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不仲
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「わかった。回復を祈る」
その書類にリューラがサラサラと書き加えて、サフィナはペコリと頭を下げた。
「では、サライド様、また近いうちに……」
早々と執務室から去ろうとするサフィナに微笑みを向けられるが、また素早くリューラが間に入ってくる。
「邪魔です」
目を細めたサフィナが周り込んでくるが、すぐに俺はリューラの背後に隠された。
「勝手にサラと話すな!」
「サラ?……サライド様はその呼び名は嫌だとおっしゃっていませんでしたか?」
リューラを避けるように顔を出されて、俺が口を開く前に、
「俺だけの特別なんだよ!」
リューラに勝手なことを言われる。
「はぁ?サライド様は私の婚約者ですけど?」
スッとリューラを避けたサフィナが俺の右腕に絡みついて、
「そんなの俺は認めてない!」
リューラに左腕を掴まれた。
「別にこれについては王の承認など必要ありませんけど?」
「いや!これだけはダメだ!」
右腕をサフィナに引かれて、またリューラにも反対へと引かれる。
「いい加減にしろっ!!」
ガキのケンカみたいなことをする二人に怒鳴りつけると、二人はパッと手を離した。
俺がジャケットを正すのを二人は少ししょんぼりして見てくる。
「サラ、怒った?」
様子を窺うような仔犬みたいなリューラ。
体はデカくなってもその探るような目は変わらない。
そして、俺がその目に弱いことも。
「べ、別に……」
パッとリューラから目を逸らすと、今度はサフィナと目が合って俺は逃げるようにロットルに話しかけてお茶をもらった。
その書類にリューラがサラサラと書き加えて、サフィナはペコリと頭を下げた。
「では、サライド様、また近いうちに……」
早々と執務室から去ろうとするサフィナに微笑みを向けられるが、また素早くリューラが間に入ってくる。
「邪魔です」
目を細めたサフィナが周り込んでくるが、すぐに俺はリューラの背後に隠された。
「勝手にサラと話すな!」
「サラ?……サライド様はその呼び名は嫌だとおっしゃっていませんでしたか?」
リューラを避けるように顔を出されて、俺が口を開く前に、
「俺だけの特別なんだよ!」
リューラに勝手なことを言われる。
「はぁ?サライド様は私の婚約者ですけど?」
スッとリューラを避けたサフィナが俺の右腕に絡みついて、
「そんなの俺は認めてない!」
リューラに左腕を掴まれた。
「別にこれについては王の承認など必要ありませんけど?」
「いや!これだけはダメだ!」
右腕をサフィナに引かれて、またリューラにも反対へと引かれる。
「いい加減にしろっ!!」
ガキのケンカみたいなことをする二人に怒鳴りつけると、二人はパッと手を離した。
俺がジャケットを正すのを二人は少ししょんぼりして見てくる。
「サラ、怒った?」
様子を窺うような仔犬みたいなリューラ。
体はデカくなってもその探るような目は変わらない。
そして、俺がその目に弱いことも。
「べ、別に……」
パッとリューラから目を逸らすと、今度はサフィナと目が合って俺は逃げるようにロットルに話しかけてお茶をもらった。
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