125 / 150
ヤバい!!
9
しおりを挟む
月曜日になって……
「おはよ」
朝練の準備中、声を掛けてきてくれたのは三木先輩。
「おはようございます」
挨拶を返しながら三木先輩が居るということは……と菊川先輩を探してしまう。
すると、三木先輩はくすくすと笑い出した。
「キクのこと、よろしくね!」
「はい!」
即答した俺に満足そうな顔を見せると、三木先輩は準備をしている菊川先輩の方を見る。
俺もそっちに視線を向けて眺めていると、三木先輩はゆっくり息を吐き出した。
「私はキクをいっぱい傷つけちゃったから……ごめんね」
先輩が謝ってくるのをただ黙って聞く。
「キクと小嶋を応援しようと思った時もあったのに……結局私は小嶋と……一番残酷だよね」
少し眉を寄せた三木先輩はそのまま両手で抱いていたボールに力を込めた。
「俺は感謝してますよ」
「え?」
俺が本音をぶつけると、三木先輩は目を見開く。
「そのお陰で先輩はこっちを向いてくれたんで!」
笑うと、先輩もフッと力を抜いた。
「凄いなぁ。吉井くんは」
ポーンとボールを真上に投げるとキャッチして笑う。
「そうですか?」
「ずっと想い続けて振り向かせちゃうんだもん」
またボールを両手で持った三木先輩に言われて、笑うしかなかった。
「先輩が誰を見ていようと好きだっただけですよ」
俺の諦めが悪かっただけ。だが、
「そんだけ“好き”って言えるのがそもそも凄いよ!」
先輩に言われて、そういうもんか……ととりあえず会釈を返した。
「おはよ」
朝練の準備中、声を掛けてきてくれたのは三木先輩。
「おはようございます」
挨拶を返しながら三木先輩が居るということは……と菊川先輩を探してしまう。
すると、三木先輩はくすくすと笑い出した。
「キクのこと、よろしくね!」
「はい!」
即答した俺に満足そうな顔を見せると、三木先輩は準備をしている菊川先輩の方を見る。
俺もそっちに視線を向けて眺めていると、三木先輩はゆっくり息を吐き出した。
「私はキクをいっぱい傷つけちゃったから……ごめんね」
先輩が謝ってくるのをただ黙って聞く。
「キクと小嶋を応援しようと思った時もあったのに……結局私は小嶋と……一番残酷だよね」
少し眉を寄せた三木先輩はそのまま両手で抱いていたボールに力を込めた。
「俺は感謝してますよ」
「え?」
俺が本音をぶつけると、三木先輩は目を見開く。
「そのお陰で先輩はこっちを向いてくれたんで!」
笑うと、先輩もフッと力を抜いた。
「凄いなぁ。吉井くんは」
ポーンとボールを真上に投げるとキャッチして笑う。
「そうですか?」
「ずっと想い続けて振り向かせちゃうんだもん」
またボールを両手で持った三木先輩に言われて、笑うしかなかった。
「先輩が誰を見ていようと好きだっただけですよ」
俺の諦めが悪かっただけ。だが、
「そんだけ“好き”って言えるのがそもそも凄いよ!」
先輩に言われて、そういうもんか……ととりあえず会釈を返した。
35
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
姉らぶるっ!!
藍染惣右介兵衛
青春
俺には二人の容姿端麗な姉がいる。
自慢そうに聞こえただろうか?
それは少しばかり誤解だ。
この二人の姉、どちらも重大な欠陥があるのだ……
次女の青山花穂は高校二年で生徒会長。
外見上はすべて完璧に見える花穂姉ちゃん……
「花穂姉ちゃん! 下着でウロウロするのやめろよなっ!」
「んじゃ、裸ならいいってことねっ!」
▼物語概要
【恋愛感情欠落、解離性健忘というトラウマを抱えながら、姉やヒロインに囲まれて成長していく話です】
47万字以上の大長編になります。(2020年11月現在)
【※不健全ラブコメの注意事項】
この作品は通常のラブコメより下品下劣この上なく、ドン引き、ドシモ、変態、マニアック、陰謀と陰毛渦巻くご都合主義のオンパレードです。
それをウリにして、ギャグなどをミックスした作品です。一話(1部分)1800~3000字と短く、四コマ漫画感覚で手軽に読めます。
全編47万字前後となります。読みごたえも初期より増し、ガッツリ読みたい方にもお勧めです。
また、執筆・原作・草案者が男性と女性両方なので、主人公が男にもかかわらず、男性目線からややずれている部分があります。
【元々、小説家になろうで連載していたものを大幅改訂して連載します】
【なろう版から一部、ストーリー展開と主要キャラの名前が変更になりました】
【2017年4月、本幕が完結しました】
序幕・本幕であらかたの謎が解け、メインヒロインが確定します。
【2018年1月、真幕を開始しました】
ここから読み始めると盛大なネタバレになります(汗)
僕《わたし》は誰でしょう
紫音
青春
交通事故の後遺症で記憶喪失になってしまった女子高生・比良坂すずは、自分が女であることに違和感を抱く。
「自分はもともと男ではなかったか?」
事故後から男性寄りの思考になり、周囲とのギャップに悩む彼女は、次第に身に覚えのないはずの記憶を思い出し始める。まるで別人のものとしか思えないその記憶は、一体どこから来たのだろうか。
見知らぬ思い出をめぐる青春SF。
※第7回ライト文芸大賞奨励賞受賞作品です。
※表紙イラスト=ミカスケ様
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
坊主頭の絆:学校を変えた一歩【シリーズ】
S.H.L
青春
高校生のあかりとユイは、学校を襲う謎の病に立ち向かうため、伝説に基づく古い儀式に従い、坊主頭になる決断をします。この一見小さな行動は、学校全体に大きな影響を与え、生徒や教職員の間で新しい絆と理解を生み出します。
物語は、あかりとユイが学校の秘密を解き明かし、新しい伝統を築く過程を追いながら、彼女たちの内面の成長と変革の旅を描きます。彼女たちの行動は、生徒たちにインスピレーションを与え、更には教師にも影響を及ぼし、伝統的な教育コミュニティに新たな風を吹き込みます。
キスの練習相手は幼馴染で好きな人【連載版】
猫都299
青春
沼田海里(17)は幼馴染でクラスメイトの一井柚佳に恋心を抱いていた。しかしある時、彼女は同じクラスの桜場篤の事が好きなのだと知る。桜場篤は学年一モテる文武両道で性格もいいイケメンだ。告白する予定だと言う柚佳に焦り、失言を重ねる海里。納得できないながらも彼女を応援しようと決めた。しかし自信のなさそうな柚佳に色々と間違ったアドバイスをしてしまう。己の経験のなさも棚に上げて。
「キス、練習すりゃいいだろ? 篤をイチコロにするやつ」
秘密や嘘で隠されたそれぞれの思惑。ずっと好きだった幼馴染に翻弄されながらも、その本心に近付いていく。
※短編で投稿していたものの連載版です。
※不定期更新予定。
※小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+(2024.2.27~)にも投稿しています。
※成人向け小説サイトで連載している別口ドロドロ小説の土台になっている元の小説でもあります。そちらから読まれた読者様には既に色々ネタバレしています。なので、もしどちらから読もうか迷っている読者様がいらっしゃいましたら先に本小説をお読みいただけますと幸いです。(追記2023.10.8)
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる