47 / 174
バカなのか?
9
しおりを挟む
「いい加減離れろ」
もう怒鳴るのも引き剥がすのも面倒になってとりあえず口を開く。なのに、
「ヤダ」
リューラは俺の腰に腕を絡み付けたままギュッと俺の肩に額を付けていた。
邪魔だが仕方ない、ともう半ば諦める。
食事の後、俺はロザーナを港で見送って、それを報告に戻って来てからずっとこうだから。
ロットルに執務室とかではなくリューラの自室に案内された時に気づくべきだった。
「ったく……何拗ねてやがる?」
そのままで聞くと、やっとリューラは少しだけ頭を動かす。
「あんな笑顔、見せたらヤダ」
まだくっついているせいでくぐもった声だし、めちゃくちゃだし……イラッとした。
「あ?ロザーナは公賓だろーが!キレて友好関係崩れたらどうする気だ!」
やっぱり我慢なんてできずに怒鳴ってしまう。
「ウインクされたり、微笑み合ったり!そんなん必要ないだろう!?」
それでもリューラはまだわけのわからないことを言ってきた。
「はぁ~!?そんなんしてねぇわ!」
呆れて取り合うのも面倒くさい。なのに、
「した!サラが微笑んで会釈なんてするからパチンってウインクされてた!!」
リューラはクルンと俺の体を向かい合うように半転させてプクッと頬を膨らませた。
一国の王が何を言っているんだ?
そんな子供みたいに拗ねて?
昼間の余裕さは微塵もなくなるのか?
「……バカなのか?」
思わず低い声が出て、リューラはわかりやすいくらいにショックを受けていた。
もう怒鳴るのも引き剥がすのも面倒になってとりあえず口を開く。なのに、
「ヤダ」
リューラは俺の腰に腕を絡み付けたままギュッと俺の肩に額を付けていた。
邪魔だが仕方ない、ともう半ば諦める。
食事の後、俺はロザーナを港で見送って、それを報告に戻って来てからずっとこうだから。
ロットルに執務室とかではなくリューラの自室に案内された時に気づくべきだった。
「ったく……何拗ねてやがる?」
そのままで聞くと、やっとリューラは少しだけ頭を動かす。
「あんな笑顔、見せたらヤダ」
まだくっついているせいでくぐもった声だし、めちゃくちゃだし……イラッとした。
「あ?ロザーナは公賓だろーが!キレて友好関係崩れたらどうする気だ!」
やっぱり我慢なんてできずに怒鳴ってしまう。
「ウインクされたり、微笑み合ったり!そんなん必要ないだろう!?」
それでもリューラはまだわけのわからないことを言ってきた。
「はぁ~!?そんなんしてねぇわ!」
呆れて取り合うのも面倒くさい。なのに、
「した!サラが微笑んで会釈なんてするからパチンってウインクされてた!!」
リューラはクルンと俺の体を向かい合うように半転させてプクッと頬を膨らませた。
一国の王が何を言っているんだ?
そんな子供みたいに拗ねて?
昼間の余裕さは微塵もなくなるのか?
「……バカなのか?」
思わず低い声が出て、リューラはわかりやすいくらいにショックを受けていた。
32
お気に入りに追加
121
あなたにおすすめの小説
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼毎週、月・水・金に投稿予定
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
嵌められた悪役令息の行く末は、
珈琲きの子
BL
【書籍化します◆アンダルシュノベルズ様より刊行】
公爵令息エミール・ダイヤモンドは婚約相手の第二王子から婚約破棄を言い渡される。同時に学内で起きた一連の事件の責任を取らされ、牢獄へと収容された。
一ヶ月も経たずに相手を挿げ替えて行われた第二王子の結婚式。他国からの参列者は首をかしげる。その中でも帝国の皇太子シグヴァルトはエミールの姿が見えないことに不信感を抱いた。そして皇太子は祝いの席でこう問うた。
「殿下の横においでになるのはどなたですか?」と。
帝国皇太子のシグヴァルトと、悪役令息に仕立て上げられたエミールのこれからについて。
【タンザナイト王国編】完結
【アレクサンドライト帝国編】完結
【精霊使い編】連載中
※web連載時と書籍では多少設定が変わっている点があります。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

振られた腹いせに別の男と付き合ったらそいつに本気になってしまった話
雨宮里玖
BL
「好きな人が出来たから別れたい」と恋人の翔に突然言われてしまった諒平。
諒平は別れたくないと引き止めようとするが翔は諒平に最初で最後のキスをした後、去ってしまった。
実は翔には諒平に隠している事実があり——。
諒平(20)攻め。大学生。
翔(20) 受け。大学生。
慶介(21)翔と同じサークルの友人。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
炊き出しをしていただけなのに、大公閣下に溺愛されています
ぽんちゃん
BL
男爵家出身のレーヴェは、婚約者と共に魔物討伐に駆り出されていた。
婚約者のディルクは小隊長となり、同年代の者たちを統率。
元子爵令嬢で幼馴染のエリンは、『医療班の女神』と呼ばれるようになる。
だが、一方のレーヴェは、荒くれ者の集まる炊事班で、いつまでも下っ端の炊事兵のままだった。
先輩たちにしごかれる毎日だが、それでも魔物と戦う騎士たちのために、懸命に鍋を振っていた。
だがその間に、ディルクとエリンは深い関係になっていた――。
ディルクとエリンだけでなく、友人だと思っていたディルクの隊の者たちの裏切りに傷ついたレーヴェは、炊事兵の仕事を放棄し、逃げ出していた。
(……僕ひとりいなくなったところで、誰も困らないよね)
家族に迷惑をかけないためにも、国を出ようとしたレーヴェ。
だが、魔物の被害に遭い、家と仕事を失った人々を放ってはおけず、レーヴェは炊き出しをすることにした。
そこへ、レーヴェを追いかけてきた者がいた。
『な、なんでわざわざ総大将がっ!?』
同性婚が可能な世界です。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる