17 / 60
シュタンツファー市
#17 学校
しおりを挟む
朝になった。私はいつも着ていた服ではなく学校の制服を着てリーヌと共に家をでた。緊張していた。軽蔑されるのではないかという不安もあったが、それよりも転入生として受け入れてくれるのかが不安だった。私は今まで転校はもちろん引っ越しさえしたことがなかった。ただでさえマイナスイメージがあるのに上手くやっていけるだろうか。
「ベリアちゃん、緊張してる?昨日怖がらせること言ったから?…大丈夫だよ。みんな優しいから。」
「それもそうなんだけど、普通に自己紹介とかに緊張してる。」
「あ!そっか!そっちね。それは私も緊張する。うふふ。」
「なんでリーヌが緊張するのさ?」
「改まって友人の自己紹介を聞くのなんて緊張するじゃん。ふふ」
「確かに、そうかもね。ふふふ」
私の緊張は道中でリーヌの会話によって消されたように思えたが、学校に着いてみるとまたその緊張はぶり返した。
<リベフィラ国立高等附属中学校-高等部三学年D組教室>
「ハイヒブルック市からやってまいりました。ベリア・ハイヒブルックと言います。変な病気も持っていませんし、医師による診断で皆さんと変わらない健康な体だと言われてきました。なので安心していただけると、その……嬉しいです……。」
自分で何を言っているのか分からなくなってしまった。それを見兼ねたのか、担任の教師が間に入ってきた。
「そうですよ。ベリアさんは病気なんか一つも持っていません。普通の子と同じ様に接してあげてください。
ベリアさんの席は一番後ろの席です。リツロさん、手をあげてもらって良いですか。…あの子の隣です。」
「はい。」
クラスの四十人の反応は無反応で、私は良い印象なのか悪い印象なのか分からなかったが、とりあえず最初の難所を通り抜けれた。
その後、私は想像以上の人数に話しかけられドギマギしながら受け応えた。メディアに取り上げられた人間が珍しいのか、クラス以外の人達も私に話しかけてくれた。皆腫れ物に触るような話しかけ方ではなく、普通に接してれた。本当に安心した。一時はどうなるかと思ったが、それも杞憂に終わった様だった。授業はさすがに着いて行けれず、困り果てていたが、長い目で見て頑張ろうと思えた。少し前まで死んでしまいたいと思っていた私にとって大きな変化だと思う。
学校の終礼が終わり、帰ろうと思った時担任からリーヌに学校案内をしてもらう様に言われた。しかし、リーヌはここしばらく委員会が忙しくなるそうで学校案内はできそうになかった。私は元々人見知りだったのだが、どういう訳か今日は話しかけられる気がしていた。きっと沢山の人と話したせいだろう。私は隣にいたリツロという女の子に話しかけた。
「リツロちゃん、私学校案内をしてもらう様に言われたんだけど頼める人がいなくて、頼んでも良いかな?」
「別に、良いけど。」
「…あ、ありがとう。」
リツロはそういうと早速学校案内を始めた。彼女は長くて綺麗な黒髪を真っ直ぐに下ろしていた。説明も分かりやすかった。今思うと、今日一日誰も彼女に話しかけていなかった。口数の少ない子なのだろうか。
案内が終わり、私たちは教室に向かっていた。気まずくなって私から話しかけた。
「リツロちゃんは何処から来たの?ここの人?」
「シュタンツファー生まれだけど。」
「それじゃあ被害には遭わなかったんだね。」
「…だから何?」
「特には…。」
リツロは少し怒っている様だった。何か気に触ることを言ってしまったのだろうか。
教室に戻ってから、私はリツロにお礼を言った。
「ありがとう!今日は緊張してたから、優しくされてもらって…」「悪いけど。」
「私、貴方と仲良くする気ないから。」
「…どうして?」
「……私情。」
リツロは吐き捨てるように言って、教室を出ていった。
「ベリアちゃん、緊張してる?昨日怖がらせること言ったから?…大丈夫だよ。みんな優しいから。」
「それもそうなんだけど、普通に自己紹介とかに緊張してる。」
「あ!そっか!そっちね。それは私も緊張する。うふふ。」
「なんでリーヌが緊張するのさ?」
「改まって友人の自己紹介を聞くのなんて緊張するじゃん。ふふ」
「確かに、そうかもね。ふふふ」
私の緊張は道中でリーヌの会話によって消されたように思えたが、学校に着いてみるとまたその緊張はぶり返した。
<リベフィラ国立高等附属中学校-高等部三学年D組教室>
「ハイヒブルック市からやってまいりました。ベリア・ハイヒブルックと言います。変な病気も持っていませんし、医師による診断で皆さんと変わらない健康な体だと言われてきました。なので安心していただけると、その……嬉しいです……。」
自分で何を言っているのか分からなくなってしまった。それを見兼ねたのか、担任の教師が間に入ってきた。
「そうですよ。ベリアさんは病気なんか一つも持っていません。普通の子と同じ様に接してあげてください。
ベリアさんの席は一番後ろの席です。リツロさん、手をあげてもらって良いですか。…あの子の隣です。」
「はい。」
クラスの四十人の反応は無反応で、私は良い印象なのか悪い印象なのか分からなかったが、とりあえず最初の難所を通り抜けれた。
その後、私は想像以上の人数に話しかけられドギマギしながら受け応えた。メディアに取り上げられた人間が珍しいのか、クラス以外の人達も私に話しかけてくれた。皆腫れ物に触るような話しかけ方ではなく、普通に接してれた。本当に安心した。一時はどうなるかと思ったが、それも杞憂に終わった様だった。授業はさすがに着いて行けれず、困り果てていたが、長い目で見て頑張ろうと思えた。少し前まで死んでしまいたいと思っていた私にとって大きな変化だと思う。
学校の終礼が終わり、帰ろうと思った時担任からリーヌに学校案内をしてもらう様に言われた。しかし、リーヌはここしばらく委員会が忙しくなるそうで学校案内はできそうになかった。私は元々人見知りだったのだが、どういう訳か今日は話しかけられる気がしていた。きっと沢山の人と話したせいだろう。私は隣にいたリツロという女の子に話しかけた。
「リツロちゃん、私学校案内をしてもらう様に言われたんだけど頼める人がいなくて、頼んでも良いかな?」
「別に、良いけど。」
「…あ、ありがとう。」
リツロはそういうと早速学校案内を始めた。彼女は長くて綺麗な黒髪を真っ直ぐに下ろしていた。説明も分かりやすかった。今思うと、今日一日誰も彼女に話しかけていなかった。口数の少ない子なのだろうか。
案内が終わり、私たちは教室に向かっていた。気まずくなって私から話しかけた。
「リツロちゃんは何処から来たの?ここの人?」
「シュタンツファー生まれだけど。」
「それじゃあ被害には遭わなかったんだね。」
「…だから何?」
「特には…。」
リツロは少し怒っている様だった。何か気に触ることを言ってしまったのだろうか。
教室に戻ってから、私はリツロにお礼を言った。
「ありがとう!今日は緊張してたから、優しくされてもらって…」「悪いけど。」
「私、貴方と仲良くする気ないから。」
「…どうして?」
「……私情。」
リツロは吐き捨てるように言って、教室を出ていった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる