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転校生
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大阪から転校してきた剛は、クラスに馴染めずぼけっと窓を見たり、ヨダレを垂らしていたりした。呑気なやつだと思いながらも自分もクラスメイトも次の試験に向けて勤しんでいた。
「期末の結果が出た、これを見て苦手なところはすぐ復習するように。順位が上がったもの、下がったもの多くいると思う。これだけで判断して欲しい訳では無いが、これを判断材料にしろ」
気だるい気持ちを抑えて、廊下に張り出された紙を見に行く。
どうせまた1位━━。
1位白波 剛
2位川神 遥
白波ってこないだ来た。
「あーあ、わい頑張ったんやけどな。川神くんやっけ、頭ええんやな」
「は?」
さらっと1位を取っときながら、このジョークは応えた。
「おい、川神が転校生に抜かされたぞ」
「ええっ、まじかよ」
「川神くん、テストの前具合悪そうだったもん、今回だけよ」
「そ、そうよ。川神くんが一番よ」
後ろで煩く人のことを言う人たちの声を受け流しながら
「白波くんだっけ、仲良くしてよ」
こいつにだけは、二度と負けたくない。握手で手を伸ばす。
「えー、俺ガリ勉嫌いやねん」
「ガリ勉じゃねーよ」
そう言うと一瞬考えたふりをして、ほなええかなんて言って俺の手に飴を乗せた。
「あんまかっかすんなや、糖分摂取しとき」
ひらひらと手を振り、その場から去る白波。
「変わったヤツだな」
何だか完全には憎めないやつが転校してきたらしい。
再び貼り紙を見て苛立ちを抑えきれなかったため、口に飴を入れ席に着き勉強を続けた。
「期末の結果が出た、これを見て苦手なところはすぐ復習するように。順位が上がったもの、下がったもの多くいると思う。これだけで判断して欲しい訳では無いが、これを判断材料にしろ」
気だるい気持ちを抑えて、廊下に張り出された紙を見に行く。
どうせまた1位━━。
1位白波 剛
2位川神 遥
白波ってこないだ来た。
「あーあ、わい頑張ったんやけどな。川神くんやっけ、頭ええんやな」
「は?」
さらっと1位を取っときながら、このジョークは応えた。
「おい、川神が転校生に抜かされたぞ」
「ええっ、まじかよ」
「川神くん、テストの前具合悪そうだったもん、今回だけよ」
「そ、そうよ。川神くんが一番よ」
後ろで煩く人のことを言う人たちの声を受け流しながら
「白波くんだっけ、仲良くしてよ」
こいつにだけは、二度と負けたくない。握手で手を伸ばす。
「えー、俺ガリ勉嫌いやねん」
「ガリ勉じゃねーよ」
そう言うと一瞬考えたふりをして、ほなええかなんて言って俺の手に飴を乗せた。
「あんまかっかすんなや、糖分摂取しとき」
ひらひらと手を振り、その場から去る白波。
「変わったヤツだな」
何だか完全には憎めないやつが転校してきたらしい。
再び貼り紙を見て苛立ちを抑えきれなかったため、口に飴を入れ席に着き勉強を続けた。
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