36 / 145
会いたいっ!!
好きだから
しおりを挟む
ベンチに並んで座ると一気に緊張して体が強張る。
ドックンドックンと心臓の音がうるさ過ぎるし、久々のさおさんで頭が破裂しそうだ。
「久しぶりだね」
笑われても頷くことしかできない。
くそっ……何やってんだよ、俺。
「元気だった?」
「……会いたかった」
首を傾げたさおさんを見たらすぐに本音を零してしまった。
さおさんの眉が寄る。
「……俺、嫌われた?」
そんなこと聞きたくないのに、口は止まらない。
「ちが……」
「じゃあ、何で家に来なかったの?俺のこと避けてたんじゃないの?」
さおさんを困らせている。
俺だってまだまだガキじゃねぇか。
何か急に泣きたくなった。
「……ごめん。こんなこと言うつもりじゃなかったのに……」
頭を振って情けない自分を振り落とす。
フーッと息を吐くと用意していた紙袋を出した。
「今日はバレンタインだから、これを渡したかっただけなんだ」
言いながら1つはそのまま渡して、もう1つからは小さなミニブーケを取り出す。
その小さなバラのブーケを差し出すと、ためらいながらさおさんは受け取ってくれた。
「私がもらっていいの?」
じっとブーケを見つめてからさおさんはゆっくり顔を上げる。
「日本くらいじゃん。男がチョコもらうってやってんの。俺はちゃんと自分の気持ちを伝えたいもん。さおさんが好きだから」
ドックンドックンと心臓の音がうるさ過ぎるし、久々のさおさんで頭が破裂しそうだ。
「久しぶりだね」
笑われても頷くことしかできない。
くそっ……何やってんだよ、俺。
「元気だった?」
「……会いたかった」
首を傾げたさおさんを見たらすぐに本音を零してしまった。
さおさんの眉が寄る。
「……俺、嫌われた?」
そんなこと聞きたくないのに、口は止まらない。
「ちが……」
「じゃあ、何で家に来なかったの?俺のこと避けてたんじゃないの?」
さおさんを困らせている。
俺だってまだまだガキじゃねぇか。
何か急に泣きたくなった。
「……ごめん。こんなこと言うつもりじゃなかったのに……」
頭を振って情けない自分を振り落とす。
フーッと息を吐くと用意していた紙袋を出した。
「今日はバレンタインだから、これを渡したかっただけなんだ」
言いながら1つはそのまま渡して、もう1つからは小さなミニブーケを取り出す。
その小さなバラのブーケを差し出すと、ためらいながらさおさんは受け取ってくれた。
「私がもらっていいの?」
じっとブーケを見つめてからさおさんはゆっくり顔を上げる。
「日本くらいじゃん。男がチョコもらうってやってんの。俺はちゃんと自分の気持ちを伝えたいもん。さおさんが好きだから」
10
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
カワイイ子猫のつくり方
龍野ゆうき
青春
子猫を助けようとして樹から落下。それだけでも災難なのに、あれ?気が付いたら私…猫になってる!?そんな自分(猫)に手を差し伸べてくれたのは天敵のアイツだった。
無愛想毒舌眼鏡男と獣化主人公の間に生まれる恋?ちょっぴりファンタジーなラブコメ。
神代永遠とその周辺
7番目のイギー
青春
普通のJKとは色々とちょっとだけ違う、神代永遠(かみしろとわ)、17歳。それは趣味だったり洋服のセンスだったり、好みの男子だったり。だけどそれを気にすることもなく、なんとなく日常を面白おかしく過ごしている。友達や趣味の品、そして家族。大事なものを当たり前に大事にする彼女は、今日もマイペースにやりたいことを気負うことなく続けます。
【完結】僕らは星と海から泳ぎ出す
古都まとい
青春
高校2年生の森岡瑞希は、精神疾患を抱える母親とふたりで暮らしていること以外、いたって普通の男子高校生だ。
ある日、瑞希は母親の付き添いで行った精神科で同じクラスの問題児、榊ゆらと遭遇する。学校行事はことごとく欠席、授業中は惰眠を貪る最悪な授業態度のくせに、なぜかいつも定期考査で学年1位になる彼女。精神科での遭遇をきっかけに、瑞希はゆらに興味を持つようになり――。
「わたしね、18歳までに死ななきゃいけないんだ」
ゆらと接するうちに見えてきた、彼女の過去と秘密。
瑞希の思いとは裏腹に、18歳の春は来る。
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
恋なんて必要ないけれど
水ノ瀬 あおい
青春
恋よりバスケ。
「彼女が欲しい」と耳にする度に呆れてしまって、カップルを見ても憐れに思ってしまうセイ(小嶋誠也)。
恋に全く関心がなくて、むしろ過去の苦い経験からできれば女とは関わりたくもない。
女に無駄な時間を使うならスコアを見直してバスケのことを考えたいセイのバスケと……恋愛?
俺と(従姉)姉ちゃんの良くある『今日から俺は?』の話だ。
かず斉入道
青春
この物語の時代背景は昭和……。
主人公の新作は春の入学式も終わり、高校生活にも少しなれた頃の、春の終わり。
二階の自身の部屋で、進学に向けて自習勉強中の頭の余り賢くない主人公山本新作の耳へと両親のヒソヒソ声が聞こえてくるのだが。
その内容と言うのが?
父親の経営する会社の業務拡大に伴って、他県へと会社を移転するから、皆で引っ越そうと言う話しで。
新作を他県の高校へと転校させようと言った話しなのだが。
その話しを聞いた当の本人である新作は顔色を変えてしまう。だって彼は、自身の担任のピチピチした女性教師の久美ちゃん先生に憧れと恋心、想いを寄せているからだ。
だって主人公は大学卒業後に、先生を自身の嫁にしたいと心から思い、願っているから進学に向けて猛勉強。
先生からも個人レッスンを受けているから。
彼は安易に転校をしたくはない。
でも新作が通う高校は県内一の不良学校、悪の巣窟だから。
新作の父親は、この機会に真面目な新作を転校させたいからと妻に相談する。
でも新作の母親は、父親の想いとは裏腹の意見を述べてくるのだ。
新作が通う高校には近所の幼馴染がいる。
その彼が悪の巣窟。県内ワーストワンの学園で、上級生達も恐れるような、広島市内でも凶悪、関わりたくない№1のサイコパスな人間なのだが。
そんな幼馴染と新作は大変に仲が良いのと。
素行が真面目な新作のことを担任の久美ちゃん先生が目をかけてくれて。大学進学をサポートしてくれている。
だから母親が新作の転向を反対し、彼を父親の兄の家に居候をさせてもらえるように嘆願をしてくれと告げる。
でも新作の父親の兄の家には一人娘の美奈子がいるから不味いと告げるのだが。美奈子は、幼い時に新作の嫁にくれると言っていたから。
二人の間に何かしらの問題が生じても、もう既に姪は家の嫁だから問題はないと。主人公が今迄知らなかった事を母親は父親へと告げ、押し切り。
新作は伯父の照明の家から学校へと通うことになるのだが。
でも主人公が幼い頃に憧れていた従姉の姉ちゃんは、実は伯父さんが夫婦が手に余るほどのヤンキーへと変貌しており、家でいつも大暴れの上に。室内でタ〇コ、シ〇ナーは吸うは、家に平然と彼氏を連れ込んで友人達と乱交パーティーするような素行の悪い少女……。
だから主人公の新作は従姉の姉ちゃん絡みの事件に色々と巻き込まれていく中で、自分もヤンキーなる事を決意する。
主人公が子供から少年……。そして大人へと移り変わっていく物語で御座います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる