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「プレイ、して……」

 玄関の鍵を開けている先生の背中に何とか言うと、先生は扉を開けて微笑む。
 俺の背を押して先生も入ってくると、パタンと扉が閉まった。

「……もう待てないって書いてありますね」

 俺の顎に手を掛けるのに先生は笑うだけ。
 コクコク俺が頷くと、先生はくすくすと楽しそうに笑った。

「コマンドですか?」
「ん、欲し……」

 なぜか耐えられなくてただ求めてしまう。だが、

「うーん……意地悪、してもいいですか?」

 にっこり笑われてヒュッと喉が鳴った。
 優しい声だし、まだメガネを掛けているのに感じるグレア。
 ゾクッと震えるような感覚に更に期待は高まってしまう。
 なのに……?

「そんな物欲しそうな顔をされたら……僕も少し……」

 言いながら先生は革靴を脱いで俺の手を引いた。
 俺もスニーカーを脱いで後に続く。
 リビングに入った先生はパッと振り返るとじっとこっちを見上げてきた。

「航生さん、僕だって必死に堪らえてるんですよ?」

 その顔にいつもの柔らかい笑みはなくてドキッとする。

「そんなの……堪らえないでよ」

 無意識に胸を押さえながら言うと、先生はギュッと抱き着いてきた。

「言ったでしょう?とことんあなたを甘やかしたい。何でも世話をしてあげたいんです」

 俺の背中に回った手がしっかり握られていて、俺もそっと先生の背に手を回す。

「同時に……僕だけのモノにしたくなる」

 不安そうに掠れていく声を聞いて、俺は先生を力いっぱい抱き締めた。
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