299 / 311
★サブスペース
2
しおりを挟む
「ちょっ……」
あまりにも強い力に驚くと、先生はグッと俺の背中にくっつけていた顔を上げてふにゃりと笑う。
「そんな言葉……嬉し過ぎますよ?」
本当に嬉しそうなその顔を見て俺まで嬉しくなるのはなぜだろう?
「今日の夕飯、もう簡単にでもいいですか?」
伸びてきた手が優しく俺の頬を撫でる。
それだけで溶かされたような気がしつつ頷くと、先生は俺の手を引いた。
「傍に居てくれます?」
重ねられた手が先生の腰に導かれて今度は俺が後ろから先生を抱き締めるような形にされるのはやけに恥ずかしい。
今までカウンターの向こうに座るように言われたりしてただ作業する姿を見つめたことはあるがこれは……。
「……本当のバカップルじゃん」
「嫌ですか?」
呟くと俺の腕の中で先生がこっちを見て笑う。
嫌、なんて言えるはずもなくギュッと力を込めると、先生はすり寄ってきてにこにこと笑った。
「今日は僕が全部食べさせてあげますからね?」
「そこまで!?」
「もちろん!お風呂も隅々まで僕が全部洗いたいですよ?」
これは本気の目で、恥ずかしいのに首はコクリと縦に動いてしまう。
「よし!早く食べましょう!」
どう考えたって俺がくっついていては作業の邪魔だろうに先生はご機嫌で調理を続けた。
そして、用意された夕飯は簡単にと言いつつ親子丼と味噌汁だけではなく、サラダも煮物もあって十分じゃないか?と感激する。
宣言通り食べさせてもらいながら俺は照れつつも幸せに浸っていた。
あまりにも強い力に驚くと、先生はグッと俺の背中にくっつけていた顔を上げてふにゃりと笑う。
「そんな言葉……嬉し過ぎますよ?」
本当に嬉しそうなその顔を見て俺まで嬉しくなるのはなぜだろう?
「今日の夕飯、もう簡単にでもいいですか?」
伸びてきた手が優しく俺の頬を撫でる。
それだけで溶かされたような気がしつつ頷くと、先生は俺の手を引いた。
「傍に居てくれます?」
重ねられた手が先生の腰に導かれて今度は俺が後ろから先生を抱き締めるような形にされるのはやけに恥ずかしい。
今までカウンターの向こうに座るように言われたりしてただ作業する姿を見つめたことはあるがこれは……。
「……本当のバカップルじゃん」
「嫌ですか?」
呟くと俺の腕の中で先生がこっちを見て笑う。
嫌、なんて言えるはずもなくギュッと力を込めると、先生はすり寄ってきてにこにこと笑った。
「今日は僕が全部食べさせてあげますからね?」
「そこまで!?」
「もちろん!お風呂も隅々まで僕が全部洗いたいですよ?」
これは本気の目で、恥ずかしいのに首はコクリと縦に動いてしまう。
「よし!早く食べましょう!」
どう考えたって俺がくっついていては作業の邪魔だろうに先生はご機嫌で調理を続けた。
そして、用意された夕飯は簡単にと言いつつ親子丼と味噌汁だけではなく、サラダも煮物もあって十分じゃないか?と感激する。
宣言通り食べさせてもらいながら俺は照れつつも幸せに浸っていた。
24
お気に入りに追加
101
あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

幸せの温度
本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。
まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。
俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。
陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。
俺にあんまり触らないで。
俺の気持ちに気付かないで。
……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。
俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。
家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。
そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる