俺を見てよ

水ノ瀬 あおい

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キッツ……

勝とうな!

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「ん?勇がバスケ部入った理由よ。私の1つ下の悠に一目惚れしたから」

 勇は諦めずわーわー言っていたが俺は自転車ないし、岬さんのすぐ側で聞いていたからよく聞こえる。

「マジで!?」

 笑いながら勇を見ると、勇はハンドルに肘を置いて頭を抱えた。

「それって……春の大会、岬さんたちが準決で当たってた相手?」
「あーそうそう!バスケ使って仲良くなったのよ」
「へぇ……」

 笑ってやると、勇は下を向いたまま動かない。
 でも、耳は真っ赤だからダメージは受けているのだろう。

「最近ボールハンドリングとか筋トレもやっちゃって、悠にいいとこ見せたいんじゃない?」
「え?」

 耳を疑うような言葉を聞いた。
 ボールハンドリング?筋トレ?
 勇が!?

「……黙れ!余計なこと言うなよ!クソがっ!!」

 バッと顔を上げてめちゃくちゃ悪態をつく勇の顔が真っ赤だ。

「お前……影で努力とかすんなよ」
「うっせぇわ!」

 ヤバい。
 あの無気力くそ野郎だと思ってた勇が実は努力してるとか……俺も頑張りたいじゃんか!!

「最後の大会は勝とうな!」

 嬉しくなって言うと、勇はそっぽを向いて返事をしなかった。
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