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バカなのか?
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お茶を運んできたリックからワゴンごと受け取ってリューラが運んでくる。
「飲む?」
ポットを持ち上げるのを見て、
「王様自らが淹れんのかよ?」
笑ってしまうと、リューラは丁寧にお茶を淹れてソーサーに乗せたカップを運んできた。
「どうぞ?サラには俺は何でもするよ?」
「お前なぁ」
差し出されて俺はカップだけを受け取る。
「一国の王だって好きな人の前ではただの男だからね?」
微笑まれて俺はリューラから紅茶に視線を移した。
本当にこいつは毎回毎回恥ずかしげもなく……。
顔が熱い気がするのは気のせいだと思いたい。
紅茶の香りを楽しんで今日飲んだ山葡萄のジュースやジャム、そして、あのパンの芳ばしい匂いを思い出した。
あの村は都からも離れていてまだ手つかずの土地も多い辺鄙な場所にある。
だが、あの果物を加工する技術とパンがあればもっと人が呼べて栄えていくはずだ。
ただ、あの村の連中はそれをうまく広げる術を持たない。
それはどうしたら……。
「サラ?俺の話聞いてる?」
顔を覗き込まれて、俺は一気に残りの紅茶を流し込んでカップを押し付ける。
「聞いてねぇよ」
「ヒドくない?」
手で払うようにしてやると、リューラは眉を下げながら俺の手を掴んできた。
「お前のそんなくだらない戯言は聞く気もない」
それを振り解いてはっきり言ってやっても、
「えー!!」
リューラは駄々っ子のように頬を膨らませる。だが、
「お前はどこぞの姫と……」
言いかけた俺は凄い力でベッドに押し倒された。
「飲む?」
ポットを持ち上げるのを見て、
「王様自らが淹れんのかよ?」
笑ってしまうと、リューラは丁寧にお茶を淹れてソーサーに乗せたカップを運んできた。
「どうぞ?サラには俺は何でもするよ?」
「お前なぁ」
差し出されて俺はカップだけを受け取る。
「一国の王だって好きな人の前ではただの男だからね?」
微笑まれて俺はリューラから紅茶に視線を移した。
本当にこいつは毎回毎回恥ずかしげもなく……。
顔が熱い気がするのは気のせいだと思いたい。
紅茶の香りを楽しんで今日飲んだ山葡萄のジュースやジャム、そして、あのパンの芳ばしい匂いを思い出した。
あの村は都からも離れていてまだ手つかずの土地も多い辺鄙な場所にある。
だが、あの果物を加工する技術とパンがあればもっと人が呼べて栄えていくはずだ。
ただ、あの村の連中はそれをうまく広げる術を持たない。
それはどうしたら……。
「サラ?俺の話聞いてる?」
顔を覗き込まれて、俺は一気に残りの紅茶を流し込んでカップを押し付ける。
「聞いてねぇよ」
「ヒドくない?」
手で払うようにしてやると、リューラは眉を下げながら俺の手を掴んできた。
「お前のそんなくだらない戯言は聞く気もない」
それを振り解いてはっきり言ってやっても、
「えー!!」
リューラは駄々っ子のように頬を膨らませる。だが、
「お前はどこぞの姫と……」
言いかけた俺は凄い力でベッドに押し倒された。
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