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許さないと言われても

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 城に着くと、すぐにロットルが走ってくる。

「お待ちしておりましたっ!!」

 必死なその様子から何となく察するが俺からは口にしない。

「リューラ様がお待ちですっ!!」

 急かされても俺は急ぐつもりもなく、むしろ父さんに言われたことを頭の中で反芻していた。
 リューラはもう陛下で気軽に会う存在ではないし、俺も縁談話がある以上、下手なことをすれば相手のリオッター家にまで迷惑を掛けることもある。
 
「陛下は何の用で?」

 聞くと、ロットルはピタッと足を止めた。

「……その呼び方は悲しまれます」

 リューラが変えて欲しくないと、ロットルにもこれまでと同じように呼ぶように頼んでいるのは知っている。
 だから、俺もずっと呼び捨てのままでいたんだから。
 少し眉を寄せるロットルに俺はしっかり向き合った。

「ロットル、俺ももうガキじゃないんだよ」
「サライド様……」

 悲しげな声で言われても俺がどうにかできるものでもない。

「聞いてるだろ?俺も縁談……」
「それは受けるってこと?」

 低いリューラの声が聞こえていたが、振り返らず俺はただロットルを見たままにする。

「私もレイモンド家の長子として……」

 目を閉じて慎重に口を開くと、

「っ……サラっ!!」

 グッと俺の上腕を引いてそのままリューラの方に体の向きを変えられた。

「陛下……」
「やめろっ!」

 両方の上腕を掴む手に力が入って少し痛い。
 それでも俺は何でもない風にリューラを見上げた。
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