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不仲
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城に着いてリックは車で待たせたまますぐに執務室へと向かった。
「うん、顔色もいいね!よかった」
ロットルと共に満面の笑みで出迎えられてしまって、怒るに怒れない。
今日は昨日の気疲れをゆっくり家で書類仕事くらいしながら癒す予定だったのに。
朝一から大慌てで準備したのはリューラがあの書類を勝手に持って行ったからだ。
「お前なぁ」
「仕事なら来てくれるでしょ?」
悪びれることなく言われてため息さえ出ない。
「会いたかったんだもん!それにどうせこの書類は俺に提出じゃん?」
ヒラリと出される書類。
このせいで……と憎らしく思いつつ、
「俺がここに来た事実ねぇのに書類だけあったら父さんにバレんだろーがっ!!」
伸ばした俺の手を掴んでグッと顔を近付けられて焦った。
「もうさぁ、シーバスに言っておけばいい?」
「あ?」
何とか冷静を装うがバレている気がする。
「好きだから俺がガッツリ口説くって」
チュッと軽くキスをされて驚くのに、にっこりと極上の笑みを向けられて顔が熱い。
「はぁっ!?絶対ぇヤメロっ!」
ワタワタと暴れてその胸を押すと、何とかリューラから逃れた。
「でも、それなら縁談も進まなくない?」
俺ばかりが焦って、何でこいつはこんな平然としているのか?
「大声が外に響いておりますが?」
不意にノックと共にドアが開いてビクッと肩を揺らした。
「うん、顔色もいいね!よかった」
ロットルと共に満面の笑みで出迎えられてしまって、怒るに怒れない。
今日は昨日の気疲れをゆっくり家で書類仕事くらいしながら癒す予定だったのに。
朝一から大慌てで準備したのはリューラがあの書類を勝手に持って行ったからだ。
「お前なぁ」
「仕事なら来てくれるでしょ?」
悪びれることなく言われてため息さえ出ない。
「会いたかったんだもん!それにどうせこの書類は俺に提出じゃん?」
ヒラリと出される書類。
このせいで……と憎らしく思いつつ、
「俺がここに来た事実ねぇのに書類だけあったら父さんにバレんだろーがっ!!」
伸ばした俺の手を掴んでグッと顔を近付けられて焦った。
「もうさぁ、シーバスに言っておけばいい?」
「あ?」
何とか冷静を装うがバレている気がする。
「好きだから俺がガッツリ口説くって」
チュッと軽くキスをされて驚くのに、にっこりと極上の笑みを向けられて顔が熱い。
「はぁっ!?絶対ぇヤメロっ!」
ワタワタと暴れてその胸を押すと、何とかリューラから逃れた。
「でも、それなら縁談も進まなくない?」
俺ばかりが焦って、何でこいつはこんな平然としているのか?
「大声が外に響いておりますが?」
不意にノックと共にドアが開いてビクッと肩を揺らした。
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