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対面

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 リックに呼ばれて屋敷に戻ると昼食の用意が整っていて、公爵も父さんも上機嫌のまま食事も和やかに進んだ。

「お二人もお似合いですし安心ですわ」

 夫人が微笑んでサフィナが少し頬を染める。
 あれも技か?と感心しつつ、俺は口を挟まないようにした。
 リオッター公爵は学者であり商売人ではない。
 だから、うちのような貿易の交渉を主にしているような公爵家と付き合うメリットなんて何があるだろう?
 チラッと金銭面、とも思ったが金に困っているような様子もない。
 そもそも学者とはいえ、リオッター公爵は薬草の調合でも有名なため、そっちで収入もあるはずだ。

「えぇ、素晴らしいバラであの香りは忘れられません」

 サフィナが父さんに頷いているのを見てハッとする。

「香りが神経の興奮を抑えるというレポートもご自身の経験からですか?」

 リオッター公爵がゆったり口を開くと、みんなの視線がこっちに向いた。
 そんなレポート、もう何年も前に授業で提出したかなり簡単なものだ。

「薬草の、あれもよかったですねぇ」

 ふわりと笑われて何となく察する。
 学生時代に書いたレポート、それが公爵の目に留まって……の縁談だったらしい。

「騎士や近衛兵は鍛錬には積極的ですが、中々治療にまで目を向けていない方が多いので少しでも目にする機会があれば……と調べたものです」

 満足そうに頷く姿にホッとする。
 サフィナのように剣を使うことはなさそうだが、学者らしい自分の専門にとことんのめり込むタイプのようだ。
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