俺を見てよ

水ノ瀬 あおい

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さおさんのトラウマ

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「何?何かあるの?」

 頭を持ち上げて竜太くんの方に体ごと向けると、竜太くんは観念したように息を吐き出した。

「まぁ……いっか。……藤橋な、中3の受験の時、体調悪くて第1はまともに試験受けられなくて、第2でうちの高校来てんだよ」

 言いにくそうに話し出したのはそういうことか。さおさんが受験って口にした理由としてもまぁ、納得はいく。
 1度つまずいている受験。それなら慎重になるのもわかるから。
 あれだけ頭のいいさおさんがあの高校に居る理由としても納得だ。竜太くんと春馬くんのバスケと距離って理由だけで選んだ2人を見ていたから特に思っていなかったけど……。

「……俺が今、告ったら邪魔ってことだよね?」
「どうだろうな。受験にトラウマがあるのは確かだけど」

 何かもうどうしたらいいのかわからない。
 そもそも大切って……弟でも大切な存在とは言える訳だし。
 マイナス思考が止まらない。負けてネガティブになってんのかなぁ。

「1つ言えるのは……お前が受験つまずいたら藤橋は絶対に気にするってことだな。うちの高校志望してんなら余裕だろうけど、絶対はねぇからな?」

 竜太くんの言葉を聞いて、俺はイスの背もたれに体重を預けてそっと目を閉じた。
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