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トリップの条件

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ただ今回は彼女をくまなく全身調べようと思っている。
そして、退院後の動向や死んだ日に休みを取り彼女の死を回避させる。それが出来るまでこのトリップは繰り返し行う。
「遥、ええか」

  こちらの世界に来る前に言われた注意事項。

「お前が繰り返し転成して受けた身体のダメージはそのまま反映される」 

「つまりは」

「つまり身体が壊死してしまったり、動かなくなる可能性があるということや」

手を震わせながら口をつぐむ剛。

「何だよ、そんなことか」

「何がそんなことや、俺かて!俺かて遥が好きやっちゅうに」

「知ってるよ」

「じゃあ、何でや!」

「何で好きなこのためとか言って遥がそげなリスク背負わなあかんのや」

「それが好きってことなんだろ」

理屈じゃないと、剛の肩にあった手を握り瞳を見据える。

「せやかて、せやかて」

泣きながら訴えてくる剛はあえて言わないがこの世界のままの記憶を持った彼女と未来で一晩過ごさないといけない。しかも、一週間以内に。そんなこと出来はずないと。言いたかったのかもしれない。

「お前は優しいな」

その言葉を発することなく、ただ涙を流す友に生きていて良かったとひしひしと感じた。

「剛」

「なんや」

「俺は彼女に会えて良かったよ」

「なんでや、他にもいっぱいわんさか女はおるしあのこやなくても、あのこやなくても良かったやろ」

「そうかもしれない」

そう言う彼の言うとおりだと思った。ただ、俺自身は後悔はしていない。

「彼女がさ」

剛に言ったその言葉に目を丸くさせ、驚きと共にさらに涙を流した。


「その未来が欲しいんだ」
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