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謎の声
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その後は放心状態で食事を貪り、私が使っていたという歯ブラシは使えなかった。
そのため、新しいものを出してもらい無心で歯を磨いた。なんでこんな事に。ただ楓先輩に会いたいのに。そればかりだった。ポロポロと頬を伝う涙が出ている私は明らかに私であるのに。
夢であれば良いと心から祈った。
口をゆすぎベッドに潜り込む。すすり泣きながら慣れない掛け布団と敷き布団の感触にもっと気持ちが悪くなる。外では小鳥がさえずり暖かい陽の光が入ってきている。揺れるカーテンを布団の間から眺めて頬に感じる心地よい風に涙がまた溢れた。ここから帰れるのだろうか。私は元の世界に戻れるのだろうか。
「おい」
そんな風に浸っていた時だった。間抜けな声がして目を見開く。
「えっ」
何今の。幻聴だろうか。
「おい、聞こえてるんだろ」
思わず息を呑む。
「泣いてないでここを開けろ」
音の先にはクローゼットがある。こんな朝から怪奇現象でも起こっているとでも言うのだろうか。信じれないことばかりに戸惑いながら起き上がりまた毛布にくるまる。
「何しとんねん」
「それは……」
それはこっちのセリフよ。人の家のクローゼットで何をしているというんだろうか。
「はよ、開けてや。一刻を争うねん」
自分から閉じこもっている訳では無いのだろうか。もしかして、私を助けに来ようとしてここに閉じ込められたとか。まさか。
「お前が過去から来たからそれに合わせてこっちもやっとんねん。せやけど、長い時間はでけへんからこうして頼んどんねや」
切羽詰まったように頼む声は先程とは打って変わって真剣そのものだった。
そのため、新しいものを出してもらい無心で歯を磨いた。なんでこんな事に。ただ楓先輩に会いたいのに。そればかりだった。ポロポロと頬を伝う涙が出ている私は明らかに私であるのに。
夢であれば良いと心から祈った。
口をゆすぎベッドに潜り込む。すすり泣きながら慣れない掛け布団と敷き布団の感触にもっと気持ちが悪くなる。外では小鳥がさえずり暖かい陽の光が入ってきている。揺れるカーテンを布団の間から眺めて頬に感じる心地よい風に涙がまた溢れた。ここから帰れるのだろうか。私は元の世界に戻れるのだろうか。
「おい」
そんな風に浸っていた時だった。間抜けな声がして目を見開く。
「えっ」
何今の。幻聴だろうか。
「おい、聞こえてるんだろ」
思わず息を呑む。
「泣いてないでここを開けろ」
音の先にはクローゼットがある。こんな朝から怪奇現象でも起こっているとでも言うのだろうか。信じれないことばかりに戸惑いながら起き上がりまた毛布にくるまる。
「何しとんねん」
「それは……」
それはこっちのセリフよ。人の家のクローゼットで何をしているというんだろうか。
「はよ、開けてや。一刻を争うねん」
自分から閉じこもっている訳では無いのだろうか。もしかして、私を助けに来ようとしてここに閉じ込められたとか。まさか。
「お前が過去から来たからそれに合わせてこっちもやっとんねん。せやけど、長い時間はでけへんからこうして頼んどんねや」
切羽詰まったように頼む声は先程とは打って変わって真剣そのものだった。
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