上 下
128 / 150
好きですからね!!

2

しおりを挟む
「何でそんなのいちいち聞くの!?」
「はい?」

 掠れているその声を逃さないように聞きながら首を傾げる。

「そんなの聞かれたら……恥ずかしくて逃げちゃうでしょ!」

 こんな照れまくる先輩は反則じゃないか?

「じゃあ、聞かずにしていいんですか?」
「……ダメ」

 顔を寄せると、先輩は俺の顔に手を押し付けてきた。
 その手にチュッと音を立てるとビクッと先輩が跳ねる。
 そろりとこっちを見る姿がかわい過ぎた。

「どっちですか」

 笑ってしまうと、先輩はプクッと頬を膨らませる。

「……だって……ここ学校……」
「でも、部活終わりこんな時間だし、こんな寒い時に中庭ここには誰も居ないですよ?」

 俯く先輩に再び近づいてその手を握った。
 先輩がこっちを見たお陰で絡む視線。
 間近にあって伸びたまつ毛の長ささえハッキリとわかる距離。
 初めてのキスに心臓をバクバクさせつつ、首を傾けながら角度を合わせて……フワッと触れた瞬間見たことないほど真っ赤になって逃げようとした先輩を引き寄せた。

「ダメ……見ないで」
「じゃあ、くっついてて下さい」

 ギュッと抱き締めつつ、俺だって一瞬感じた柔らかさを思い出して騒ぎ出しそうになっている。
 今、どんな顔になっているかわからなくて見られたくなかった。
 全く余裕はなくて、どうしたらいいかわからなくて……でも、嬉しくて、何度も反芻してしまって……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

超エリートコンサルタントは隠れて女子中学生制服スカートを穿いていた

進撃の制服スカート
ファンタジー
30歳で経営コンサルタントに転身した、ごく普通の男性「恵夢」。 しかし彼にはちょっとした秘密がある。 それは女子中学生の制服スカートを穿いているということ!!! 何故超エリートの人生を歩む勝ち組の彼が女子中学生の制服スカートを穿くようになったのか? 全ての元凶は彼の中学時代、同級生の女の子たちが彼に見せつけるかのようなスカートの遊び方であった。 制服スカートには夏用と冬用があるが、恵夢が強い怒りと執念を抱いたのが夏用制服スカート。 太陽の光の下を歩く女子中学生の制服スカートが透けて、くっきりと黒い影で見える足にエロさを感じ、 自分もこの制服スカートを穿きたい!!下着をつけずノーパンでこの制服スカートの感触を味わいたい! そんな強い思いから、いつしかそれが生きる活力となり、エネルギーとなり 女子中学生の制服スカートがきっかけで超エリートコンサルタントへの道を切り開く物語である。

KEEP OUT

嘉久見 嶺志
青春
疳という蟲をご存知だろうか。 疳とは、人間の感情に呼応し、増幅させる寄生虫のことである。 しかし、中には感情の沸点を超え、疳によって興奮を抑制することが出来ず、破壊衝動を起こす者もいる。 この世の殺人や暴動等の狂行は、全てこれによるものなのである。 遥か昔から、疳によって超常的力が目覚め、人に害を及ぼす者がいた。 そのため、当時は、疳を祓う陰陽師や霊媒師は多く存在していたのだが、今やその術を継承した者は数少なく、様々な争乱が絶えることはない。 そして現在、日本有数の山に囲まれた盆地、福島市を舞台に、少年少女達の青春が始まる。 ※この作品は、カクヨム、小説家になろうにも掲載しております。

神様自学

天ノ谷 霙
青春
ここは霜月神社。そこの神様からとある役職を授かる夕音(ゆうね)。 それは恋心を感じることができる、不思議な力を使う役職だった。 自分の恋心を中心に様々な人の心の変化、思春期特有の感情が溢れていく。 果たして、神様の裏側にある悲しい過去とは。 人の恋心は、どうなるのだろうか。

クールな生徒会長のオンとオフが違いすぎるっ!?

ブレイブ
青春
政治家、資産家の子供だけが通える高校。上流高校がある。上流高校の生徒会長。神童燐は普段は冷静に動くが、家族と、恋人、新の前では

【ショートショート】雨のおはなし

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらは声劇、朗読用台本になりますが普通に読んで頂ける作品になっています。 声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

青夏(せいか)

こじゅろう
青春
 小学校生活最後の一年から始まる青春ラブコメ

お茶をしましょう、若菜さん。〜強面自衛官、スイーツと君の笑顔を守ります〜

ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
陸上自衛隊衛生科所属の安達四季陸曹長は、見た目がどうもヤのつく人ににていて怖い。 「だって顔に大きな傷があるんだもん!」 体力徽章もレンジャー徽章も持った看護官は、鬼神のように荒野を走る。 実は怖いのは顔だけで、本当はとても優しくて怒鳴ったりイライラしたりしない自衛官。 寺の住職になった方が良いのでは?そう思うくらいに懐が大きく、上官からも部下からも慕われ頼りにされている。 スイーツ大好き、奥さん大好きな安達陸曹長の若かりし日々を振り返るお話です。 ※フィクションです。 ※カクヨム、小説家になろうにも公開しています。

転校生とフラグ察知鈍感男

加藤やま
青春
まず朝、転校生と曲がり角でぶつかります。その転校生と同じクラスになります。恋に落ちます。 予想外の展開も裏切りもハラハラもありませんが、ほっと安心しながら読める作品です。 次の展開を予想しながら、その予想が当たるのをお楽しみください。

処理中です...