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戴冠式
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「この笑顔を全部守りたい!」
そう言うリューラの笑顔が一番輝いている気がする。
満面の笑みでずっと声援に応え続けていたのに、全く疲れなどは感じられなかった。
「んな夢みたいなこと」
それを鼻で笑ってやっても、
「うん!でも、もっと笑顔にするから!」
リューラはキラキラの顔で俺の肩を引き寄せる。
「みんなちゃんとお願いを聞いてくれて、今日だけでもたくさん苗が植えられただろ?それが育って花開いたり、実をつけたり……その頃にはもっと幸せな国にしたいんだ」
理想論。
だが、今日多くの苗が植えられたのは事実で、市民たちもリューラの思いに応えていたから、今目の前にこんな光景が広がっているんだろう。
これだけ人が集まっているのにどこにもトラブルは起きていないのも……みんながリューラの戴冠式を祝福していて成功を祈っているから。
「だから、隣でちゃんと見ててね?」
「あ?」
睨んでしまうと、リューラは俺の眉間のシワに触れてふわりと笑う。
「ちゃんと傍に居て同じ景色を見てて?」
その手を払おうとすると、リューラはパシッと掴んでそのままギュッと握った。
近くから驚きの声があがる。
慌てて離そうとしてもリューラは離してくれない。
「みんなを幸せにする!で、俺もみんなから祝福されてサラとずっと一緒に居られる未来を創るから!」
こんな大衆の前。
こんなパレードの終わりに男同士で手なんか繋いで何てことを言っているのか?
凄んでもリューラは微笑んで顔を寄せてくる。
「こうやって堂々と居られる国にするから!見ててよ?」
そう言うリューラの笑顔が一番輝いている気がする。
満面の笑みでずっと声援に応え続けていたのに、全く疲れなどは感じられなかった。
「んな夢みたいなこと」
それを鼻で笑ってやっても、
「うん!でも、もっと笑顔にするから!」
リューラはキラキラの顔で俺の肩を引き寄せる。
「みんなちゃんとお願いを聞いてくれて、今日だけでもたくさん苗が植えられただろ?それが育って花開いたり、実をつけたり……その頃にはもっと幸せな国にしたいんだ」
理想論。
だが、今日多くの苗が植えられたのは事実で、市民たちもリューラの思いに応えていたから、今目の前にこんな光景が広がっているんだろう。
これだけ人が集まっているのにどこにもトラブルは起きていないのも……みんながリューラの戴冠式を祝福していて成功を祈っているから。
「だから、隣でちゃんと見ててね?」
「あ?」
睨んでしまうと、リューラは俺の眉間のシワに触れてふわりと笑う。
「ちゃんと傍に居て同じ景色を見てて?」
その手を払おうとすると、リューラはパシッと掴んでそのままギュッと握った。
近くから驚きの声があがる。
慌てて離そうとしてもリューラは離してくれない。
「みんなを幸せにする!で、俺もみんなから祝福されてサラとずっと一緒に居られる未来を創るから!」
こんな大衆の前。
こんなパレードの終わりに男同士で手なんか繋いで何てことを言っているのか?
凄んでもリューラは微笑んで顔を寄せてくる。
「こうやって堂々と居られる国にするから!見ててよ?」
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