65 / 150
文化祭
9
しおりを挟む
力也とヒサとクロの四人で適度に回って、ふとした時に漏れてしまうため息。
「俺らとじゃ不満かよ?」
パシャンと水音と共に頭に軽い衝撃を感じて振り返ると、力也は水風船をまたこっちに向けてぶつけてきた。
「そんなこと言ってない」
「顔に書いてんだよ。さっきから焼きそばもたこ焼きも買っただけで食わねぇし」
目を向けられたのは俺の手にぶら下がっている袋。
「完売して片付けは後でって言ってたのに菊川先輩は残ってたもんな?」
いつの間に買ったのかヒサもチョコバナナを咥えて顔を出す。
「持ってって一緒に食べたら?」
クロは唐揚げのカップを俺の袋に入れて笑った。
「え?」
「行ってぶつかって来いよ!文化祭だぞ?」
ニッと笑って力也は俺の背中を押す。
「お前らなぁ……」
「「フラれたら慰めてやんよっ!!」」
力也とヒサがハモって、クロが反応に困っている姿に笑ってしまった。
クルッと向きを変えて化学室へと走る。
菊川先輩がセイ先輩を好きなのは知っている。
今日だけでも嫌というほど実感した。
でも、その恋は実らなさそうなのも見てしまったから。
夏休み中も準備の間も……いつも言い合いつつ笑い合っていたセイ先輩と三木先輩。
あの二人の間に流れる空気、遠慮のない会話、自然なやり取り……全てが入り込む余地は見出だせない。
そんなの、ずっとセイ先輩と三木先輩を見てきた菊川先輩はもっと実感しているだろう。
「俺らとじゃ不満かよ?」
パシャンと水音と共に頭に軽い衝撃を感じて振り返ると、力也は水風船をまたこっちに向けてぶつけてきた。
「そんなこと言ってない」
「顔に書いてんだよ。さっきから焼きそばもたこ焼きも買っただけで食わねぇし」
目を向けられたのは俺の手にぶら下がっている袋。
「完売して片付けは後でって言ってたのに菊川先輩は残ってたもんな?」
いつの間に買ったのかヒサもチョコバナナを咥えて顔を出す。
「持ってって一緒に食べたら?」
クロは唐揚げのカップを俺の袋に入れて笑った。
「え?」
「行ってぶつかって来いよ!文化祭だぞ?」
ニッと笑って力也は俺の背中を押す。
「お前らなぁ……」
「「フラれたら慰めてやんよっ!!」」
力也とヒサがハモって、クロが反応に困っている姿に笑ってしまった。
クルッと向きを変えて化学室へと走る。
菊川先輩がセイ先輩を好きなのは知っている。
今日だけでも嫌というほど実感した。
でも、その恋は実らなさそうなのも見てしまったから。
夏休み中も準備の間も……いつも言い合いつつ笑い合っていたセイ先輩と三木先輩。
あの二人の間に流れる空気、遠慮のない会話、自然なやり取り……全てが入り込む余地は見出だせない。
そんなの、ずっとセイ先輩と三木先輩を見てきた菊川先輩はもっと実感しているだろう。
35
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
坊主頭の絆:学校を変えた一歩【シリーズ】
S.H.L
青春
高校生のあかりとユイは、学校を襲う謎の病に立ち向かうため、伝説に基づく古い儀式に従い、坊主頭になる決断をします。この一見小さな行動は、学校全体に大きな影響を与え、生徒や教職員の間で新しい絆と理解を生み出します。
物語は、あかりとユイが学校の秘密を解き明かし、新しい伝統を築く過程を追いながら、彼女たちの内面の成長と変革の旅を描きます。彼女たちの行動は、生徒たちにインスピレーションを与え、更には教師にも影響を及ぼし、伝統的な教育コミュニティに新たな風を吹き込みます。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
私の隣は、心が見えない男の子
舟渡あさひ
青春
人の心を五感で感じ取れる少女、人見一透。
隣の席の男子は九十九くん。一透は彼の心が上手く読み取れない。
二人はこの春から、同じクラスの高校生。
一透は九十九くんの心の様子が気になって、彼の観察を始めることにしました。
きっと彼が、私の求める答えを持っている。そう信じて。
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる