10 / 60
シュタンツファー市
#10 幼馴染、リーヌ
しおりを挟む
「ベリアちゃん…!?なんで泣いてるの?」
「いや、懐かしくなって……もう私安全な場所にいるんだって思って…。グスッ」
「そうだよね。ほんとに無事で良かった。守ってあげれなくてごめんね…。」
「なんでリーヌが泣いてんの。余計に泣けるじゃん…。」
「私もずっと心配してたんだから!!」
私たちはお互いの涙を見ていたはずなのに、いつの間にかお互いの笑っている顔を見ていた。
時計台から近くのカフェに移り、いろいろな話をした。
リーヌはワイルが出現する前にノイシュロス市という街に引っ越していった。ナマイトダフ地震があった後、ハイヒブルック市は原因不明の環境悪化が増し、引っ越していく人が多くなっていたのだ。
リーヌの両親は農家で土地愛が非常に強く、最後の最後まで残ろうとしたが、リーヌを含む五人の子供のため、引っ越しを決意した。引っ越す前に、土地を見つけれたら私と私の祖父を必ず迎えに来る、と言ってくれた。しかし、リーヌの家族が出発した二日後、長い揺れと共にワイルが出現。内側はもちろん、外側からハイヒブルック市に入れないほどの被害だった。私たちはその後から連絡を取ることができなくなった。
最近のリーヌは高校で大学受験の勉強をしているらしい。
そもそも学校があること自体に私は驚いた。しかも大学まであるとは。
高校は市内で十五校、大学は大きな規模のものが五校あるそうだ。
リーヌはワイルの出現後、引っ越しの身支度は避難の身支度に代わり、ノイシュロスに行ったものの、すぐに被害のないシュタンツファーに行ったそうだ。
ワイルが出現してから二ヶ月ほど学校はおろか、全ての職場や機関が停止。全国は混乱に陥っていたそうだ。リーヌはこの時を戦争中のようだった、と言った。
「私、何度もハイヒブルックに行こうとしたの。でも結局、大人に止められた。そのくせ政府の大人たちは機関を再生するのを優先させて避難しなきゃいけない人たちを後回しにしたんだよ!…確かに国の機関が大切なのはわかるけど、人の命には変えられないだろってすごく怒った。
学校が再開して、故郷に友達や親戚が残っているっていう子たちとたくさん知り合った。その子たちと団結してお父さんを先頭にデモ隊を作ったの。それでも政府は動いてくれなかった。でも、復興途中だったナマイトダフのファタング隊のアルティアさんって方が直接私の家に来て、私たちに任せてくださいって言ってくださった。蔓延した胞子やディモンの存在が未確認だったからすぐには救助できなかったみたいだけど、逐一現状報告をしてくださった。そして、その流れで今あなたが目の前にいる。
ほんとに申し訳ないって気持ちで押し潰されそうだった……ほんとに……」
「リーヌ……」
リーヌは大粒の涙を流しながら言った。
「自暴自棄にならなくて良かった。ほんの欠片でしか役に立てれてないかもだけど頑張って良かったって思ってる。」
「ううん!全部リーヌとリーヌのご家族、それとデモ隊の皆様のおかげだよ!!ほんとにありがとう。……ありがとう…」
そのあとも、気の済むまで二人で泣いたり笑ったりしてカフェを出た。
「いや、懐かしくなって……もう私安全な場所にいるんだって思って…。グスッ」
「そうだよね。ほんとに無事で良かった。守ってあげれなくてごめんね…。」
「なんでリーヌが泣いてんの。余計に泣けるじゃん…。」
「私もずっと心配してたんだから!!」
私たちはお互いの涙を見ていたはずなのに、いつの間にかお互いの笑っている顔を見ていた。
時計台から近くのカフェに移り、いろいろな話をした。
リーヌはワイルが出現する前にノイシュロス市という街に引っ越していった。ナマイトダフ地震があった後、ハイヒブルック市は原因不明の環境悪化が増し、引っ越していく人が多くなっていたのだ。
リーヌの両親は農家で土地愛が非常に強く、最後の最後まで残ろうとしたが、リーヌを含む五人の子供のため、引っ越しを決意した。引っ越す前に、土地を見つけれたら私と私の祖父を必ず迎えに来る、と言ってくれた。しかし、リーヌの家族が出発した二日後、長い揺れと共にワイルが出現。内側はもちろん、外側からハイヒブルック市に入れないほどの被害だった。私たちはその後から連絡を取ることができなくなった。
最近のリーヌは高校で大学受験の勉強をしているらしい。
そもそも学校があること自体に私は驚いた。しかも大学まであるとは。
高校は市内で十五校、大学は大きな規模のものが五校あるそうだ。
リーヌはワイルの出現後、引っ越しの身支度は避難の身支度に代わり、ノイシュロスに行ったものの、すぐに被害のないシュタンツファーに行ったそうだ。
ワイルが出現してから二ヶ月ほど学校はおろか、全ての職場や機関が停止。全国は混乱に陥っていたそうだ。リーヌはこの時を戦争中のようだった、と言った。
「私、何度もハイヒブルックに行こうとしたの。でも結局、大人に止められた。そのくせ政府の大人たちは機関を再生するのを優先させて避難しなきゃいけない人たちを後回しにしたんだよ!…確かに国の機関が大切なのはわかるけど、人の命には変えられないだろってすごく怒った。
学校が再開して、故郷に友達や親戚が残っているっていう子たちとたくさん知り合った。その子たちと団結してお父さんを先頭にデモ隊を作ったの。それでも政府は動いてくれなかった。でも、復興途中だったナマイトダフのファタング隊のアルティアさんって方が直接私の家に来て、私たちに任せてくださいって言ってくださった。蔓延した胞子やディモンの存在が未確認だったからすぐには救助できなかったみたいだけど、逐一現状報告をしてくださった。そして、その流れで今あなたが目の前にいる。
ほんとに申し訳ないって気持ちで押し潰されそうだった……ほんとに……」
「リーヌ……」
リーヌは大粒の涙を流しながら言った。
「自暴自棄にならなくて良かった。ほんの欠片でしか役に立てれてないかもだけど頑張って良かったって思ってる。」
「ううん!全部リーヌとリーヌのご家族、それとデモ隊の皆様のおかげだよ!!ほんとにありがとう。……ありがとう…」
そのあとも、気の済むまで二人で泣いたり笑ったりしてカフェを出た。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
陸のくじら侍 -元禄の竜-
陸 理明
歴史・時代
元禄時代、江戸に「くじら侍」と呼ばれた男がいた。かつて武士であるにも関わらず鯨漁に没頭し、そして誰も知らない理由で江戸に流れてきた赤銅色の大男――権藤伊佐馬という。海の巨獣との命を削る凄絶な戦いの果てに会得した正確無比な投げ銛術と、苛烈なまでの剛剣の使い手でもある伊佐馬は、南町奉行所の戦闘狂の美貌の同心・青碕伯之進とともに江戸の悪を討ちつつ、日がな一日ずっと釣りをして生きていくだけの暮らしを続けていた……
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる