俺を見てよ

泣かせんな!!

志望校

　土曜日。
　勇は来なかった。まさかの

「俺、彼女と勉強するし」

……で、脱力系でいつも何考えてるかわからんくせに彼女居るとか……ちょっと不公平を感じる。
　本当……一昨日のは何だったんだ？

　竜太くんがまた気を遣って俺も呼んでくれて……俺は兄貴の部屋で一緒にテーブルを囲っていた。
　少し顔を上げると真剣な顔のさおさんが見える。

「春馬、これ違う？」

　数学の勉強をする姿をよく見るし、ため息を吐いて春馬くんに聞くのも数学。
　数学が得意な俺としては、やっぱり俺が同学年ならって思ってしまう。

「もとくんは？高校決めてるの？」

　英単語を眺めていた岬さんが聞いてきて、俺は視線を左から右に変えた。

「みんなと同じとこ」
「え？お前ならもっといいとこ行けるだろ？何で？」

　兄貴の机で兄貴に付きっきりだった竜太くんがクルッとイスを回してこっちを見る。

「それは竜太くんと春馬くんもだろ？近いし、程々の勉強でとにかくバスケしたい」

　まぁ、俺はさおさんが通った高校に……俺が入学する頃には卒業だけど……それでも行きたいって不純すぎる理由もあったんだけど。