溺愛Domの優しいコマンド

水ノ瀬 あおい

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 戻ると、保健室の中から深谷先生に手招きをされた。

「これ、かなり好評なんで明日からもあると嬉しいです」

 霧吹きを返すと、深谷先生は「よかったです」と笑ってそれを洗い始める。
 乾かすために並べると、俺にイスを勧めて奥に歩いて行った。

「暑かったですよね!お疲れ様です」

 出されたアイスティー。
 この冷房の効いた室内に入っただけでありがたいが、確かに喉はかなり乾いている。

「ありがとうございます!頂きます!」

 口にするとふわりと桃の後味が広がった。

「うわっ!おいしっ!」

 爽やかなその味に思わず反応してグラスを見つめてしまう。

「今、このフルーツシリーズにハマってまして」

 笑うと、深谷先生もグラスに口をつけた。
 まったりとした時間。
 吹き出していた汗も収まってホッと一息吐く。

「お忙しそうですね」
「まぁ……プールが始まりましたしね」

 グラスを置いた先生に言われて頬を掻いた。

「周防先生が泳ぐのめちゃくちゃ速いって子供たちも目を輝かせてましたよ」

 確かに泳ぎの手本を見せたからか、児童たちにせがまれてもう何度泳いだかわからない。
 暑い中、ただプールサイドに立っているよりは泳げる方が気持ちいいのだが、後から疲労もかなりでしんどいのは事実だ。

「また無理していますよね?」

 深谷先生にじっと見られて戸惑う。

「プレイしますか?」

 心配そうなその顔をじっと見ていられなくて俯いた。
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