2 / 60
ハイヒブルック市
#2 第三部隊のアリーとクック
しおりを挟む
私が声を発する前にその男性は布で私の口を押さえつけた。
「胞子が蔓延してます。苦しいと思いますが、息をできるだけ止めてください。」
最初は何が起きているのか分からず放心していたが、急に恐ろしくなって震えた。怪物をあんな至近距離で見たのは初めてだ。思っていた大きさより少しだけ小さかったが、それでも大きかった。
「もう大丈夫です。僕たちがついてます。」
彼は私の恐怖心に気づいたのか優しい声をかけてくれた。
「おーい!ガスマスク持ってきたよ!」
声のする方向からガスマスクを持ち、男性と同じような隊服を着た人が駆け寄ってきた。間近で見てやっと分かったが女性だった。
「ガスマスクつけますね。………
もう息しても大丈夫ですよ。苦しくはないですか?」
「はい」
女性は私にガスマスクをつけた後そっと優しく背中を撫でてくれた。
「あなた……」
「…はい」
「ううん、なんでもないわ。無事でよかった。」
少し不安気な声がした。女性は私の背中をさすっていた手を肩に置いてそこから腕をつたって私の手を優しく握った。
向こう側で男性が何処かと連絡をしていた。
「…はい。とりあえず要救助者の避難場所に行き、そこで聴取をしたいと思います。…はい。着いたら連絡します。
…いえ、痩せてはいますが意識もはっきりしていますし大丈夫かと…はい。
失礼します。」
連絡が終わったのか男性がこちらに向かってくる。
「君の住んでいるところに案内してほしいです。そこでいろいろ聞かせてください。」
「…分かりました。」
「そんなに警戒しないでいいわ。私はファタング隊第三部隊に所属している
アリー・リーリックっていうの。よろしくね。」
「同じく第三部隊のクック・ドルです。よろしく。」
男性は明るく女性は優しくそう言ったが、私はまだ受け止めれそうにもなく、ただただ息をするしかなかった。
彼らと山を登った。アリーは私の手をずっと握っていた。クックは道中何回か何処かと連絡をとっていた。しばらくして祖父のいる家に着いた。
「ベリア!!なんだその方々は!?」
「ファタング隊の者です。ハイヒブルック市の要救助者捜索のためやって参りました。」
「あー、助けが来たのか…良かった…」
気が抜けたのか祖父はその場で腰を抜かしてしまった。
クックはどこかと連絡をとっている。
私はガスマスクを外し、彼らもガスマスクを外した。初めて顔を見た。
アリーは少し吊り目でお堅い雰囲気だが微笑んだ表情はとても優しい。
クックは口調の通りの明るそうな顔で瞳の色が少しだけ青く見える。
「あ!アルティア隊長!メル副隊長!ここです!」
クックが見る方角をみると、高身長で強面な男性と私と同じくらいの背格好でしたたかそうな女性を先頭に、隊員数名がこちらに向かっていた。
「胞子が蔓延してます。苦しいと思いますが、息をできるだけ止めてください。」
最初は何が起きているのか分からず放心していたが、急に恐ろしくなって震えた。怪物をあんな至近距離で見たのは初めてだ。思っていた大きさより少しだけ小さかったが、それでも大きかった。
「もう大丈夫です。僕たちがついてます。」
彼は私の恐怖心に気づいたのか優しい声をかけてくれた。
「おーい!ガスマスク持ってきたよ!」
声のする方向からガスマスクを持ち、男性と同じような隊服を着た人が駆け寄ってきた。間近で見てやっと分かったが女性だった。
「ガスマスクつけますね。………
もう息しても大丈夫ですよ。苦しくはないですか?」
「はい」
女性は私にガスマスクをつけた後そっと優しく背中を撫でてくれた。
「あなた……」
「…はい」
「ううん、なんでもないわ。無事でよかった。」
少し不安気な声がした。女性は私の背中をさすっていた手を肩に置いてそこから腕をつたって私の手を優しく握った。
向こう側で男性が何処かと連絡をしていた。
「…はい。とりあえず要救助者の避難場所に行き、そこで聴取をしたいと思います。…はい。着いたら連絡します。
…いえ、痩せてはいますが意識もはっきりしていますし大丈夫かと…はい。
失礼します。」
連絡が終わったのか男性がこちらに向かってくる。
「君の住んでいるところに案内してほしいです。そこでいろいろ聞かせてください。」
「…分かりました。」
「そんなに警戒しないでいいわ。私はファタング隊第三部隊に所属している
アリー・リーリックっていうの。よろしくね。」
「同じく第三部隊のクック・ドルです。よろしく。」
男性は明るく女性は優しくそう言ったが、私はまだ受け止めれそうにもなく、ただただ息をするしかなかった。
彼らと山を登った。アリーは私の手をずっと握っていた。クックは道中何回か何処かと連絡をとっていた。しばらくして祖父のいる家に着いた。
「ベリア!!なんだその方々は!?」
「ファタング隊の者です。ハイヒブルック市の要救助者捜索のためやって参りました。」
「あー、助けが来たのか…良かった…」
気が抜けたのか祖父はその場で腰を抜かしてしまった。
クックはどこかと連絡をとっている。
私はガスマスクを外し、彼らもガスマスクを外した。初めて顔を見た。
アリーは少し吊り目でお堅い雰囲気だが微笑んだ表情はとても優しい。
クックは口調の通りの明るそうな顔で瞳の色が少しだけ青く見える。
「あ!アルティア隊長!メル副隊長!ここです!」
クックが見る方角をみると、高身長で強面な男性と私と同じくらいの背格好でしたたかそうな女性を先頭に、隊員数名がこちらに向かっていた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる