47 / 175
バカなのか?
9
しおりを挟む
「いい加減離れろ」
もう怒鳴るのも引き剥がすのも面倒になってとりあえず口を開く。なのに、
「ヤダ」
リューラは俺の腰に腕を絡み付けたままギュッと俺の肩に額を付けていた。
邪魔だが仕方ない、ともう半ば諦める。
食事の後、俺はロザーナを港で見送って、それを報告に戻って来てからずっとこうだから。
ロットルに執務室とかではなくリューラの自室に案内された時に気づくべきだった。
「ったく……何拗ねてやがる?」
そのままで聞くと、やっとリューラは少しだけ頭を動かす。
「あんな笑顔、見せたらヤダ」
まだくっついているせいでくぐもった声だし、めちゃくちゃだし……イラッとした。
「あ?ロザーナは公賓だろーが!キレて友好関係崩れたらどうする気だ!」
やっぱり我慢なんてできずに怒鳴ってしまう。
「ウインクされたり、微笑み合ったり!そんなん必要ないだろう!?」
それでもリューラはまだわけのわからないことを言ってきた。
「はぁ~!?そんなんしてねぇわ!」
呆れて取り合うのも面倒くさい。なのに、
「した!サラが微笑んで会釈なんてするからパチンってウインクされてた!!」
リューラはクルンと俺の体を向かい合うように半転させてプクッと頬を膨らませた。
一国の王が何を言っているんだ?
そんな子供みたいに拗ねて?
昼間の余裕さは微塵もなくなるのか?
「……バカなのか?」
思わず低い声が出て、リューラはわかりやすいくらいにショックを受けていた。
もう怒鳴るのも引き剥がすのも面倒になってとりあえず口を開く。なのに、
「ヤダ」
リューラは俺の腰に腕を絡み付けたままギュッと俺の肩に額を付けていた。
邪魔だが仕方ない、ともう半ば諦める。
食事の後、俺はロザーナを港で見送って、それを報告に戻って来てからずっとこうだから。
ロットルに執務室とかではなくリューラの自室に案内された時に気づくべきだった。
「ったく……何拗ねてやがる?」
そのままで聞くと、やっとリューラは少しだけ頭を動かす。
「あんな笑顔、見せたらヤダ」
まだくっついているせいでくぐもった声だし、めちゃくちゃだし……イラッとした。
「あ?ロザーナは公賓だろーが!キレて友好関係崩れたらどうする気だ!」
やっぱり我慢なんてできずに怒鳴ってしまう。
「ウインクされたり、微笑み合ったり!そんなん必要ないだろう!?」
それでもリューラはまだわけのわからないことを言ってきた。
「はぁ~!?そんなんしてねぇわ!」
呆れて取り合うのも面倒くさい。なのに、
「した!サラが微笑んで会釈なんてするからパチンってウインクされてた!!」
リューラはクルンと俺の体を向かい合うように半転させてプクッと頬を膨らませた。
一国の王が何を言っているんだ?
そんな子供みたいに拗ねて?
昼間の余裕さは微塵もなくなるのか?
「……バカなのか?」
思わず低い声が出て、リューラはわかりやすいくらいにショックを受けていた。
32
お気に入りに追加
121
あなたにおすすめの小説

ざまぁされたチョロ可愛い王子様は、俺が貰ってあげますね
ヒラヲ
BL
「オーレリア・キャクストン侯爵令嬢! この時をもって、そなたとの婚約を破棄する!」
オーレリアに嫌がらせを受けたというエイミーの言葉を真に受けた僕は、王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付ける。
しかし、突如現れた隣国の第一王子がオーレリアに婚約を申し込み、嫌がらせはエイミーの自作自演であることが発覚する。
その結果、僕は冤罪による断罪劇の責任を取らされることになってしまった。
「どうして僕がこんな目に遭わなければならないんだ!?」
卒業パーティーから一ヶ月後、王位継承権を剥奪された僕は王都を追放され、オールディス辺境伯領へと送られる。
見習い騎士として一からやり直すことになった僕に、指導係の辺境伯子息アイザックがやたら絡んでくるようになって……?
追放先の辺境伯子息×ざまぁされたナルシスト王子様
悪役令嬢を断罪しようとしてざまぁされた王子の、その後を書いたBL作品です。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた異国の貴族の子供であるレイナードは、人質としてアドラー家に送り込まれる。彼の目的は、内情を探ること。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイどころか悪役令息続けられないよ!そんなファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
真面目で熱血漢。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。
受→レイナード
斜陽の家から和平の関係でアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
推しのために、モブの俺は悪役令息に成り代わることに決めました!
華抹茶
BL
ある日突然、超強火のオタクだった前世の記憶が蘇った伯爵令息のエルバート。しかも今の自分は大好きだったBLゲームのモブだと気が付いた彼は、このままだと最推しの悪役令息が不幸な未来を迎えることも思い出す。そこで最推しに代わって自分が悪役令息になるためエルバートは猛勉強してゲームの舞台となる学園に入学し、悪役令息として振舞い始める。その結果、主人公やメインキャラクター達には目の敵にされ嫌われ生活を送る彼だけど、何故か最推しだけはエルバートに接近してきて――クールビューティ公爵令息と猪突猛進モブのハイテンションコミカルBLファンタジー!

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
幼い精霊を預けられたので、俺と主様が育ての父母になった件
雪玉 円記
BL
ハイマー辺境領主のグルシエス家に仕える、ディラン・サヘンドラ。
主である辺境伯グルシエス家三男、クリストファーと共に王立学園を卒業し、ハイマー領へと戻る。
その数日後、魔獣討伐のために騎士団と共に出撃したところ、幼い見た目の言葉を話せない子供を拾う。
リアンと名付けたその子供は、クリストファーの思惑でディランと彼を父母と認識してしまった。
個性豊かなグルシエス家、仕える面々、不思議な生き物たちに囲まれ、リアンはのびのびと暮らす。
ある日、世界的宗教であるマナ・ユリエ教の教団騎士であるエイギルがリアンを訪ねてきた。
リアンは次代の世界樹の精霊である。そのため、次のシンボルとして教団に居を移してほしい、と告げるエイギル。
だがリアンはそれを拒否する。リアンが嫌なら、と二人も支持する。
その判断が教皇アーシスの怒髪天をついてしまった。
数週間後、教団騎士団がハイマー辺境領邸を襲撃した。
ディランはリアンとクリストファーを守るため、リアンを迎えにきたエイギルと対峙する。
だが実力の差は大きく、ディランは斬り伏せられ、死の淵を彷徨う。
次に目が覚めた時、ディランはユグドラシルの元にいた。
ユグドラシルが用意したアフタヌーンティーを前に、意識が途絶えたあとのこと、自分とクリストファーの状態、リアンの決断、そして、何故自分とクリストファーがリアンの養親に選ばれたのかを聞かされる。
ユグドラシルに送り出され、意識が戻ったのは襲撃から数日後だった。
後日、リアンが拾ってきた不思議な生き物たちが実は四大元素の精霊たちであると知らされる。
彼らとグルシエス家中の協力を得て、ディランとクリストファーは鍛錬に励む。
一ヶ月後、ディランとクリスは四大精霊を伴い、教団本部がある隣国にいた。
ユグドラシルとリアンの意思を叶えるために。
そして、自分達を圧倒的戦闘力でねじ伏せたエイギルへのリベンジを果たすために──……。
※一部に流血を含む戦闘シーン、R-15程度のイチャイチャが含まれます。
※現在、改稿したものを順次投稿中です。
詳しくは最新の近況ボードをご覧ください。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる