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おかしくね?

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 まだ街は浮かれて騒いでいる昼間、俺は港で無事に積荷が届いたのを確認してホッとする。
 どうやらドラモントが仄めかしていた妨害もなかったらしい。

「サライド様!」

 呼ばれて振り返ると、船長と共に歩いてきたのは港には不釣り合いの正装の男。
 俺もスッと姿勢を正すと、俺より十ほど上に見えるその男は柔和な笑みを浮かべた。

『どうも。お会いするのは初めてですね。シャンタス国から参りました。ロザーナと申します』
『初めまして。サライドと申します。お会いできて光栄です。長い船旅、お疲れですよね』

 頭を下げられて俺も頭を下げる。
 俺が表立って交渉してきている理由は語学に長けていて交渉術も身に着けているからだ。
 船長は笑顔で話す俺たちを見て深々と頭を下げるとスッと後ろに下がっていく。
 白手袋を左に持って互いに握手を交わすと、俺たちは並んで歩いた。
 ついてきていたリックが前を歩き、ロザーナに付き従っていた男が俺たちの後ろを歩く。
 
『明るい街ですね』
『えぇ。まぁ、今は戴冠式が終わったばかりでその祝いが続いているから余計にですね』

 港には入ったばかりの若い見習いは俺が笑顔で異国の言葉を話すのを驚くが、先輩の船乗りにたしなめられてパッと頭を下げた。
 ロザーナはシャンタス国の公爵令息で、電話での印象はかなり穏やかな男でもある。
 街の様子も眺めて談笑しつつ、屋敷で昼食を共にした俺たちはそのままこれからの小麦の取引についても話し合った。
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