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シュタンツファー市
#17 学校
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朝になった。私はいつも着ていた服ではなく学校の制服を着てリーヌと共に家をでた。緊張していた。軽蔑されるのではないかという不安もあったが、それよりも転入生として受け入れてくれるのかが不安だった。私は今まで転校はもちろん引っ越しさえしたことがなかった。ただでさえマイナスイメージがあるのに上手くやっていけるだろうか。
「ベリアちゃん、緊張してる?昨日怖がらせること言ったから?…大丈夫だよ。みんな優しいから。」
「それもそうなんだけど、普通に自己紹介とかに緊張してる。」
「あ!そっか!そっちね。それは私も緊張する。うふふ。」
「なんでリーヌが緊張するのさ?」
「改まって友人の自己紹介を聞くのなんて緊張するじゃん。ふふ」
「確かに、そうかもね。ふふふ」
私の緊張は道中でリーヌの会話によって消されたように思えたが、学校に着いてみるとまたその緊張はぶり返した。
<リベフィラ国立高等附属中学校-高等部三学年D組教室>
「ハイヒブルック市からやってまいりました。ベリア・ハイヒブルックと言います。変な病気も持っていませんし、医師による診断で皆さんと変わらない健康な体だと言われてきました。なので安心していただけると、その……嬉しいです……。」
自分で何を言っているのか分からなくなってしまった。それを見兼ねたのか、担任の教師が間に入ってきた。
「そうですよ。ベリアさんは病気なんか一つも持っていません。普通の子と同じ様に接してあげてください。
ベリアさんの席は一番後ろの席です。リツロさん、手をあげてもらって良いですか。…あの子の隣です。」
「はい。」
クラスの四十人の反応は無反応で、私は良い印象なのか悪い印象なのか分からなかったが、とりあえず最初の難所を通り抜けれた。
その後、私は想像以上の人数に話しかけられドギマギしながら受け応えた。メディアに取り上げられた人間が珍しいのか、クラス以外の人達も私に話しかけてくれた。皆腫れ物に触るような話しかけ方ではなく、普通に接してれた。本当に安心した。一時はどうなるかと思ったが、それも杞憂に終わった様だった。授業はさすがに着いて行けれず、困り果てていたが、長い目で見て頑張ろうと思えた。少し前まで死んでしまいたいと思っていた私にとって大きな変化だと思う。
学校の終礼が終わり、帰ろうと思った時担任からリーヌに学校案内をしてもらう様に言われた。しかし、リーヌはここしばらく委員会が忙しくなるそうで学校案内はできそうになかった。私は元々人見知りだったのだが、どういう訳か今日は話しかけられる気がしていた。きっと沢山の人と話したせいだろう。私は隣にいたリツロという女の子に話しかけた。
「リツロちゃん、私学校案内をしてもらう様に言われたんだけど頼める人がいなくて、頼んでも良いかな?」
「別に、良いけど。」
「…あ、ありがとう。」
リツロはそういうと早速学校案内を始めた。彼女は長くて綺麗な黒髪を真っ直ぐに下ろしていた。説明も分かりやすかった。今思うと、今日一日誰も彼女に話しかけていなかった。口数の少ない子なのだろうか。
案内が終わり、私たちは教室に向かっていた。気まずくなって私から話しかけた。
「リツロちゃんは何処から来たの?ここの人?」
「シュタンツファー生まれだけど。」
「それじゃあ被害には遭わなかったんだね。」
「…だから何?」
「特には…。」
リツロは少し怒っている様だった。何か気に触ることを言ってしまったのだろうか。
教室に戻ってから、私はリツロにお礼を言った。
「ありがとう!今日は緊張してたから、優しくされてもらって…」「悪いけど。」
「私、貴方と仲良くする気ないから。」
「…どうして?」
「……私情。」
リツロは吐き捨てるように言って、教室を出ていった。
「ベリアちゃん、緊張してる?昨日怖がらせること言ったから?…大丈夫だよ。みんな優しいから。」
「それもそうなんだけど、普通に自己紹介とかに緊張してる。」
「あ!そっか!そっちね。それは私も緊張する。うふふ。」
「なんでリーヌが緊張するのさ?」
「改まって友人の自己紹介を聞くのなんて緊張するじゃん。ふふ」
「確かに、そうかもね。ふふふ」
私の緊張は道中でリーヌの会話によって消されたように思えたが、学校に着いてみるとまたその緊張はぶり返した。
<リベフィラ国立高等附属中学校-高等部三学年D組教室>
「ハイヒブルック市からやってまいりました。ベリア・ハイヒブルックと言います。変な病気も持っていませんし、医師による診断で皆さんと変わらない健康な体だと言われてきました。なので安心していただけると、その……嬉しいです……。」
自分で何を言っているのか分からなくなってしまった。それを見兼ねたのか、担任の教師が間に入ってきた。
「そうですよ。ベリアさんは病気なんか一つも持っていません。普通の子と同じ様に接してあげてください。
ベリアさんの席は一番後ろの席です。リツロさん、手をあげてもらって良いですか。…あの子の隣です。」
「はい。」
クラスの四十人の反応は無反応で、私は良い印象なのか悪い印象なのか分からなかったが、とりあえず最初の難所を通り抜けれた。
その後、私は想像以上の人数に話しかけられドギマギしながら受け応えた。メディアに取り上げられた人間が珍しいのか、クラス以外の人達も私に話しかけてくれた。皆腫れ物に触るような話しかけ方ではなく、普通に接してれた。本当に安心した。一時はどうなるかと思ったが、それも杞憂に終わった様だった。授業はさすがに着いて行けれず、困り果てていたが、長い目で見て頑張ろうと思えた。少し前まで死んでしまいたいと思っていた私にとって大きな変化だと思う。
学校の終礼が終わり、帰ろうと思った時担任からリーヌに学校案内をしてもらう様に言われた。しかし、リーヌはここしばらく委員会が忙しくなるそうで学校案内はできそうになかった。私は元々人見知りだったのだが、どういう訳か今日は話しかけられる気がしていた。きっと沢山の人と話したせいだろう。私は隣にいたリツロという女の子に話しかけた。
「リツロちゃん、私学校案内をしてもらう様に言われたんだけど頼める人がいなくて、頼んでも良いかな?」
「別に、良いけど。」
「…あ、ありがとう。」
リツロはそういうと早速学校案内を始めた。彼女は長くて綺麗な黒髪を真っ直ぐに下ろしていた。説明も分かりやすかった。今思うと、今日一日誰も彼女に話しかけていなかった。口数の少ない子なのだろうか。
案内が終わり、私たちは教室に向かっていた。気まずくなって私から話しかけた。
「リツロちゃんは何処から来たの?ここの人?」
「シュタンツファー生まれだけど。」
「それじゃあ被害には遭わなかったんだね。」
「…だから何?」
「特には…。」
リツロは少し怒っている様だった。何か気に触ることを言ってしまったのだろうか。
教室に戻ってから、私はリツロにお礼を言った。
「ありがとう!今日は緊張してたから、優しくされてもらって…」「悪いけど。」
「私、貴方と仲良くする気ないから。」
「…どうして?」
「……私情。」
リツロは吐き捨てるように言って、教室を出ていった。
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