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進んでいる時間
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嗚咽が聞こえる。分かってはいたけど、時間が無い。この一週間をもう何度過ごしたことか。そんなのみみには関係ないかもしれない。そんなことはわかっている。
もし同じ立場ならどうしただろうか、それをいつも考える。
しかしながら、ここに至るまでに余りにも妻の事を知りすぎた。子犬のようにわかりやすい喜怒哀楽。そして、サラサラで柔らかい髪の毛。唇の感触。肌の柔らかさ。声も全てだ。
どうしてもいつものように接することは出来ないのか考えてしまう。たわいない会話をし、食事を取り床に就く。
そんな日常が戻ってきて欲しかった。ただ、それだけだ。
「何?」
「キスしたい」
「もう」
「駄目?」
「そうゆう時だけ甘えるんだから」
「うん」
そう言ってなに食わぬ顔でいつもキスしていたのを思い出した。こんな時に何でこんなことばかり思い出すんだ。そんなことばかりだ。
暖かいぬくもり。そして、心に残るのは彼女の優しい声。
ふと自分の手を見ると、色が変色していた。長くこの世界に留まった影響とでも言いたいのか。ここでもたらす俺の作用は全て自分に帰ってくる。未来に行く過程でそこだけを懸念しないといけなかった。
他にもあるが、それはまたの機会に話すとする。
こんなの見られる訳にはいかない。引き出しに閉まっていた手袋を取ろうと手を伸ばす。
そこには、彼女の手袋も添えてあった。薄ピンク色の手袋。そっと触れて感触を確かめ自分の手袋を片方とり手に付ける。
もし同じ立場ならどうしただろうか、それをいつも考える。
しかしながら、ここに至るまでに余りにも妻の事を知りすぎた。子犬のようにわかりやすい喜怒哀楽。そして、サラサラで柔らかい髪の毛。唇の感触。肌の柔らかさ。声も全てだ。
どうしてもいつものように接することは出来ないのか考えてしまう。たわいない会話をし、食事を取り床に就く。
そんな日常が戻ってきて欲しかった。ただ、それだけだ。
「何?」
「キスしたい」
「もう」
「駄目?」
「そうゆう時だけ甘えるんだから」
「うん」
そう言ってなに食わぬ顔でいつもキスしていたのを思い出した。こんな時に何でこんなことばかり思い出すんだ。そんなことばかりだ。
暖かいぬくもり。そして、心に残るのは彼女の優しい声。
ふと自分の手を見ると、色が変色していた。長くこの世界に留まった影響とでも言いたいのか。ここでもたらす俺の作用は全て自分に帰ってくる。未来に行く過程でそこだけを懸念しないといけなかった。
他にもあるが、それはまたの機会に話すとする。
こんなの見られる訳にはいかない。引き出しに閉まっていた手袋を取ろうと手を伸ばす。
そこには、彼女の手袋も添えてあった。薄ピンク色の手袋。そっと触れて感触を確かめ自分の手袋を片方とり手に付ける。
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