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忙殺

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 女子が終わって男子は若干興奮気味に見える。
 特に紅組にとってはさっきの女子が白組が一位も二位も独占したために自分たちが頑張らないと……そんな思いがあるのかもしれない。
 グラウンドの中で待機している中に洋平の姿を見つけて、調子に乗るなと念を込めてみた。
 だが、同じビブスを着ている一年に何かを言って大笑いをし、六年に小突かれているようにも見える。
 トラブルだろうか?
 なのに、指令台の上に居る俺がここから飛び降りることも、マイクで怒鳴ることもできず何とかグラウンド内に居る先生に目で合図を送った。
 誰も受け取ってはくれなかったが。

「周防先生、どうかされました?」

 指令台の下でスターターを準備してくれた先生が声をかけてきてくれて、縋る思いでそっちに向き直る。

「洋平が……あれ、大丈夫ですかね?」
「んー?先生のクラスの熊野くんですか?……うちのクラスの佐々と笑ってますよ?」

 笑ってスターターを手渡されて、受け取ってから見ると確かに六年生と洋平は笑っていた。
 もう仲直りしたのか?

「大丈夫ですよ!あの子たちは学年の代表だって、先生練習の時に何度も仰ってたでしょう?ちゃんとわかってますよ」
「……はい」

 先生に微笑まれて俺もとりあえず背筋を伸ばす。

「男子のリレーを始めます。最後の競技なので、みなさんも応援よろしくお願いします」

 ワッと声があがった後にスッと静まるその中で、俺はスターターを確認してからゆっくり息を吐いてマイクに近づいた。
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