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気になる動向
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二次会はさすがに遠慮して駅に向かう。
「楽しかったですねぇ!」
「若手飲み会は歳近い先生たちだけだから相談もしやすいし、つい飲み過ぎますけどねぇ!」
同じく帰るらしい武藤くんと飯田先生と歩いていても話す二人の会話を俺は聞くだけで話に入る元気はなかった。
俺は少し飲んだだけだがかなり疲れた気がする。しかし、
「あの……あれって……熊野くんじゃないですか?」
飯田先生の言葉で慌てて顔を上げた。
二十一時近いこんな時間にまさか、とは思うが後ろ姿がかなり似ている。
洋平のお家は両親共に介護士で、二人ともが夜勤の夜は祖母が家に来ていたはずだが。
「しかも、あれ……後をつけてる感じですかね?」
確かにその少し前を窺うように隠れながら進む姿は尾行しているようではある。
人違いであって欲しい。
でも、洋平なら……。
それにもし洋平でなかったとしても、子供がこんな時間に一人で飲み屋街に居ては危ない。
「お二人は帰って下さい。確認だけしてきます」
気になった以上、このまま放っておくことはできないし確認だけでもしたい。
「でも……」
「洋平であればうちのクラスですし、それなら家に送り届けるんで……お疲れ様でした」
心配そうな飯田先生を武藤先生に任せて俺は二人とは別れて洋平らしき子供の後を追った。
「楽しかったですねぇ!」
「若手飲み会は歳近い先生たちだけだから相談もしやすいし、つい飲み過ぎますけどねぇ!」
同じく帰るらしい武藤くんと飯田先生と歩いていても話す二人の会話を俺は聞くだけで話に入る元気はなかった。
俺は少し飲んだだけだがかなり疲れた気がする。しかし、
「あの……あれって……熊野くんじゃないですか?」
飯田先生の言葉で慌てて顔を上げた。
二十一時近いこんな時間にまさか、とは思うが後ろ姿がかなり似ている。
洋平のお家は両親共に介護士で、二人ともが夜勤の夜は祖母が家に来ていたはずだが。
「しかも、あれ……後をつけてる感じですかね?」
確かにその少し前を窺うように隠れながら進む姿は尾行しているようではある。
人違いであって欲しい。
でも、洋平なら……。
それにもし洋平でなかったとしても、子供がこんな時間に一人で飲み屋街に居ては危ない。
「お二人は帰って下さい。確認だけしてきます」
気になった以上、このまま放っておくことはできないし確認だけでもしたい。
「でも……」
「洋平であればうちのクラスですし、それなら家に送り届けるんで……お疲れ様でした」
心配そうな飯田先生を武藤先生に任せて俺は二人とは別れて洋平らしき子供の後を追った。
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