溺愛Domの優しいコマンド

水ノ瀬 あおい

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 ここ数日、明らかに悠太の顔色がよくない。
 そして、それに気付いているのか洋平の機嫌も悪くて、クラスも少し変な空気が流れていた。
 宏太や女子のはしゃぐ集団が笑って盛り上がるのに、洋平のため息一つでその笑いも消える。
 どうしたものか。
 考えつつ次の体育のために俺は更衣室に向かっていた。
 今日は先生はダイナミクスの診断を受けた六年生の診断結果を受け取るために午前中は居ないと聞いている。
 階段を降りてきて見える保健室に先生が居ないと思うと少し淋しく感じてしまった。
 無意識に袖を捲ってチェーンに触れていることに気付いて軽く笑うと、俺は保健室とは反対にある更衣室に向かう。
 といっても元々ジャージを着ているし、着替える必要はなくて俺はそのまま職員室に入った。
 瞬間、けたたましく鳴る電話。
 それは教頭先生の後ろにある各階の廊下と繋がっている校内用の電話で、すぐに職員室の中がシーンと静かになった。

「はい、職員室」

 電話に出た教頭先生の声にも緊張感が混じる。

『誰かっ!!悠太がっ!!』

 近くに居て聞こえてきた声に俺はすぐに職員室を飛び出した。
 あの声はうちの学級委員である三咲みさきの声だ。
 しかも、確かに“悠太”と名前が聞こえた。

「周防先生!」

 教頭先生が緊急用の携帯電話を手に追いかけて来る。
 とにかく、俺は急いで階段を駆け上がった。
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