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愛しい子 柊side
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※ひとつ前の話の柊sideになります。
天使が舞い降りてきた。始めみた時、僕はそう思った。
染めたこともなさそうな黒いさらさらの髪が、白い肌にとてもよく映えている。誰かに殴られたのだろうか、転けた時にできたとは思えない頬の赤い腫れがとても痛々しい。
とりあえず家に入れてあげようとして抱き上げたとき、その軽さに驚いた。
(羽みたいだな、、)
近くで見ると目の下には深い隈が刻まれており、細い細い首元には手でひっかかれたような跡がある。そのほかにも手首に掴まれたような赤い跡があったりと体中ボロボロだ。しかもやせ細っている。
すぐにSub特有の欠乏症だと分かった。そっとベッドに寝かせ、部屋に暖房をつける。
今に消えてしまいそうな小さなその子の頭をさらりと撫でると、身をよじるようにすり、と頭を押し付けてきた。一瞬起きたのかと思ったが、そのあと何事もなかったように一定のリズムを刻んで呼吸をし始めた。
その時、今まで静かに眠っていた自分のDom性が満たされるのを感じる。こんな感覚は初めてだった。この子に僕をもっと見てほしい。どろどろになるまで甘やかして溶かして、ほかの人なんか目に入らないくらい。
折れそうなほど細い手首の傷跡には薬を塗って、テーピングをする。疲れていたのか、はたまた余程寝不足だったのかその子は全く起きそうな気配がない。
「早く起きておいで、my baby.」
体が温まってきたことを確かめ、もう一度優しく頭を撫でた。
――――――
目を覚ました君は、寝ている時よりもずっと愛らしい。気づかれない程度にglareを出してやると、君、――蓮人君は、目を細めて心底心地よさそうな顔をした。
嗚呼、この子を今すぐにでも手中に収めてしまいたい。暴走しそうになる己のDom性をぐっと抑え込み、やさしく頬を撫でる。
「蓮都君、なら僕とplayをしてくれないかな?」
気づけば口をついて出ていた。さすがに初対面の人からこんなことを言われていい返事はもらえないだろう。当然蓮都君はびっくりしたような表情をしている。後押しするように、
「きっと相性がいいよ、僕たち。」
そう言った。そしたら蓮人君はすぐに頷いてくれた。Yesの返事をいただけたことは僕としてはうれしい限りなのだが、こうも押しに弱いとこれからのことがちょっと心配になる。もちろん蓮人君が傷つくことなんてするつもりはないけど。緊張する彼の手を取り、無意識に口角が上がっていた。
天使が舞い降りてきた。始めみた時、僕はそう思った。
染めたこともなさそうな黒いさらさらの髪が、白い肌にとてもよく映えている。誰かに殴られたのだろうか、転けた時にできたとは思えない頬の赤い腫れがとても痛々しい。
とりあえず家に入れてあげようとして抱き上げたとき、その軽さに驚いた。
(羽みたいだな、、)
近くで見ると目の下には深い隈が刻まれており、細い細い首元には手でひっかかれたような跡がある。そのほかにも手首に掴まれたような赤い跡があったりと体中ボロボロだ。しかもやせ細っている。
すぐにSub特有の欠乏症だと分かった。そっとベッドに寝かせ、部屋に暖房をつける。
今に消えてしまいそうな小さなその子の頭をさらりと撫でると、身をよじるようにすり、と頭を押し付けてきた。一瞬起きたのかと思ったが、そのあと何事もなかったように一定のリズムを刻んで呼吸をし始めた。
その時、今まで静かに眠っていた自分のDom性が満たされるのを感じる。こんな感覚は初めてだった。この子に僕をもっと見てほしい。どろどろになるまで甘やかして溶かして、ほかの人なんか目に入らないくらい。
折れそうなほど細い手首の傷跡には薬を塗って、テーピングをする。疲れていたのか、はたまた余程寝不足だったのかその子は全く起きそうな気配がない。
「早く起きておいで、my baby.」
体が温まってきたことを確かめ、もう一度優しく頭を撫でた。
――――――
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嗚呼、この子を今すぐにでも手中に収めてしまいたい。暴走しそうになる己のDom性をぐっと抑え込み、やさしく頬を撫でる。
「蓮都君、なら僕とplayをしてくれないかな?」
気づけば口をついて出ていた。さすがに初対面の人からこんなことを言われていい返事はもらえないだろう。当然蓮都君はびっくりしたような表情をしている。後押しするように、
「きっと相性がいいよ、僕たち。」
そう言った。そしたら蓮人君はすぐに頷いてくれた。Yesの返事をいただけたことは僕としてはうれしい限りなのだが、こうも押しに弱いとこれからのことがちょっと心配になる。もちろん蓮人君が傷つくことなんてするつもりはないけど。緊張する彼の手を取り、無意識に口角が上がっていた。
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