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不仲
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「いい加減、離せ」
ため息を吐くと、毛布ごと剥がされて睨んでやる。なのに、
「やっと顔見れた♡」
嬉しそうなリューラに呆れた。
「俺の顔なんて見て何が楽しい?」
仕事にならない、と書類を片付けながら手で払ってやるのに、
「そりゃ、好きな人の顔はどれだけ見てても嬉しいだろう?」
真剣な顔で返されて言葉にならない。
「ずーっと……サラの顔ならいくらでも見つめていられるよ?」
机に肘をついてうっとりされて、パッと書類で顔を隠した。
「……今日、あの女と顔合わせだっただろう?」
クイッと書類を指で退けたリューラの声が少し低くなって少しその様子を窺う。
「まさか!気に入った、とかはないよね?」
書類を取られて手を伸ばすが、リューラは更にそれを俺の手からは遠ざけた。
「気に入るも何も、縁談は絶対だろ。俺がどうこう……」
「結婚する気!?」
腰を上げて取ろうとしても、俺の手を押さえてリューラは遮ってくる。
「そりゃ?」
「ダメだ!許さない!」
頷くと、リューラは眉を吊り上げた。
「だから、お前が許すとかそんなの関係な……」
「好きでもないのに結婚なんて!そんなのおかしいだろう!?」
おかしいとかではなく、そういうもんだ。
「サラが他のやつと結婚なんて気が狂いそうになる」
しかも、男である俺にそんなことを言う方がおかしい。
「俺よりあの女の方がいいのか?」
悲しげにされても俺にはどうにもできない。
ため息を吐くと、毛布ごと剥がされて睨んでやる。なのに、
「やっと顔見れた♡」
嬉しそうなリューラに呆れた。
「俺の顔なんて見て何が楽しい?」
仕事にならない、と書類を片付けながら手で払ってやるのに、
「そりゃ、好きな人の顔はどれだけ見てても嬉しいだろう?」
真剣な顔で返されて言葉にならない。
「ずーっと……サラの顔ならいくらでも見つめていられるよ?」
机に肘をついてうっとりされて、パッと書類で顔を隠した。
「……今日、あの女と顔合わせだっただろう?」
クイッと書類を指で退けたリューラの声が少し低くなって少しその様子を窺う。
「まさか!気に入った、とかはないよね?」
書類を取られて手を伸ばすが、リューラは更にそれを俺の手からは遠ざけた。
「気に入るも何も、縁談は絶対だろ。俺がどうこう……」
「結婚する気!?」
腰を上げて取ろうとしても、俺の手を押さえてリューラは遮ってくる。
「そりゃ?」
「ダメだ!許さない!」
頷くと、リューラは眉を吊り上げた。
「だから、お前が許すとかそんなの関係な……」
「好きでもないのに結婚なんて!そんなのおかしいだろう!?」
おかしいとかではなく、そういうもんだ。
「サラが他のやつと結婚なんて気が狂いそうになる」
しかも、男である俺にそんなことを言う方がおかしい。
「俺よりあの女の方がいいのか?」
悲しげにされても俺にはどうにもできない。
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