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多忙の中で
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どうしても気になって屋敷に帰る前に寄ったのは城。
「……急に来て会えるはずねぇだろ」
車の中で呟くと、リックが振り返って眉を寄せる。
「まさか……と思いつつ黙ってきましたが」
言いかけたくせに黙るリックを睨んでやった。
クルッと前を向いたリックの背後に近寄ってじーっと見てやる。
「お前、何か知ってる?」
「はぁ?何がですか?」
何か心当たりがあるらしく、僅かに動揺の見えるリックを更に探るように見つめた。
リックは昔は父さんについていて、むしろ産まれた頃から知っているような奴なんだから父さんのことはよく知っているだろう。
「何だと思う?」
引かずにゆっくり首を倒すと、
「サラ!」
外からリューラの声が聞こえてそっちに目をやった。
満面の笑みで走ってくるその姿。
王が何してんだ?
思いつつ、真っ直ぐ走ってくることがちょっと嬉しかった。でも、
「お前、暇かよ?」
車を降りながら口から出てくるのはそんな言葉。
「サラのためならどこにでも行くよっ!」
俺の憎まれ口だって笑ってくれるリューラに決意しようとしていた気持ちも揺らぐ。
俺はサフィナと結婚しないといけないのに、こうやって会いに来てしまっているなんて。
「リューラ様ーーーっっ!!ちょ、本当っ、急に走るのは止めて下さいって!!」
寄りかかりそうになった俺が止まったのはロットルが大声で叫びながら走ってきたから。
「お前、実はめちゃくちゃ忙しいだろ?」
「んー?どうかな?」
笑うリューラに抱き寄せられたがロットルが哀れで仕方なかった。
「……急に来て会えるはずねぇだろ」
車の中で呟くと、リックが振り返って眉を寄せる。
「まさか……と思いつつ黙ってきましたが」
言いかけたくせに黙るリックを睨んでやった。
クルッと前を向いたリックの背後に近寄ってじーっと見てやる。
「お前、何か知ってる?」
「はぁ?何がですか?」
何か心当たりがあるらしく、僅かに動揺の見えるリックを更に探るように見つめた。
リックは昔は父さんについていて、むしろ産まれた頃から知っているような奴なんだから父さんのことはよく知っているだろう。
「何だと思う?」
引かずにゆっくり首を倒すと、
「サラ!」
外からリューラの声が聞こえてそっちに目をやった。
満面の笑みで走ってくるその姿。
王が何してんだ?
思いつつ、真っ直ぐ走ってくることがちょっと嬉しかった。でも、
「お前、暇かよ?」
車を降りながら口から出てくるのはそんな言葉。
「サラのためならどこにでも行くよっ!」
俺の憎まれ口だって笑ってくれるリューラに決意しようとしていた気持ちも揺らぐ。
俺はサフィナと結婚しないといけないのに、こうやって会いに来てしまっているなんて。
「リューラ様ーーーっっ!!ちょ、本当っ、急に走るのは止めて下さいって!!」
寄りかかりそうになった俺が止まったのはロットルが大声で叫びながら走ってきたから。
「お前、実はめちゃくちゃ忙しいだろ?」
「んー?どうかな?」
笑うリューラに抱き寄せられたがロットルが哀れで仕方なかった。
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