172 / 182
転校生
しおりを挟む
大阪から転校してきた剛は、クラスに馴染めずぼけっと窓を見たり、ヨダレを垂らしていたりした。呑気なやつだと思いながらも自分もクラスメイトも次の試験に向けて勤しんでいた。
「期末の結果が出た、これを見て苦手なところはすぐ復習するように。順位が上がったもの、下がったもの多くいると思う。これだけで判断して欲しい訳では無いが、これを判断材料にしろ」
気だるい気持ちを抑えて、廊下に張り出された紙を見に行く。
どうせまた1位━━。
1位白波 剛
2位川神 遥
白波ってこないだ来た。
「あーあ、わい頑張ったんやけどな。川神くんやっけ、頭ええんやな」
「は?」
さらっと1位を取っときながら、このジョークは応えた。
「おい、川神が転校生に抜かされたぞ」
「ええっ、まじかよ」
「川神くん、テストの前具合悪そうだったもん、今回だけよ」
「そ、そうよ。川神くんが一番よ」
後ろで煩く人のことを言う人たちの声を受け流しながら
「白波くんだっけ、仲良くしてよ」
こいつにだけは、二度と負けたくない。握手で手を伸ばす。
「えー、俺ガリ勉嫌いやねん」
「ガリ勉じゃねーよ」
そう言うと一瞬考えたふりをして、ほなええかなんて言って俺の手に飴を乗せた。
「あんまかっかすんなや、糖分摂取しとき」
ひらひらと手を振り、その場から去る白波。
「変わったヤツだな」
何だか完全には憎めないやつが転校してきたらしい。
再び貼り紙を見て苛立ちを抑えきれなかったため、口に飴を入れ席に着き勉強を続けた。
「期末の結果が出た、これを見て苦手なところはすぐ復習するように。順位が上がったもの、下がったもの多くいると思う。これだけで判断して欲しい訳では無いが、これを判断材料にしろ」
気だるい気持ちを抑えて、廊下に張り出された紙を見に行く。
どうせまた1位━━。
1位白波 剛
2位川神 遥
白波ってこないだ来た。
「あーあ、わい頑張ったんやけどな。川神くんやっけ、頭ええんやな」
「は?」
さらっと1位を取っときながら、このジョークは応えた。
「おい、川神が転校生に抜かされたぞ」
「ええっ、まじかよ」
「川神くん、テストの前具合悪そうだったもん、今回だけよ」
「そ、そうよ。川神くんが一番よ」
後ろで煩く人のことを言う人たちの声を受け流しながら
「白波くんだっけ、仲良くしてよ」
こいつにだけは、二度と負けたくない。握手で手を伸ばす。
「えー、俺ガリ勉嫌いやねん」
「ガリ勉じゃねーよ」
そう言うと一瞬考えたふりをして、ほなええかなんて言って俺の手に飴を乗せた。
「あんまかっかすんなや、糖分摂取しとき」
ひらひらと手を振り、その場から去る白波。
「変わったヤツだな」
何だか完全には憎めないやつが転校してきたらしい。
再び貼り紙を見て苛立ちを抑えきれなかったため、口に飴を入れ席に着き勉強を続けた。
0
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説


夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。

悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。
四季
恋愛
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる