささやかな希望すら叶えられなくてどうするの。エミーリア、1人じゃなかったらいつでも街に行っていいからね。1人で行くのだけは危ないからだめだよ?」
非常に渋い顔をしているヘンリックを横目で見て、私はリーンに感謝の気持ちと笑顔を向けた。
「ありがとう、リーン。そう言ってもらえるだけで嬉しい。私、引きこもってて王都はお城と学園以外行ったことがないから、あちこち行ってみたいところがあるの。だけど、1人だと不安だから、最初は全部貴方と一緒に行きたいわ。」
「エミーリア、嬉しいんだけど、君、無意識に凶器だね・・・。」
つぶやいたリーンがタオルで顔を覆い隠してしまった。見えている耳が真っ赤だ。
一緒にいる時間が増えるにつれ、鼻血の回数は減ってきた。
代わりに最近、彼は時々こうやって固まってしまう。
新しい症状かと心配してたら、これは違うから大丈夫と言われた。でも、こう頻繁だと気になる。
「ねえ、リーン、本当に大丈夫なの?」
リーンの肩に手を置いて覗きこもうとしたら、慌てて戻ってきたヘンリックに阻まれた。
「エミーリア嬢、貴方が原因なのですから、近寄らないでください。」
「なんですって?!私がリーンの心配しちゃいけないわけ?!」
固まるリーンの前で言い合いを始めようとしたところ、すぐにリーンが肩に置いたままだった私の手をとってヘンリックを叱る。
「ヘンリック、お前はどうしてそんな言い方をするんだ。あの言い方は誰だって気を悪くするぞ。これは、僕が彼女の可愛さに対する免疫がないせいなんだから、彼女と一緒にいれば段々治るよ。エミーリア、心配してくれてありがとう。もうじき慣れると思うからもう少し時間をちょうだい。」
可愛さに対する免疫ってナニ。
今度は私が顔を赤くして固まっていると、呆れかえった顔になったヘンリックが首を振りつつ言った。
「これはお互い免疫がないというところですかね。リーンハルト様、そろそろエミーリア嬢のご帰邸の時間ですので、最後にあの部屋をご覧いただいて今日は終わりにいたしましょう。」
「あの部屋?」
「うん、まあ、見てのお楽しみってことで。ついてきて。」
なんだかすごく楽しそうな彼に従って行くと、2階の中央から街寄りの部屋の前に着いた。
2階の廊下は焦げ茶色をメインとした幾何学模様の絨毯が敷き詰められ、壁と各部屋の扉は淡いクリーム色で統一され、金の装飾が施されている。
所々に季節の花が飾られ、明るく優しい雰囲気で私はとても気に入った。
「2階には主に家族の私室があるんだ。で、ここが君の部屋。」
いつの間にかタオルなしになっているリーンが、説明しながら扉を開けて中に入るよう促す。
珍しくヘンリックは廊下で待つつもりらしい。
今まで見てきたのは客室や応接間などだったから、人のお家を見せてもらう感覚で、ひょこひょこ覗いてきたけれど、いざ、自分の部屋だと言われたらドキドキしてきた。
恐る恐る部屋に入ると、中は淡いグリーンの壁と白い家具で統一されていて、柔らかい午後の光がいっぱいにあふれていた。
今、私が使っている侯爵家の北側の部屋より広くて明るい。
そうか、2週間後には私、ここで暮らすんだ。
嬉しくなって部屋を眺めていると、リーンが私から絶妙に目をそらしながら、壁とカーテンを手で指し示した。
「この部屋の壁紙やカーテンはまだ替えてないんだ。ここの生活に慣れてから、エミーリアの好きなものにしようと思って。だから、替えたくなったらいつでも言ってね。」
「え、そうなの?でも、今のままで十分素敵だし、私の好みだから、このままでいいと思うわ。そんなところまで気にしてくれてありがとう。」
「まあ、そう言うかなとは思ってた。でも、本当に替えたくなったら遠慮せずに言ってよ?」
私は頷くと、窓の外にバルコニーがあるのを見つけて喜んだ。ここから街が見えるに違いない。夜景も見えるかもしれない。
ふらふらとバルコニーに出ようとしたら、手を引かれて続き部屋の扉の前に連れて行かれた。
「バルコニーはまた今度ね。時間がないからこの部屋を先に見てもらっていいかな?開けてみて?」
今いる部屋が居間だから、こちらの部屋は寝室かな?と扉を開いた私の目に飛び込んできたのは、たくさんのぬいぐるみ達だった。
驚いた私は勢いよく振り返ってリーンを見る。
いたずらが成功したかのように喜んだ彼は、扉のところで立ち竦む私の手をとって中に入った。
部屋の中央に毛足の長いラグが敷いてあって、その上にぬいぐるみ達がズラッと並んでいる。
「ここは君の私室になるんだ。机とか本棚とか置こうかなって思ったんだけど、まずは君にゆっくりくつろいでもらえる空間にしたくて。あと、覚えてるかわからないけど、婚約の時の約束を果たそうと思って僕のぬいぐるみを全部ここに持ってきて、誕生日に贈ったはずのぬいぐるみも買い直しておいたんだ。」
「もちろん、覚えてるわ。誕生日プレゼントのぬいぐるみが行方不明なのうちのせいなのに、買い直すなんて・・・。でも、嬉しい、ありがとう。だけどこれは、貰いすぎじゃないかしら?」
「いいんだよ。だって君は僕の婚約者なんだから。婚約者と奥さんにはいくらでも贈り物をしていいって姉上は言ってた。だから、ぬいぐるみでも宝石でもドレスでも君が喜ぶものをもっといっぱい贈りたい。今まで何もできなかった分、これからたくさんのことを君にしてあげたいんだ。」
昔聞いたその台詞をまた聞くとは思わなかった。
私は時が戻ったようで心が温かくなった。
そこでリーンが、少し緊張気味に私と向かい合い、両手をそっと握る。それからじっと私の灰色の目を見つめてきた。
「僕はね、君の婚約者になったからこそ、勉強も武術も頑張ってきたんだよ。皆、僕のことを完璧な王子とか言うけれど、それは君の隣にいて恥ずかしくない自分になろうとしただけなんだ。それから、この体質を隠すために嘘をついたりしてごめんね。これから先は、君に嘘も隠しごともしないし、君だけを愛して大事にすると誓います。だから、僕と結婚してください!」
結婚を2週間後に控えてプロポーズされました。
そんなことを言ってもらえるなんて想像もしていなかった私は、内容を理解するとじわじわと身体が熱くなった。
返事をしなければと思うのに、言葉が出てこなくて、先に涙腺が盛大に決壊してしまった。
手をつないだまま、ぽろぽろ涙を落とすと、彼がタオルで拭いてくれながら言い足した。
「懐かしいね、あの日も僕は君の涙を拭いた。あれから僕達は色々あって、すれ違ってしまって、多分数カ月の付き合いの恋人同士より話をしていない。お互いのこともよくわかってない状態だ。だから、これからゆっくりやり直していってもいいかな?」
私はプロポーズの返事も込めて大きく頷いた。
sideE
緊張した王妃様とのお茶会も、無事終わった。
まず、婚約破棄に走り回っている間も、強制的に進んでいた、結婚式の準備が終わったという報告をした。
王妃様からは、結婚式当日の注意事項などを教わったが、実際は当日、リーンが鼻血を吹いたらどう対処するかが主な議題だった。
最後に学園でのリーンの様子を王妃様が聞きたがったので知っている範囲でお話したら、どこがツボに入ったのか大笑いされていた。
迎えに来て、それを目にした彼は王妃様に文句を言っていたが。
そして現在、私はリーンに結婚後に住む公爵邸を案内されている。
そこは彼の母方の祖父母の屋敷で、一人娘を妃にする代わりに、次男がその爵位を継ぐと決まっていたらしい。
その祖父母も既に亡く、彼は15でその領地などを継いで管理をしており、結婚後、正式にハーフェルト公爵となり、屋敷に移り住むことになっているという。
今は城と屋敷を行ったり来たりしているらしい。
連れて行かれたその屋敷はすごく立派で部屋数も多くて驚いた。
ノルトライン侯爵家も同じくらいじゃないの?と言われたけれど、私はよく知らないから比べようがない。
それよりなにより、場所が!繁華な街のすぐ側!
昔は街の中心から離れていたのだけど、国が発展するにつれて市街が拡がり、いつの間にか一番の賑わいを見せる地区が隣接していたらしい。
まあ、庭が広大すぎて屋敷そのものからは街が遠いけれど。
私は街の方角に面した3階の窓から見える街の賑わいに身を乗り出して、はしゃいだ声を出した。
「私、街に行ったことも、買い物をしたこともないの!ここに住むようになったら行ってみたい!」
「何を言っているのですか?貴方は公爵夫人になるのですよ、おいそれと街になんて行けるわけがないでしょうが!ちょっとは考えてものを言ってください。」
私の希望はヘンリックによってすぐさま却下された。
それもそうかと残念がっていたら、リーンがそっと
「今度、こっそり二人で出掛けようか?」
と提案してくれたので、ヘンリックに聞こえないように笑顔で大きく頷いた。
「聞こえてますよ。リーンハルト様はエミーリア嬢に甘すぎます。」
恐るべきことにあの音量でヘンリックにはしっかり聞こえていたらしい。地獄耳め。
隣のリーンは何に反応したのだか、例の症状が出たらしく、タオルを当てつつ反論する。
「ヘンリック、僕は結婚したら彼女が自由にやりたいことをできるようにすると約束したんだ。街に行きたいという、ささやかな希望すら叶えられなくてどうするの。エミーリア、1人じゃなかったらいつでも街に行っていいからね。1人で行くのだけは危ないからだめだよ?」
非常に渋い顔をしているヘンリックを横目で見て、私はリーンに感謝の気持ちと笑顔を向けた。
「ありがとう、リーン。そう言ってもらえるだけで嬉しい。私、引きこもってて王都はお城と学園以外行ったことがないから、あちこち行ってみたいところがあるの。だけど、1人だと不安だから、最初は全部貴方と一緒に行きたいわ。」
「エミーリア、嬉しいんだけど、君、無意識に凶器だね・・・。」
つぶやいたリーンがタオルで顔を覆い隠してしまった。見えている耳が真っ赤だ。
一緒にいる時間が増えるにつれ、鼻血の回数は減ってきた。
代わりに最近、彼は時々こうやって固まってしまう。
新しい症状かと心配してたら、これは違うから大丈夫と言われた。でも、こう頻繁だと気になる。
「ねえ、リーン、本当に大丈夫なの?」
リーンの肩に手を置いて覗きこもうとしたら、慌てて戻ってきたヘンリックに阻まれた。
「エミーリア嬢、貴方が原因なのですから、近寄らないでください。」
「なんですって?!私がリーンの心配しちゃいけないわけ?!」
固まるリーンの前で言い合いを始めようとしたところ、すぐにリーンが肩に置いたままだった私の手をとってヘンリックを叱る。
「ヘンリック、お前はどうしてそんな言い方をするんだ。あの言い方は誰だって気を悪くするぞ。これは、僕が彼女の可愛さに対する免疫がないせいなんだから、彼女と一緒にいれば段々治るよ。エミーリア、心配してくれてありがとう。もうじき慣れると思うからもう少し時間をちょうだい。」
可愛さに対する免疫ってナニ。
今度は私が顔を赤くして固まっていると、呆れかえった顔になったヘンリックが首を振りつつ言った。
「これはお互い免疫がないというところですかね。リーンハルト様、そろそろエミーリア嬢のご帰邸の時間ですので、最後にあの部屋をご覧いただいて今日は終わりにいたしましょう。」
「あの部屋?」
「うん、まあ、見てのお楽しみってことで。ついてきて。」
なんだかすごく楽しそうな彼に従って行くと、2階の中央から街寄りの部屋の前に着いた。
2階の廊下は焦げ茶色をメインとした幾何学模様の絨毯が敷き詰められ、壁と各部屋の扉は淡いクリーム色で統一され、金の装飾が施されている。
所々に季節の花が飾られ、明るく優しい雰囲気で私はとても気に入った。
「2階には主に家族の私室があるんだ。で、ここが君の部屋。」
いつの間にかタオルなしになっているリーンが、説明しながら扉を開けて中に入るよう促す。
珍しくヘンリックは廊下で待つつもりらしい。
