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愛される王とその幼馴染
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「チッ!!」
そんなリューラを目にして俺は盛大な舌打ちをする。
時計の手入れなんて家に職人を呼べばよかった。
明日、城で行われる舞踏会。
そこで身に着けようと二日前に店に預けたのが全ての始まりだ。
店主に二日でなんて無理だとごねられたのを何とか脅して今日までに仕上げさせる約束をした。
それを自ら受け取ってやろう、できていなければ思いっきり罵ってやる……そう思ったのが間違いだった。
そんなことを思わなかったら家からは出なかったのに。
そうすればあんなリューラを見なくても済んだのに。
誰からも褒め称えられ愛されるリューラ。なのに俺は……
「レイモンド公爵の長子、サライド様よ!目を合わせちゃダメ!」
「こないだ靴屋のメイさんも散々怒鳴られたって」
コソッとそんな声が聞こえてきてギリッと歯を鳴らす。
それはあの能無しの靴屋が俺の注文とは違う靴を仕立てたからだ。
「ショーさんもいつも頭を抱えてるものね」
ショー?
考えて、いつも汗を拭きながらヘコヘコと頭を下げる本屋で初老のメガネを思い出す。
俺の欲しい本を探させているだけなのに何がいけない?
「リューラ様とは幼馴染らしいけど……リューラ様もお可哀想に」
「黙れっ!愚民ども!」
怒鳴ると、女たちはヒッと声をあげて走り去った。
俺は何も悪くない。
そもそも昔は泣き虫でいつも俺の後をついてきたリューラが、今ではあんな頼りになる人気者だなんて……おもしろくない。
そんなリューラを目にして俺は盛大な舌打ちをする。
時計の手入れなんて家に職人を呼べばよかった。
明日、城で行われる舞踏会。
そこで身に着けようと二日前に店に預けたのが全ての始まりだ。
店主に二日でなんて無理だとごねられたのを何とか脅して今日までに仕上げさせる約束をした。
それを自ら受け取ってやろう、できていなければ思いっきり罵ってやる……そう思ったのが間違いだった。
そんなことを思わなかったら家からは出なかったのに。
そうすればあんなリューラを見なくても済んだのに。
誰からも褒め称えられ愛されるリューラ。なのに俺は……
「レイモンド公爵の長子、サライド様よ!目を合わせちゃダメ!」
「こないだ靴屋のメイさんも散々怒鳴られたって」
コソッとそんな声が聞こえてきてギリッと歯を鳴らす。
それはあの能無しの靴屋が俺の注文とは違う靴を仕立てたからだ。
「ショーさんもいつも頭を抱えてるものね」
ショー?
考えて、いつも汗を拭きながらヘコヘコと頭を下げる本屋で初老のメガネを思い出す。
俺の欲しい本を探させているだけなのに何がいけない?
「リューラ様とは幼馴染らしいけど……リューラ様もお可哀想に」
「黙れっ!愚民ども!」
怒鳴ると、女たちはヒッと声をあげて走り去った。
俺は何も悪くない。
そもそも昔は泣き虫でいつも俺の後をついてきたリューラが、今ではあんな頼りになる人気者だなんて……おもしろくない。
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