俺を見てよ

水ノ瀬 あおい

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年下は年下

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「は?何でそうなんの?」

 腹痛ーぇって言いながら、本当にお腹を抱えてまだ笑っている竜太くん。

「笑い過ぎじゃないの?」

 目を細めてイスを引き出すと、竜太くんはベッドにあったミニボールを取って投げてきた。
 ポコンとボールが当たって俺は頭を押さえて竜太くんを睨む。

「お前、アホなの?」
「は?」
「嫌いな奴のためにわざわざ試合見に行くか?」

    マジな顔の竜太くんを見て俺は口をつぐんだ。

「告って拒否られた訳じゃねぇんだろ?」

    立ち上がって竜太くんに髪をぐしゃぐしゃにされる。優しいその顔を見たら泣きそうになった。

「……告りたかったのにサラッとかわされた」

    俯いて絞り出すように言うと、竜太くんはイスの脇でしゃがんでこっちを見る。

「弟って?」
「やっぱりさおさんにはそう思われてんのかな!?」

    ため息を吐くと、竜太くんは俺を見上げてニッと笑った。

「まぁ、妹と同い年ってのは気になるんじゃねぇの?」

    ちょっと考えるような竜太くんを見て、俺は机に突っ伏す。
    いや、俺も気にしたよ?
    年下はどう頑張っても年下。来年、俺が高校生になったって、さおさんは大学生になる訳で……差なんて縮まることはないから。
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