今まで見てきたのは客室や応接間などだったから、人のお家を見せてもらう感覚で、ひょこひょこ覗いてきたけれど、いざ、自分の部屋だと言われたらドキドキしてきた。
恐る恐る部屋に入ると、中は淡いグリーンの壁と白い家具で統一されていて、柔らかい午後の光がいっぱいにあふれていた。
今、私が使っている侯爵家の北側の部屋より広くて明るい。
そうか、2週間後には私、ここで暮らすんだ。
嬉しくなって部屋を眺めていると、リーンが私から絶妙に目をそらしながら、壁とカーテンを手で指し示した。
「この部屋の壁紙やカーテンはまだ替えてないんだ。ここの生活に慣れてから、エミーリアの好きなものにしようと思って。だから、替えたくなったらいつでも言ってね。」
「え、そうなの?でも、今のままで十分素敵だし、私の好みだから、このままでいいと思うわ。そんなところまで気にしてくれてありがとう。」
「まあ、そう言うかなとは思ってた。でも、本当に替えたくなったら遠慮せずに言ってよ?」
私は頷くと、窓の外にバルコニーがあるのを見つけて喜んだ。ここから街が見えるに違いない。夜景も見えるかもしれない。
ふらふらとバルコニーに出ようとしたら、手を引かれて続き部屋の扉の前に連れて行かれた。
「バルコニーはまた今度ね。時間がないからこの部屋を先に見てもらっていいかな?開けてみて?」
今いる部屋が居間だから、こちらの部屋は寝室かな?と扉を開いた私の目に飛び込んできたのは、たくさんのぬいぐるみ達だった。
驚いた私は勢いよく振り返ってリーンを見る。
いたずらが成功したかのように喜んだ彼は、扉のところで立ち竦む私の手をとって中に入った。
部屋の中央に毛足の長いラグが敷いてあって、その上にぬいぐるみ達がズラッと並んでいる。
「ここは君の私室になるんだ。机とか本棚とか置こうかなって思ったんだけど、まずは君にゆっくりくつろいでもらえる空間にしたくて。あと、覚えてるかわからないけど、婚約の時の約束を果たそうと思って僕のぬいぐるみを全部ここに持ってきて、誕生日に贈ったはずのぬいぐるみも買い直しておいたんだ。」
「もちろん、覚えてるわ。誕生日プレゼントのぬいぐるみが行方不明なのうちのせいなのに、買い直すなんて・・・。でも、嬉しい、ありがとう。だけどこれは、貰いすぎじゃないかしら?」
「いいんだよ。だって君は僕の婚約者なんだから。婚約者と奥さんにはいくらでも贈り物をしていいって姉上は言ってた。だから、ぬいぐるみでも宝石でもドレスでも君が喜ぶものをもっといっぱい贈りたい。今まで何もできなかった分、これからたくさんのことを君にしてあげたいんだ。」
昔聞いたその台詞をまた聞くとは思わなかった。
私は時が戻ったようで心が温かくなった。
そこでリーンが、少し緊張気味に私と向かい合い、両手をそっと握る。それからじっと私の灰色の目を見つめてきた。
「僕はね、君の婚約者になったからこそ、勉強も武術も頑張ってきたんだよ。皆、僕のことを完璧な王子とか言うけれど、それは君の隣にいて恥ずかしくない自分になろうとしただけなんだ。それから、この体質を隠すために嘘をついたりしてごめんね。これから先は、君に嘘も隠しごともしないし、君だけを愛して大事にすると誓います。だから、僕と結婚してください!」
結婚を2週間後に控えてプロポーズされました。
そんなことを言ってもらえるなんて想像もしていなかった私は、内容を理解するとじわじわと身体が熱くなった。
返事をしなければと思うのに、言葉が出てこなくて、先に涙腺が盛大に決壊してしまった。
手をつないだまま、ぽろぽろ涙を落とすと、彼がタオルで拭いてくれながら言い足した。
「懐かしいね、あの日も僕は君の涙を拭いた。あれから僕達は色々あって、すれ違ってしまって、多分数カ月の付き合いの恋人同士より話をしていない。お互いのこともよくわかってない状態だ。だから、これからゆっくりやり直していってもいいかな?」
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