わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

おかしくね？

8

「で、何の用だ？」

　睨むのを止めてやると、マニエルはドアを閉めてパタパタと走ってきた。

「あ、あのね？今日ってもうリューラ様は来ないかな？」

　両手を後ろに組んでコテンと首を横に倒すマニエルの頭を持ってグギッと正してやりたい。
　甘えるようなその目もイラッとした。

「会いたいなら自分で行って来い」
「や！だって国王様じゃん！」

　ため息を吐いて堪らえたのに、まだ甘えるような声を出してきて、

「そう思うなら、んなこと言ってんじゃねぇ！」

　遂に怒鳴ってしまう。
　ビクッと跳ねたマニエルの緑の目には涙が溜まっていて、俺は背を向けるとガシガシと頭を掻いた。
　俺は病弱で亡くなった母と同じ白の髪に紫の瞳。
　マニエルは知的で優秀な父さんに似たのに、いつも弱々しく本を読むか花を愛でているばかり。
　それがいつもイライラする。

「大きな声を出されてどうされました？」

　ノックをしたリックが入ってきて、俺は舌打ちをするとジャケットを脱いでイスに放った。

「間もなく旦那様がご帰宅なさると連絡がありましたので、お出迎えをお願いします」

　すぐに放ったばかりのジャケットを持って準備されて、仕方なく羽織る。

「マニエル様も準備はお済みですか？」

　イラつきつつも準備をする俺を確認してマニエルにも声を掛けると、リックはドアを開いて俺たちを玄関へと促した。